日本人の信仰の原点~人は何故に石を積み祈るのか

石積み 日本人の信仰

なかの
こんにちは、1級お墓ディレクターのなかのYouTube Facebook Twitter自己紹介)です。いのちの積み木プロジェクト代表でもあります。

先日、石造物が好きな石屋が集って、京都にて石造・石仏ツアーをしました。

その時の様子は、追ってブログでも書いていきますが、その中で、日本人の宗教観の根っこが垣間見えるものがあったのでご紹介します。

 

それが、よく山道や河原のようなところに積まれている石積みです。

やもすると賽銭が置かれていることがあります。

誰が積んだかわからない石積みが信仰の対象になっているんですね。

 

人々はなんで石を積んでしまうのか?そして、積んだ石を信仰してしまうのか?

今日はそんな石を積み信仰する謎について解明していきます。

もちろんお墓にも通じるテーマなんですよ。

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目次

人は何故に石を積み信仰するのか

人は何故に石を積み信仰するのか。

この石積みをありがたがる現象を、周囲の人にちよっと聴いてみたのですが(石屋さんじゃないです)

 

『そういえば不思議だね。理屈じゃないよ、なんかありがたいんだよ。』

という【理屈じゃない説】が多かったです。

 

日本人としてのDNAがそうさせるというか、無意識にそう感じさせるというか、きっと心の深いところに根付いているのだと思います。

と…ここで終わってしまっては石の話題なのに、石屋の端くれにもならないので、ちゃんと理屈を持って説明をしたいと思います。

賽の河原で石を積み壊される子どもたち

石積みについて一番分かりやすい例として賽の河原の物語があります。

子どもたちが、賽の河原で一生懸命に石を積んでいるのに、積んだそばから鬼に壊されてしまいます。

 

手に血を滲ませながら何度も何度も泣きながら積む子供たち。

だけど鬼は積んだそばから壊してしまう。とてもかわいそうなストーリーです。

 

なんで鬼は、まだ小さな子どもにそんな酷いことをするのかというと、子どもが死ぬことがそれだけで罪だからです。

「なんで?」って思われるかもしれませんが、かわいい我が子を亡くした親は嘆き悲しみます。

親を悲しませた罪を償うために、親のことを思って子供たちは功徳を積んでいるのです。

 

そして皆さん安心してください。これだけだと子どもたちがかわいそうなだけで救いがありませんが、この話には続きがあります。

お地蔵様が、賽の河原に来てくれて子どもたちを鬼から守ってくださいます。

現在でも安産祈願や水子供養の象徴としてお地蔵様が置かれていますが、それにはそういった理由があるのです。

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塔をつくることは善い行い(造塔供養)

さてさて、先ほど子どもたちが親を想い石を積んだ話をしましたが、これには仏教的な深い由来があります。

それは塔をつくることそのものが、ありがたいということです。

 

塔といってもスカイツリーやエッフェル塔とはちよっと違います。ルーツはお釈迦様のお墓であるストゥーパに遡ります。

お釈迦様のストゥーパは、最初に4基あったのですが、その後、アショカ王がインド中に8万4千基つくり、さらに中国や東南アジアにも広がっていきました。

中国では、当時の楼閣建築と結びつき華やかに重層塔へと華やかに発展していきました。

それらの塔は、当たり前ですがありがたいものでした。なので、ありがたいものを立てる行為そのものが善行になるのです。

日本には五重塔として伝わり、日本中のあちこちに建てられました。

余談ですが、五重塔は当時の建築技術の粋を集めて作られたものです。そういった意味ではスカイツリーやエッフェル塔に通じるものがあるかもしれません。

 

塔は石でも作られました。五輪塔・宝篋印塔・宝塔、そしてお墓ももちろん塔です。

お墓の後ろに立てる卒塔婆(そとうば)も塔です。ちなみに卒塔婆はストゥーパの音からとっています。

 

卒塔婆は、数えきれないぐらい日本中で立てられているのは皆さんもご存じの通りです。

なので、現代日本においても実はありがたい塔を建てまくっているのです。

 

塔を立てることがありがたいというのは、法華経の「如来神力品第二十一」にも記されていて「塔を建てて供養すべし」とお釈迦様がお説きになられてます。

塔=ありがたいという心理

最初の話に戻しますが、人がなぜ石を積んでありがたがるのか。

そこには、お釈迦様のお墓のストーゥパという仏教的なルーツがありました。それが中国に渡り独自の楼閣建築と結びつき重層塔になっていき、日本には五重塔として入ってきます。

そこからお墓や卒塔婆にもつながっていきます。

 

そういう歴史的な経緯もあり、石を積み重ねること自体がありがたいことであるということが日本人のDNAに刻まれているのだと考えられます。

 

また、個人的には、仏教的なルーツもあるけれど心理学的な要素も強いと感じています。

塔を積むという行為高く積まれた塔そのものが人間の心理に作用する部分があるからです。

 

例えば、幼い子供が夢中で積み木を積み上げるのは理屈ではありません。

スカイツリーを見上げて『ほえ~良く作ったな~』と感嘆するのもいわば本能的です。

そういったものが信仰と結びついていったというのが自然なのではないでしょうか?

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石を積み上げたお墓の意味

私たちが日ごろお参りをしているお墓。

そのお墓を良く見てみるといくつかの石の積み重ねによってできています。

 

石を積んだ塔、それがお墓です。

ありがたい意味を持ち、功徳を積み、ご先祖様を供養できる場所です。

日ごろ当たり前にお墓参りをしているかもしれませんが、そこには深い意味があるのです。

 

人は知識として知っているものの方が、知らないのと比べて効果が高まるそうです。

ぜひ皆さまも今度お墓参りに行く際には、今回の話をちょっと意識してお祈りしてみてください。

お墓参りの効果が高まりますよ。

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この記事を書いた人

中野良一のアバター 中野良一 羽黒石材工業㈱営業部長

1級お墓ディレクター・1級土木施工管理技士
見に見えない存在であるご先祖を「見える化」した【いのちの積み木】→http://senzo.inotinotsumiki.com 雪のように白くてキレイな【淡雪五輪塔】のプロデュース。

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