深く蒼く、群青の輝きを放つ石「十万石青みかげ」 採掘状況・石目の特徴・価格の秘密など

富士山をかたどった十万石青みかげのモニュメントと浮金石のお墓

富士山をかたどった十万石青みかげのモニュメントと浮金石のお墓

深く蒼く、群青の輝きを放つ石「十万石青みかげ」

その神気を纏うがごとき佇まいが人々を魅了します。

なかの
こんにちは、1級お墓ディレクターのなかのFacebook Twitter自己紹介)です。

私は、石材産業協会という団体の顧客満足推進委員会に所属していて、そこで現在”国産銘石カタログ”の作成に携わらせていただいています。

その取材で、福島県にある十万石青みかげの採掘元㈱石の協栄さんにお邪魔させていただきました。

 

端的にその石の特徴を表し、イメージアップにつなげるカタログって大切ですよね。

それを㈱石の協栄さんから一任されて、責任の重大さを感じています。でも十万石青みかげは特徴があるし個人的にも好きな石なので書きやすいです。

冒頭の文章は、キャッチコピーを意識して書かせてもらいました。どうですかね(^-^;

 

さて、そんな取材も兼ねて、宗像社長から十万石青みかげについて色々な話を聴いてきました。

本当は、十万石青みかげを採石している様子まで見たかったのですが、あいにくの雨で断念しました。残念。

でも、加工工場にお邪魔して、現在の石山の状況、扱いの難しさ、石目の特徴などバッチリ聞いてきましたよ。

十万石青みかげの価格は、国産材としては”やや高い”値段になっていますが、その辺りの理由についても迫ってみたいと思います。

 

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目次

福島県産十万石青みかげってどんな石?

福島県産 十万石青みかげ

十万石青みかげは、福島県田村郡小野町から産出される青みの強い細目の花崗岩です。

青みを帯びた上品な十万石青みかげのルックスは、神気を纏うがごとき美しさを持っています。

 

石の目は結晶の大きさによって大まかにわけられ。

目の大きい方から大目・中目・小目・細目・糠目とわけられます。

たぶん、全国一律での詳細な規定とかはないと思うので、見た目で判断されているものだと思われます。

商社によっては『小町しぐれ』という名前で流通しています。

確かにポツポツと見える白い長石の部分が、しぐれ(小雨)のように見えますね。

 

十万石青みかげの採掘の状況は?

今回お邪魔した、十万石青みかげの採掘元である㈱石の協栄さんでは、福島の銘石である”浮金石”も採掘しています。

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浮金石は標高800mを超える高いところで採掘され、冬季は水が凍結してしまうので、主に春から秋にかけては、浮金石を採掘して、冬季に十万石青みかげを採掘することが多かったのですが、最近は十万石青みかげ石の需要が伸びていることもあり、優先して採掘しているそうです。

面白いことに、寒くなると十万石青みかげの需要が伸びて、暖かくなると浮金石の需要が伸びるという話をされていました。

確かに寒い時期に黒御影石である浮金石は余計に寒さを連想させるかもしれません。面白いですね。

 

十万石青みかげは、玉石で採れ比較的容易に採掘出来て品質も安定していたのですが、最近は玉石が少なくなり岩盤から切り出しているそうです。

岩盤だと石に模様がつきやすく品質が安定しないとうネックがあります。

花崗岩は基本的に、目が細かくなるほど、石目が安定しないリスクが大きくなります。更に青みが強い石ほどまた安定しない。

細目で青みの強い十万石青みかげは、なかなか墓石に使用するような石目を揃えるのは難しい石種になるのです。

 

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十万石青みかげを加工している様子

福島県産 十万石青みかげ

扱いが難しい十万石青みかげ石ですが、品質を維持するために㈱石の協栄にて、磨き加工を行い石目をチェックしてから送り出しています。
(細かいやくもの加工は除く)

原石で販売してしまうと、各加工工場に品質の判断が委ねられることになります。

クレームとして原石が採掘元に返ってくることがあれば、2級品として値段を下げて買い取って、多少のムラやキズなら誤魔化して製品化してしまおうという判断をするかもしれません。

この辺りはモラルの問題になりますが、採掘元で一括して品質を管理すれば安心のできる石種として自信をもって市場に送り出すことができます

福島県産 十万石青みかげ

上の写真ですが、模様が出てしまっているのがわかりますかね?

目が細かく色味の濃い石ほど、出やすい傾向にあります。

写真だとわかりにくいかもしれませんが、このように模様が出てしまうと墓石材として出荷することはできません。
(施主さんの了承を得られる場合は別です)

十万石青みかげを切削して、磨いてこのような模様が出てしまうと加工する立場としては厳しいです。

この石に関しては、人目につかない納骨堂(カロート)に使用するそうです。

何となく、十万石青みかげが高い値段で取引される理由がお分かりになりましたでしょうか?

 

 

十万石青みかげの墓石としての利用

十万石青みかげは、濃い青みが特徴的であり墓石として人気があります。

福島県産十万石青みかげと茨城県産真壁青小目のお墓

こちらは私が建てさせていただいた洋型石塔が十万石青みかげで、外柵が茨城県産の真壁青小目のお墓になります。

洋型石塔の一番目立つ部分に文字を刻むのが通常良くある形ですが、施主さんが拘って十万石青みかげの素晴らしい石目を良く見えるようにしたいということで、右下にやや小さく初沢家と刻むだけにしました。

真壁小目でも”青手”のものを真壁青小目と呼ぶのですが、その真壁青小目と比較しても明らかに十万石青みかげが”濃く蒼い”のがわかるかと思います。

なんとも言えない味わい深い色のコントラストを生む組み合わせになっています。

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福島県産 十万石青みかげ

 

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まとめ

福島県産の十万石青みかげ、美しい深き蒼さが魅力的な石です。

ただ、細目で色味が濃いためにムラが出やすく石目を揃えることが難しい。

以前は、玉石で採掘していたものが岩盤から切り出すようになり、さらに石目を揃えることが難しくなっています。

それだけに、一定の品質で提供するために山元で努力をされている様子を伺うことができました。

 

私他に類を見ない深く蒼い群青色が特徴的な十万石青みかげ。

かなりおススメできる石なので、ぜひ、検討されてみてはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人

中野良一のアバター 中野良一 羽黒石材工業㈱営業部長

1級お墓ディレクター・1級土木施工管理技士
見に見えない存在であるご先祖を「見える化」した【いのちの積み木】→http://senzo.inotinotsumiki.com 雪のように白くてキレイな【淡雪五輪塔】のプロデュース。

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