日本遺産にも認定された岡山県笠岡市にある北木島。その北木島は瀬戸内の穏やかで風光明媚な景色もさることながら、日本の誇る銘石である北木石の産地でもあります。
夕方に差し掛かった頃ですが、この北木島に初上陸させていただきました。

これは家族を連れてきたくなるパターンですね。この島で日がな一日のんびりしたい。
そんな北木島ですが、2019年にめでたく日本遺産に登録されています。
「知ってる!? 悠久の時が流れる石の島 ~海を越え,日本の礎を築いたせとうち備讃諸島~」
素晴らしいですよね。そして石の島というタイトルからもわかるように北木島は北木石と切っても切れない密接な関係にあります。そこには感動の物語がありました。
そんな北木島と北木石との関係を感じることができる3つのおススメ観光スポットを紹介します。
北木島の3つのおススメスポット
- 恐怖の揺れる展望台!北木石採掘場にて
- 北木石を今に伝える”ノスタルジー”を超えた”ノスタルジー”な映画館
- K’s LABO(ケーズラボ)という突然のおしゃれ空間
今回の北木島での観光は、北木石採掘元である鶴田石材の鶴田社長や地元笠岡市の鳴本石材の鳴本社長が案内してくださっています。ありがとうございました。
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目次
北木島ってどんな島?


参照元:https://www.kasaoka-kankou.jp/island/kitagishima
北木島は、笠岡港から約26kmの笠岡諸島の中心に位置する、笠岡諸島で最も大きな島です。お笑いコンビ『千鳥』の大悟の出身地としても有名で、綺麗な丸い石を拾って石屋の親方に売ったとか、海で溺れた時に大きなヒラメに助けてもらったとかそんなお笑いエピソードのある島でもあります。(島民の方はそんなヒラメはいないとおっしゃっていました笑)
この島の特徴は、何と言っても良質な花崗岩である北木石が採掘できるところです。大阪城の石垣、日本銀行本店、三越本店、日本橋、靖国大鳥居など日本の有名な建築物にも北木石は取り入れられています。大型トラックがなく陸路も発達していなかった当時は、重い石を切り出して直ぐに船で運ぶことができる北木石は大きなメリットがありました。
笠岡港から北木島に向かっていると虹がお出迎え。北木島への移動手段はフェリーやら定期旅客船がありますが、私たちは高速船にて移動。フェリーだと50分ぐらいかかるところを15分ぐらいで突っ切ります。波しぶきが凄い。
北木島の金風呂港の様子。山肌がむき出しになっているところは、北木石の採掘跡になります。それにしても瀬戸内らしいのんびりした港で、旅情を誘います。
北木島の3つのおススメスポット
①恐怖の揺れる展望台!北木石採掘場にて
北木石の採掘場は、一言で言うと『怖い!』です。めちゃめちゃ怖いです。こんなに高低差のある採掘場は中国にはあるかもしれないけど、日本では滅多にないと思います。
一緒に同行していた石材新聞の山口社長のお話だと瀬戸内でも大島石の一部の採石場は深く掘り進んでいて雰囲気が近いそう。
採掘元である鶴田石材の鶴田社長によると高低差は最大で180m程度に達するということです。石を切り出す石工さんが下に降りるだけで大変。
下まで梯子を降りて行ってジェットバーナーにて北木石を切り出します。現在は主に墓石材としての用途に利用されることが多いそうです。
だいぶ深いところまで切り出しているので、石質は安定しているそう。今後の採掘計画としては、ここから更に一段切り下げるそうです。
北木石は先ほど説明した通り、靖国神社の大鳥居を始めとして日本の名だたる建築物に利用されてきました。
そして何と言っても怖いのはこちらの展望台。揺れます。ずっと適度に揺れ続けます。下を見ると奈落の底です。怖い。
今回の見学会は、鳴本石材さんでの展示会のイベントの一環で行われましたが、どこかよそよそしかった参加者の距離がこの恐怖の展望台で一気に縮まりました。
恐怖感がもたらす一体感。
心理学の実験で吊り橋の上のような不安や恐怖を強く感じる場所で出会った人に対し、恋愛感情を抱きやすくなる『吊り橋効果』というものがありますが、仲良くなりたい異性と来るといいかなーなんて思ってしまいました(笑)
北木石の特徴
北木石の中目の石目はこんな感じです。清楚で白い良質の国産御影石になります。光沢の良さに加え“ねばり”があるのが特徴で、加工が容易で角が欠けにくいことから墓石材として最適です。
また白みが強いので縁起が良いとされ吉相墓に推奨される石でもあります。
北木石物性データ
- 見掛け比重:2.62t/㎥
- 吸水率:0.320%
- 圧縮強度:147N/m㎡
- 岩石分類:花崗岩
北木石の歴史
北木石は、採掘され始めてから100年を超える歴史があります。石目や特徴の違いから中目・瀬戸赤・瀬戸白・サビ石の4種類にわけられますが、現在は、中目と瀬戸赤しか採掘していません。かつて隆盛を極め127ヵ所もあった採掘場は、中国産石材の台頭によりシェアを奪われ2社のみになってしまっています。
今回、北木島を案内してくださった鶴田石材さんはその内の一社で、不死鳥の石と銘打って中目の北木石を採掘されています。瀬戸白も最近まで採掘していたのですが、平成16年の台風による高潮で採掘場が水没してしまい閉山してしまったそうです。寂しい。
北木石は有名な建築物にも利用され、靖国神社の大鳥居を始めとして、日本銀行や大阪城の石垣などにも使用されてきました。


