石材店の展示場にお墓を見に行って、ザックリと墓石の値段がわかったら便利だと思いませんか?
石屋さんも、目の肥えた客だと一目置くかもしれません。
墓石の単位である切数と石種ごとの値段の傾向を知ることができれば、おおまかな墓石の価格を知ることができます。
とは言っても難しいけど、なるべくわかりやすく説明していきます。
お墓の価格って、初めて見る一般の消費者にはとてもわかりにくいものです。
とりあえず、石の見分けも何にもつかない。
そんなお墓初心者がザーッと理解できるようにまとめ記事を書いてみました。
[ad#co-1]
目次
お墓の価格を知るための単位について
切数(才数)の仕組み
お墓の寸法ってどうやって測るか知っていますか?
大工さんと同じで尺貫法が基準となり、尺・寸で測ります(m法を使用するときもあります)
1尺はm法で換算すると、約303.030 mmになります。
約30㎝ですね。
お墓の単位は、一辺の寸法が尺の立方体がいくつ分になるかで数え、これを【切数(才数)サイスウ】と呼びます。
ちなみに、薄い板石の単位は1尺×1尺で1面切という呼び方をします。
お墓の切数(才数)を数えてみましょう!
それでは、このお墓の切数を数えてみましょう。
お墓は、一つ一つのパーツを組み合わせたいわば「積み木」のようなものです。
その一つ一つのパーツを尺貫法で測り、切数を計算していきます。
入口下の敷いてある薄い石や戒名を刻む墓誌は、面切で計算をします。
例えば、お墓の正面にある門柱の寸法が1尺(約30㎝)×1尺5寸(約45㎝)×3尺(90㎝)なので、
1×1.5×3=4.5切(才)になります。
門柱は両側にありますので、4.5切の倍になり9切となります。
他のパーツも同じように計算をします。
合計がお墓に掛かる切数ということになります。
例えば、40切、50切というような数字になります。
単純な計算ですけど、お墓のパーツを全部拾っていったら、けっこう面倒な作業ですよね。
でも、石屋さんは便利なお墓の図面を描くソフトをもっていて、クリック一つで切(才)単価も勝手に計算してくれます。
この切数に、石種の切当りの単価=切単価をかければ墓石の価格が出るわけです。
[ad#co-2]
お墓に使用する御影石の切単価ってどのくらい?
さて、切数の仕組みがわかったところで、石の価格について説明していきます。
お墓に使用する御影石は世界各国で採掘され種類も豊富です。
それだけに、価格もさまざまで御影石の希少性などに左右されます。
すごくザックリとした括りですけど、岩石の分類によって切単価が変わります。
安山岩>斑レイ岩・閃緑岩>花崗岩
の順番になります。
岩石の分類に関しては、話が長くなるので、興味のある方はこちらをどうぞ。
花崗岩の紹介と大まかな価格
地球の陸地に最も多く分布している花崗岩は、比較的安い価格で購入することができます。
ただし、香川県産の庵治石のように花崗岩でも希少性が高く高価な石もあります。
花崗岩と一口に言っても、安価なものから高額なものまで振れ幅が大きく、色味も石目もかなり異なります。
日本産の花崗岩はグレー系が多いですが、万成石や議院石のようにピンクがかったものもあります。
海外だと、黒っぽい中国産G654と赤色が強いインド産ニューインペリアルレッド、貝殻の化石がキラキラときれいな青みがかったブルーパールもあるのです。
ザックリとした産地による花崗岩の値段の傾向
日本産>インド産>中国産
日本産の花崗岩は、採掘量が少なく人件費も高いのでどうしても価格が高くなります。
インド産・中国産は墓石として利用するのに価格は安めなのですが、政治介入などのリスクを受けやすいという側面があります。
主な花崗岩の値段の紹介
まずは、価格が安めでお買い求めやすい中国産の花崗岩からご説明していきます。
墓石材として価格が安定している中国産G623
例えば、中国産のG623。
こちらは、リーズナブルだけど、比較的品質が安定しているので日本中のお墓に多く利用されてきました。
黒みがかった色が人気の花崗岩G654
中国産G654は、花崗岩に分類されますが、有色鉱物が多く黒味が強いのが特徴です。
黒っぽいと高級感があるように見えますが、その割に価格が安いので人気のある石種です。
ピンクがかった色がキレイな中国産G663
こちらは、洋型墓石やデザイン墓石で人気のあるG663。
この石種も岩石分類的には花崗岩に属します。
花崗岩の色のレパートリーは豊富
ここからは、日本と世界の花崗岩を紹介していきます。
中国産と比較するとお値段は少々高くなります。
- 茨城県産:稲田石(白)
- ダコタマホガニー:アメリカ(こげ茶)
- FG-31 ラステンバーグ(黒)
- ニューインペリアルレッド:インド(赤)
色味も見た目も楽しいですよね♪
同じ花崗岩に分類される岩石でもこんなに色が違う、長年の間に鉱物がさまざまなイオン反応をして染まったりした結果なのですが、面白いですよね。
花崗岩でも石目が細かくなるほど値段が高い
細目(糠目)>小目>中目
花崗岩の価格の傾向として、石目が細かくなるほど高くなりがちです。
荒い石ほど、石目をそろえやすく、細かいほどそろえにくい傾向にあるからです。
羽黒糠目石と真壁青小目石の価格は?
