お線香に火を着けたら、思ったより勢いよく燃え上がった。
慌てて、つい「フーッ」と口で吹き消してしまう。実はこれが、お墓参りでいちばん避けたい消し方です。
皆さんは、お線香の火をどのように消していますか?
なぜ口で吹き消してはいけないのか。そして、どう消せばいいのか。1級お墓ディレクターで、石材業界に約25年携わってきた元石屋の私が、お話しします。
お線香の火は、口で吹き消さず、手であおぐか、立てて持って縦に振って消します。
口で吹かないのは、息は穢れたものと考えられ、お供えを清める気持ちに合わないとされるためです。
宗派の公式の案内には、消し方の決まりは見当たりません。マナーとして広く言われていることです。

口で吹き消さない:息は穢れたものとされるから
「口で吹いてはいけない」。皆さんの頭にも、そんな答えが浮かんでいると思います。
うちの息子が「ふーっ」と口で線香の火を消そうとしたときも、「誕生日のロウソクとは違うんだよ!」と教えました。昔、親からそう教わった記憶のある方も多いはずです。
それでも、大人がとっさに口で吹いて消してしまう場面を、たまに見かけます。
お線香は、火を着けると一気に燃え上がってしまうことがあります。慌てて、ついつい口で吹いてしまうのですが、これは避けたい作法です。
大人が口で吹き消しているのを見ると、正直「あちゃ~」と思ってしまいます。
口から出た息は、仏教では穢れたものと考えられている
この理由を解説していたのが、栃木県宇都宮市にある光琳寺の副住職で、浄土宗の僧侶の井上広法さんです。井上さんは、私の友人であり、私が代表を務めていた「いのちの積み木プロジェクト」の共同パートナーでもあります。
井上さんは、2017年のテレビ番組でも、次のように説明していました。
お坊さんが仏様やご先祖様にお供えをするときは、できる限りそのお供え物を清めてから供えるそうです。
穢れがつかないように配慮するなかでも、いちばん穢れがつくのが、口で吹くこと。
そのため、お線香の火は口で吹き消さず、手であおいで消すか、振って消します。
縦に振る:束のまま着けて消えないときのコツ
束のまま火を着けると、特に消えにくく、燃え上がってしまうこともあります。
ついつい横に振ってしまいそうですが、そうすると、さらに燃え上がって指をやけどしかねません。
お線香は立てて持ち、20〜30cmほど、素早く真下に振ります。そうすると、あっという間に火が消えます。簡単ですし、見た目にもスマートです。

この方法も、2017年8月1日にテレビ朝日で放送された「林修の今でしょ!講座」3時間SPの「お墓参り検定」で、井上さんが紹介しました。
番組のクイズでは、「口で吹き消す」「振って消す」「手であおいで消す」のうち、やってはいけないのは「口で吹き消す」でした。100人の一般回答者の正解率は94%で、ほぼ常識です。
あわせて読みたい:お墓参り最強ライターで風が吹いても線香に火がつけられる!
手であおぐときは、こどもが真似するので周りに注意
手であおぐ動きは、こどもが真似をしやすい動きです。
消費者庁には、保護者がろうそくの火を消したあと、1歳のこどもが真似をして手であおぎ、溶けたろうに触れてやけどをした、という事故情報が寄せられています。お墓参りの際に、こどもが火のついたお線香に触れてやけどをした事例もあります。
こどもを連れてお墓参りに行くときは、次のことに気をつけましょう。
- お線香やろうそくは、こどもの手が届かない位置に置く
- お参りのあいだ、こどもを一人にしない
- 一緒に行く家族にも、見守ってもらうよう伝える
宗派の公式の案内に、消し方の決まりは見当たらない
「口で吹いてはいけない」は、どの宗派の決まりなのか。気になったので、宗派の公式サイトで調べました。
確認したのは、曹洞宗、日蓮宗、天台宗、浄土真宗本願寺派(西本願寺)、浄土真宗東本願寺派(東本願寺)の、お線香やお焼香の案内です。
お線香の本数や置き方、お焼香の作法は書かれていますが、確認したページには、火の消し方の決まりは書かれていませんでした。
仏壇店の解説や、寺院が運営する納骨堂の解説では、口で吹き消さず、手であおいで消すのがマナーと案内されています。
公式の案内で確かめられたのは、ここまでです。迷ったときは、口で吹かず、手であおぐか、振って消す。それがいちばん無難です。
お線香の火の消し方でよくある質問
- 口で吹き消してしまったら、ご先祖様に失礼になりますか?
-
失礼になると言い切れる公式な決まりは、確認できませんでした。ただ、お墓参りはご先祖様への供養の場です。丁寧に扱う気持ちとして、次からは吹かずに、手であおぎましょう。
- 束のお線香が消えないときは、どうすればいいですか?
-
お線香を立てて持ち、20〜30cmほど、素早く真下に振ってください。横に振ると、かえって燃え上がります。
- こどもを連れてお墓参りに行くとき、気をつけることは?
-
お線香やろうそくは、こどもの手が届かない位置に置き、こどもを一人にしないでください。手であおぐ動きも真似をしやすいので、周りで見守りましょう。
元石屋のひとこと:慌てたら、一呼吸おいて手であおぐ
りょういち慌てると、つい口で吹いてしまいます。でも、お墓参りは急ぐものではありません。一呼吸おいて、手でそっとあおぎましょう。
この記事のまとめ
- お線香の火は、口で吹き消さない
- 消すときは、手であおぐか、立てて持って縦に振る
- 束のまま消えないときも、縦に振ると消える(横に振ると燃え上がる)
- 宗派の公式の案内に、消し方の決まりは見当たらない。迷ったら吹かない
- こどもが真似をするので、そばで見守る
これだけ覚えておけば、お墓参りでも仏壇でも、落ち着いてお線香の火を消せます。
この記事の根拠:25年の現場経験と、お寺・消費者庁の資料
- 1級お墓ディレクターとして、石材業界で約25年お墓に携わってきた経験
- お墓参りの場で、自分でお線香に火を着け、供えてきた経験
- 縦に振る消し方:2017年8月1日放送のテレビ朝日「林修の今でしょ!講座」の「お墓参り検定」で、光琳寺の井上広法副住職が紹介
- 宗派の公式の案内で確認した範囲(消し方の決まりは書かれていませんでした):曹洞宗「お仏壇のまつり方」、日蓮宗「お焼香について」、天台宗「檀信徒のお勤めの作法と心得」、浄土真宗本願寺派「よくある質問」、浄土真宗東本願寺派「よくある質問」
- 消費者庁「線香等でのやけどに注意!」(2024年8月、消費者庁メールマガジン):こどもがお線香の火に触れたり、ろうそくの火をあおぐ真似をしてやけどをした事故情報
- 一般の解説でも同じ:仏壇店の解説、仏壇店の解説(お線香を持つ手と逆の手で軽くあおぐ)、寺院が運営する納骨堂の解説(手であおぐのが基本、軽く振る方法も有効)










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