参照元:鶴田石材HPより https://kitagi.jp/feature/history/
昭和八年に奉納された靖国神社花崗岩大鳥居は北木石を使った日本一の大鳥居である。直径1.2メートル、長さ12メートル、重量50トン。瀬戸内海を渡り、神戸を経由し、東京芝浦まで船で運ばれ、九段下の靖国神社に無事建立されるまでかなりの苦労があったと当時の記事に掲載されている。
参照元:鶴田石材HP
北木石を切り出して、船に乗せて、東京まで運んで、そして靖国神社に建立する。
50トンもの大鳥居となると、現代の技術でも困難です。鳥居って構造的にバランスを取りながら施工をしなければならないのでコツがいるんです。これを昭和始めの技術で建立するのは、並々ならぬ苦労があったことでしょう。
そして、そんな北木島と北木石の歴史を今に伝える最高にノスタルジーな映画館が近くにあります。
[ad#co-2]②北木石を今に伝える”ノスタルジー”を超えた”ノスタルジー”な映画館
入った瞬間に懐かしさが込み上げてくるこちらの映画館、昭和20年代終わりから42年(1967)頃まで島民の娯楽の場として営業していたものを再生したそうです。
蜘蛛の巣と埃の中をキレイにして復活したという映画館、当時の設備や映写機がそのまま残っており、木製の椅子が良い感じに懐かしさを醸し出しています。
この映画館では、北木石に関するドキュメンタリー映画を見ることができるようになっています。
こちらの映写機。現役です。この映写機から映し出される映像には不思議な力が宿ります。
こちらでは、15分くらい掛けて北木島での北木石の歴史がわかる動画を拝見させていただきました。ほんとうに命がけで重労働で大変な仕事だったことがわかります。
だけど、その中でも明るく前向きに頑張る石工さんたち。そんな想いに胸が打たれます。
私が生まれるよりもずっと昔の映画館なのですが、心に訴えてくるものがありました。理屈じゃないんですね。理屈じゃないんです。なんだろう?
ノスタルジーで語るには言葉が足りないくらいのノスタルジーな空間でした。かつて島の人たちがここで映画を楽しんでいた情景が思い浮かびます。寂しさも感じるのですが、懐かしさが込み上げ癒されます。自分の経験じゃないのに。北木マジックですね。
③K’s LABO(ケーズラボ)という突然のおしゃれ空間
北木島の海岸線は、ずっとのんびりした瀬戸内の風景が続きます。ところが海岸線を進んでいると突然カラフルな建物が目に飛び込んできます。それがK’s LABO(ケーズラボ)、北木石の歴史・文化をストーンミュージアムで学び、マリンレジャーを楽しめ、ゆっくり流れる島時間をカフェで過ごすことができる施設になります。
私たちがK’s LABO(ケーズラボ)に着いた頃には日が暮れ始めていました。赤い目が光った石でできた恐竜がお出迎え。けっこう巨大で存在感があります。
暗いとよくわからないので、K’s LABO(ケーズラボ)を作られた鳴本石材の鳴本社長が紹介してくれている写真を引用させていただきます。
青空の元でのK’s LABO(ケーズラボ)はこんな感じ。青い空に映えるロゴのブルー。素晴らしいコントラストです。


参照元:https://keizai.info/general-bingo/60166
K’s LABO(ケーズラボ)と大きく描かれた倉庫の中では、マリンレジャー用のグッズやレンタルサイクルが用意されています。うわーうちの息子絶対に喜ぶな。
倉庫の隣には北木石ミュージアムやカフェがあります。石の小物が販売されています。2階ではBBQができるスペースがあります。瀬戸内の海を見ながら海の幸を豪快に焼いて食べたら絶対に美味しいでしょう。
ポップでおしゃれなカフェの店内の様子。カラフルな色の組み合わせがいいです。
写真撮影不可なので写真で紹介できませんが、奥には北木石の歴史を伝えるストーンミュージアムがあります。かつて隆盛を極めた北木石。
そして今、また観光を含めた物語のある石として復活を遂げています。正に不死鳥の石。
色んな想いが溢れていると感じた今回の北木島への訪問でした。
[ad#co-3]まとめ
北木島と北木石とそれに纏わる観光について紹介してきました。おそらく2019年に日本遺産に登録されたので、これから観光客が増えることでしょう。
島全体に流れるゆるい空気と素朴さ。そして北木石のストーリー。
今度北木島を訪れた際には、島全体を観光してみたい島グルメも楽しんでみたいなんて思ってしまいました。
あらためまして、今回ご案内してくださった北木石採掘元である鶴田石材の鶴田社長及び地K’s LABO(ケーズラボ)の鳴本石材の鳴本社長ありがとうございました。
石と観光の連動。物語を十分に感じさせていただきました。
さて魅力度全国最下位の茨城も頑張らねば(笑)
1級お墓ディレクターの「なかの」はこんな人ですよ。
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