墓石の相場が、頻繁に変わるのをご存知でしょうか?
それは、御影石が世界中で採掘できるグローバルな素材だからです。
この記事では、御影石の相場をグローバルな視点からみて
- 人件費
- 運搬距離
- 政府の介入
- 為替変動
にわけて説明していきます。地形を変えてしまうほど、大規模な開発を必要とする石山開発は、時に新興国において政府が大きく介入してきます。
最大の石材加工国である中国や黒御影石の産地であるインドは不確定要素が多いんですね。今日採掘できた石が、明日できないなんてこともあります。けっこうリスキーです。
目次
①人件費
石山から御影石を採掘したり、墓石を加工する上で、人件費は大きく価格に係わってきます。
一つの原石を切り出すまでに、人件費が多く掛かれば、当然そのまま石の価格に反映されます。
加工も手間が掛かれば掛かるほど、人件費が安い方が安価に墓石を提供することができます。
日本向けのお墓に利用する御影石は世界各国で産出されていますが、その中でも割合が多いのは日本・中国・インドの3ヵ国です。
お墓の加工をする国もこの3ヵ国でほぼ100%を占めます。日本では、人件費が高いので、採掘する御影石も高くなりがちです。
反対に中国やインドは、安価な人件費を背景に安く墓石を提供することができます。
かつては、中国の人件費が驚異的に安く「世界の工場」などと呼ばれていましたが、経済が発展すると共に、その役目は東南アジアに移っていきました。
なので、以前ほどの価格メリットがなくなってはきています。
後述する運搬距離とも係わってきますが、基本的に御影石を採掘する産地と加工をする工場は近くにあった方が何かと都合が良いです。
ただローテクである墓石加工は、職人の腕に頼らざるを得ないために、簡単に他の地域に移すというわけにもいきません。
中国産墓石は、生産性を重視するために原石の選別が甘い傾向があります。
また、墓石に様々な薬品を塗布することもあるようです。
同じように見える墓石でも生産国によって、加工工場や職人のモラルが違います。
②運搬距離
御影石は重くて硬くて運搬に難儀する素材です。
日本で産出された御影石を地元で加工してお墓を建てれば、移動は最小限で済むので運賃を抑えることができます。
なので有名な石材産地と加工地はセットであることが多いです。
三蔵法師が命がけでインドに渡りありがたい経典をいただいたという「西遊記」の話は、はるか遠い昔の話ですが、輸送網が発達した現代でもインドは遠い国です。
インドもお墓の加工技術があるので、そこで加工してえっちらおっちら船便で日本までやってくるか、中国を経由してそこで加工されて日本までやってくるか、直接日本に原石がやってきて日本で加工をする場合もあります。いずれにしても長い道のりです。
ただ、人件費と比較すると影響は少なく、例えば、日本で産出した御影石を中国の福建省に輸出して、墓石を加工して日本に輸入してもその方が安いケースがあります。(加工の度合いによります)
③政府の介入
日本においては、石山の開発許可を取ってあれば、数年ごとにきちんと更新すれば問題ありませんが、中国やインドだと政府が大いに干渉してきて、環境に影響するなどといった理由で、急に開発をストップさせられることがあります。
これが、稀にあるわけではなく、頻繁にあるので困ったものなのです。
中国福建省産は世界でも有数の御影石の一大産地でありG623・G603・G614などの石種は、日本でも一世を風靡してお墓として数多く利用されていましたが、軒並み開発がストップです。
日本の墓石小売店が売る石種の選定に困ってしまうぐらい様子が変わってきました。
現在は、福建省での石山の開発が難しいので、他の地域で開発をしています。
石山は、開発してお墓や建築の用途にできる石を切り出せるようになるまでに、かなりの金額を投資しなければなりません。
石山は博打とは良く言いますが、開発したところで、良い石が出るかどうかわかりません。
せっかく軌道に載っている石山を政府の都合でストップされたら、採掘業者からしたらたまったものじゃないですよね。
④為替変動
御影石は世界中で産出されていて、輸出入すれば為替の影響を受けます。
中国はドルベック制で米ドルと連動しているので、例えば1ドル80円が120円になったとすれば、100万円分の石を中国から日本に輸入した際には、150万円になってしまいます。
石は、けして安いものではないので、為替の影響を大きく受けてしまうのです。
中国経済は現在不透明で、人民元の大暴落があるような話もありますが、仮にそうなった場合の影響は計り知れないでしょうね。
反対に、日本国内で産出した御影石を国内で加工した場合には、為替は関係ありません。
まとめ
昔は日本でお墓が作られていましたが、今やグローバルな市場で提供されるものになりました。
現在の日本では8割以上が中国産墓石だと言われています。社会主義国である中国では政府主導で物事が決められ、環境保護のために石山を閉山するような決定をします。
中国は、いずれアメリカも抜いて世界でGDP一位になると言われていますが、その頃には人件費も為替も上昇して、墓石はさらに高額になるのでしょうね。
1級お墓ディレクターなかのはこんな人ですよ。
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