こちらのお墓は、石塔が羽黒糠目石で、回りの外柵が真壁青小目石になります。
羽黒糠目石は、糠目と石の名前に入っていることからわかるように目が細かい石です。
すなわち高価な石種ということになります。
真壁青小目石も名前の通り、小目で、羽黒糠目石と比較するとかなりリーズナブルになります。
写真の羽黒糠目石の石塔は、古くなったものを磨き直して再利用したのですが、石に模様があるのがお分かりになりますでしょうか?
こういった模様が出るのも石本来の持ち味で、趣深いものがありますが、嫌がる人が多く現在では省くのが慣例となっています。
目が細かい石は、どうしても模様がでやすく石目がそろいにくいので、高額になりやすいのです。
[ad#co-2]
斑レイ岩や閃緑岩は硬くて黒くてやや高級
黒い墓石は、高級感があるとして根強い人気があります。
先ほど例に出したG654やラステンバーグも黒味がかっているのですが、斑レイ岩や閃緑岩は、マグネシウムなどの鉱物の割合が多く、もっと黒くて硬い岩石になります。
価格も高目で、特にインド産クンナムやスウェーデン産ファイングレインは、高級石種として人気があります。
墓石に加工するさいには、花崗岩と比較すると硬くて加工しにくいという性質があります。
深い黒さが特徴のインド産クンナム
「鎮魂」と迫力のある字が彫ってあるのが、インド産クンナム。
その深い黒さが特徴です。
とても硬くて水も吸いにくいので風化に強い石としても有名です。
スウェーデン産ファイングレイン
こちらは、スウェーデン産のファイングレイン。
カウンターの天板に使用されるものです。
もう写真を見ただけで美しいですよね。
クンナムが黒御影石の王様と例えられるのに対して、ファイングレインは女王と言われています。
玉石で取れる安山岩は、高級!!
花崗岩、斑レイ岩・閃緑岩と説明してきましたが、ベースの価格がもっとも高いのは間違いなく安山岩です。
安山岩は基本的に玉石として採掘されます。
なので、大材として取れにくく、そして、切ってみると模様が出ることも多いというかなり難易度の高い石となっています。
さらに粘りづよい石質で加工もしにくい。
その変わり、その石の美しさは他に類を見ません。
神奈川県真鶴で採掘される皇室御用達の本小松石
どこか緑がかっていてなんとも言えない風情のある本小松石。
東日本でもっとも高額な石種とも言われています。
現在は同じ安山岩の宮城県産の伊達冠石の方が高いかな?
とにかく値段は高額なのですが、安山岩特有の石目がいいんです。
こちらの動画は、本小松石の五輪塔を小たたき仕上げという技法で仕上たもの。
ピカピカに磨いたものと違い、また違った風情があります。
宮城県産の伊達冠石はおしゃれかっこいい
本小松石と同じ安山岩で、宮城県で産出される伊達冠石。
この石がおしゃれかっこいいんです。
安山岩はこんな感じで玉石で採掘できます。
黒く光っている部分は磨いてあります。
天然の石肌の色合いがなんとも言えません。
なんかもう、転がしとくだけでかっこいいですよね。
昔は、和型墓石にも多く利用されていたのですが、最近は高額でなかなか利用できません。
近年の傾向としては、石肌を利用したデザイン墓石としての需要が多いようです。
切数に石種の単価をかけると墓石の値段が出る!
ざーっと、岩石の分類ごとの石種の値段の傾向を追いかけてきましたが、この石種ごとの切単価に切数をかけると墓石の原価が出ます。
実際には、やくもの加工と呼ばれる複雑な加工は別途料金だったり、最初に説明した薄い板材は面材単価で数えられるので、そこまで単純ではありませんが、基本的には墓石の原価を知ることができます。
石材店では、この墓石の原価に利益を上乗せして売るわけです。
たまにお墓の原価を知りたい一般消費者から、石の原石の採掘元に問い合わせがあります。
消費者としては、自分が賢い買い物がしたいと思うところかもしれませんが、トヨタに車の原価を聴くようなものなので止めましょう(笑)
そこは、大変でも石材店をいくつか回って見積りを取って比較しましょう。
このブログ記事も石種ごとの価格をズバッと明快にできなくて申し訳ないのですが、そういった理由があるからです。
[ad#co-3]
まとめ
ということで、石を計る単位である切数(才数)と石種ごとの大雑把な価格の仕組みを説明してきました。
石の価格についてはほんとに大雑把な傾向だけで申しわけありませんが、何となくでも選択する上での指針になれば幸いです。
基本的に花崗岩は価格に開きがあるけど、基本的に安い。
でもめちゃめちゃ高額なものもある。
石の色も石目もバラエティに飛んでいて面白い。
斑レイ岩・閃緑岩は黒くて硬くて高い。
風化に強く、長持ちする。
安山岩は、玉石でとれて希少性が高い。
価格が高いが、独特な風情がある。
とまあ、こんなところです。
ぜひ、ご参考にしてください。
コメント