ボツボツと出てくるとみっともなく御影石の天敵であり、また趣深い味わいを醸し出すこともあるサビ。
御影石の中にはサビが出るのが重宝がられる種類もあるので、すべてが悪いわけではありませんが、墓石のサビは基本的に避けたいものです。
勉強会では4つのテーマについて検証しています。
今回のサビ落としには、ニューサンライト製のサビナインA&BとストーンブライトA&Bが利用されています。
御影石のサビってかなり頑固で、そう簡単に落ちるものではありません。
数日掛けて薬品を付け続けても中々落ちなかったりします。
今回は、少々強引ですが、1分間でサビをかなり落とすことができました。
その様子について紹介していきます。
今回紹介するサビ取り剤は、業務用なので一般の方はプロである石材店や専門の清掃業者に任せた方がいいです。
薬剤によっては取り扱いを間違えると、艶を飛ばしてしまったり、サビが増えたり、余計に被害が広がる可能性があります。
目次
花崗岩のサビの発生メカニズムについて
お墓に使用される岩石の種類で最も多く利用されているのが花崗岩です。
花崗岩は、黒い斑点と白や灰色の鉱物が結合している岩石で、俗に御影石と呼ばれています。
ちなみに斑レイ岩や閃緑岩を黒御影石と呼ぶこともあります。
始めにお断りしておきますが、冒頭に述べました通り、花崗岩に発生するすべてのサビが悪いわけではありません。
岐阜県産の蛭川石(ひるかわいし)などは、サビが特徴の味わい深い石です。
ただ、墓石として利用する花崗岩には、サビが出ないことを条件として求められることが多く、石材店にとって悩みの種でもあります。
石は天然のものであり、同じものは1つとしてありません。
サビを引き起こす鉄分を完全に除いてお墓をつくることは不可能で、どうしてもサビが出るリスクが残ります。
御影石のサビの発生メカニズムについては以前に紹介していますので、興味のある方はこちらをお読みください。
マグマが冷えて固まった花崗岩は、サビを発生する鉱物を内部に含みます。
完全に取り除くことは不可能で、なるべく出ないように見極めて加工をします。
昔はけっこう大らかだったので、サビが多く出る可能性のある石も墓石に利用していました。
近年は、品質管理が厳しくなっているので、クレームの対象となるようなサビのでる墓石はほとんど見かけません。
ただ、稀にポツポツと出てきてしまうこともあるので、そんな時にサビ取り剤が必要になってきます。
サビ取り剤の紹介
今回のサビ取り実験では、ニューサンライト製のサビナインA&BとストーンブライトA&Bを利用しています。
・サビナインA&B[A液(前処理剤)・B液(後処理剤)]
- 用途:石材・建材のサビ除去
- 特徴:中性タイプ 再錆化しにくい 研磨面にもつかえる
中性なので、研磨をした御影石にも利用することができます。
けっこう強力、トーチで炙ると見る見るサビが酸化して黒くなっていきます。
- 用途:中国産御影石のサビ抜き(G603、G623)
- 特徴:簡単・確実・強力
酸性の薬品なので大理石への使用不可。
アクやシミの除去にも利用できて、表に出ているような薄いサビに効果を発揮します。
特に中国産御影石に効果的だそうです。なんででしょうね?
上の写真は、茨城県産の稲田石ですが、焦げ茶色のサビが出ているのがお分かりになりますでしょうか?
特に左上の方が色濃く出ています。
鉄気(てっき)と呼ばれ、ここまでハッキリでると落とすのにそうとうに手ごわいサビになります。
右側のサンプルにも少々サビが出ているのですが、写真だとわかりにくいですね。
基本的な使用方法は、このようにティッシュにサビナインを含ませて暫く放置(1~24時間)します。
水分の逸脱を防ぐためにラップを上に貼ると尚効果的です。
ちなみに上のテイッシュのシップがサビナインで、下がストーンブライトA&Bです。
サビナインは若干紫がかっていますが、この紫の色が残らないようにするためにB液を塗布します。
強引に短時間で御影石のサビを落とす方法
この方法は、おススメできるわけではありませんが、ガストーチで炙って科学反応を促進してみました。
サビナインを掛けながらトーチで温めます。
ニューサンライトの営業さんが、勉強会の時間内で効果を示すためにやってくれたものです。
基本的に石のサビ落としもそうですが、様々な薬品は温度が高いと効果を発揮しやすくなるそうです。
1分程度の動画ですが、赤いサビが見る見る変色していますよね。
これは、薬品の効果によって、赤サビを黒サビに酸化させているからなんです。
黒サビ=磁石であり科学的に安定しています。
厳密に言うとサビが消えているわけではないのですが、元々花崗岩に含まれている黒い斑点である黒雲母に見た目が近くなります。
御影石を高温にし過ぎるとダメージが
1分でこれだけ御影石のサビ取り効果が表れていることから分かる通り、トーチで温めると御影石のサビ落としに目覚ましい効果があります。
ただ、それだけに石にもダメージを与える方法でもあるんですね。
花崗岩に含まれている石英などの鉱物は、熱によって白く濁ると言われています。
なので、基本的には数日掛かっても薬剤をシップで貼りつけて少しづつ酸化を促す方がいいです。
もしなるべく早く酸化をさせて黒サビにしたい場合でもドライヤーなどの急激に温めない道具を利用した方がベターでしょう。
何度も言いますが、今回は、あくまで短い時間内で墓石のサビ取りの効果を示すためにやってくれています。
マネをしてトーチで温めることでサビを取るようなことはしないでください。
酸化を促進させていると違うサビが出てくることが
サビナインが強力で御影石のサビ取りに効果があることは、1分動画で良くわかったかと思いますが、実は熱を利用してサビを促進させる中で、新たに薄いサビも発生しています。
御影石の表面に薄っすらと赤く色づくようなサビなのですが、更に薬剤を掛けて炙ると消えていきます。
墓石に出たサビを完全に落とすのは無理
これらの薬剤による御影石のサビ落としは、目に見えて効果はありますが、完全に落とすことは無理です。
サビを落とすためにサビを促進させることもありますし、石の内部から発生をしてくることがあります。
ただ、サビナインをガストーチで炙ったサンプルをその後、1月ほど経過を観察していますが、見た目での変化は見られません。
きちんとサビを酸化させて黒サビ化し、安定した状態になっているという証明になっています。
まとめ
石材店にとって、また私たちのように丁場で御影石を産出する業者にとって、サビの問題は非常に頭を悩ませるものになります。
なるべくサビが出る部分を避けて墓石として提供しようと厳選をしていますが、それでもクレームの対象となるような目立ったサビが出てくることがあります。
そんな時に処置としてされるのが、今回紹介したサビナインA&BやストーンブライトA&Bといった薬剤です。
特にサビナインを利用してガストーチで炙りながらやると1分程度でみるみるサビが落ちていきました。
これは、目覚ましい効果であると言えます。
ただ、これは短時間でパフォーマンスを出すためにやったもので、シップを貼って根気よく数日間に渡って化学変化を促進する方が石にダメージを与えなくて済みます。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 【1分で消える墓石のサビ】御影石の錆を強引に短時間で落とす方法について 投稿日 2018年5月17日 05:50:44 (未分類) […]