全27ページに及ぶお墓の図面を自ら描かれたお客様。
お墓に対する並々ならぬ想いを感じて、身が引き締まりました。
このブログを書くに当たって、施主さんには、快く承諾していただいています。
とにもかくにもこだわりポイントの多いお墓なんです。
- 施主様が自ら描かれた全27pに及ぶ詳細な図面
- 福島県への震災復興の想いを込めた芝山石のお石塔
- 職人の珠玉の技術を注ぎ込んだ茨城県産稲田石の一石五輪塔及び特殊燈籠
- 青みがかった色が美しい茨城県産真壁小目石の外柵
- 群馬県藤岡市の山口鬼瓦店製の家紋と火袋
- コンクリート基礎を15mm入角に収めた精度を要する仕事
- 元々あった先祖代々のお石塔(アフリカ産ベル)を再加工して取り入れる
- 特許技術である免震工法を取り入れた地震に強い施工
- ご先祖様を明るい納骨堂に!白さが引き立つ稲田石製のカロート
- エフロレッセンスも怖くない通気性を確保した構造
1つづつ紹介していきます。
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目次
福島県産芝山石のお墓、10のこだわりポイント
1.施主様が自ら描かれた全27pに及ぶ詳細な図面
本当に、福島県産芝山石のお石塔のお墓を建てるに当たって、一番驚いたのは、施主さんの並々ならぬ想いのこもった全27ページにも及ぶ図面です。
いろいろな石材店のHP(ホームページ)やブログを読んで勉強されていて、知識は下手な石屋さんを越えてしまいそうなぐらいありました。
お墓づくりは施主さんと石屋の共同作業です。
1枚1枚の図面をじっくりと検討して、私の方からのより良い提案も取り入れながら煮詰めさせていただきました。
2.福島県への震災復興の想いを込めた芝山石のお石塔
今回、採用させていただいたお石塔は福島県産の芝山石です。
佐藤家の文字は、元々あったお石塔の書をそのまま写して、さらい彫りにて仕上げています。
施主さんたっての希望で、震災復興の願いを込めて福島県産の石を利用したいとのことでした。
芝山石は、石目の美しさに定評があって、吸水率も低く、おススメできる石種です。
写真では伝えるのに限界がありますが、芝山石の美しさがわかりますでしょうか?
ちなみに梵字のアの文字は、薬研彫り風になっています。
3.職人の珠玉の技術を注ぎ込んだ茨城県産稲田石の一石五輪塔及び特殊燈籠
一石五輪塔というのは、文字通り1つの石から五輪塔を彫ったものです。
今回は、表面を【小叩き仕上げ】という技法で仕上げていて、熟練の石工職人の技術をつぎ込んだものになります。
青く澄んだ空に、稲田石の小叩き加工。
白さが美しい稲田石は小叩きにすると更に映えて様々な色と美しいコントラストを醸し出します。
稲田石の小叩き加工と既設石塔を再加工した黒御影石であるアフリカ産ベルとの対比。
白と黒が合わさるとモダンな雰囲気を醸し出します。
まだまだこだわりがあるので、サラッと紹介、次にいきます。
4.青みがかった色が美しい茨城県産真壁小目石の外柵
茨城県が誇る銘石、真壁小目石。
中でも青手のものを真壁青小目と呼びます。
お墓の外柵に用いると墓所全体に落ち着いた雰囲気を醸し出します。
5.群馬県藤岡市の山口鬼瓦店製の家紋と火袋
今回のお墓の変わった取り組みとして、異素材である【瓦】を取り入れています。
瓦の質感が、稲田石の小叩き加工と絶妙に合っています。
伝統工芸士である群馬県藤岡市にある山口鬼瓦店の山口さんにつくってもらったものです。
瓦は、窯で焼く際に微妙に収縮したり波打ったり形が変化します。
正確な寸法にはならないので、石にはめ込む際に少々苦労しましたが、それもまた妙味です。
味わい深い作品に仕上がったと思います。
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6.コンクリート基礎を15mm入角に収めた精度を要する仕事
基礎コンクリートよりもお墓の外柵を15mm出す入角仕上げになっています。
意味合いとしては、基礎をあまり目立たせたくないから。
コンクリート基礎の精度が良くないととてもみっともなくなります。
長くなるので、次いきます。
7.元々あった先祖代々のお石塔(アフリカ産ベル)を再加工して取り入れる
お墓のリノベーション!
今回のお墓は、元々あった先祖代々のお墓を立て直したものですが、お石塔の一番上の竿石はそのままに、下の上台、中台は再加工して残しました。
8.特許技術である免震工法を取り入れた地震に強い施工
【泰震(タイシン)】という特許技術である免振施工を取り入れています。
L型金具も要所に取り付けて直下型にも耐えうるようにコンクリート部と取り付けます。
燈籠・一石五輪塔・門柱などは、ステンレス製の差しピンもしています。
9.ご先祖様を明るい納骨堂に!白さが引き立つ稲田石製のカロート
骨壺を置く納骨堂は明るい茨城県産の稲田石で!
納骨堂工法に黒い物体が見えるかと思いますが、こちらは富山県高岡市でつくられた銅製の観音様。
芝台もステンレス製の差しピンで耐震施工をします。
お骨を土に返すところも稲田石で囲みます。
細かいこだわりポイントまで説明すると長くなり過ぎるので次。
10.エフロレッセンスも怖くない通気性を確保した構造
今回のお墓では、外柵を据え付けるにあたってセメントと砂を混ぜたモルタルを使用していません。
止水セメントと石材用の強力なボンドで施工しています。
さらに、換気口も多く儲けてお墓内部の通気性を確保しています。
石は、水分の蒸発散を繰り返すことによって劣化が早まるのですが、できる限り乾燥状態に保つことで抑えることができます。
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まとめ
こだわりのお墓を駆け足で紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?
お墓づくりは施主さんと私たち石屋さんの共同作業であるとつくづく感じます。
今回のお客さんとは10回は打ち合わせをしたでしょうか?いやもっと?
回数も忘れるぐらいお会いして、一緒に作りあげました。
工場見学にも来てくださって、直接職人とも打ち合わせをしています。
正直言って苦労もしたけど、作りあがったお墓を見た時の感動は格別ですし、このような仕事に携わらせていただいて本当に光栄だと思っています。
佐藤様、そしてご家族の皆様、ありがとうございました。
お客様の声とかではなくて、私からの一方的なブログ報告という変な形ですが、快く記事にすることを承諾してくださって、むしろ書かれることを楽しみにしていただいて嬉しく思います。
これからもより精進して参りますので、今後共末永くお付き合いよろしくお願いします。
最後に、おまけのこだわりポイント。
施主さんがお墓の横につくった坪庭。
茨城県真壁の伝統工芸士 根本忠さんの置燈籠を鞍馬石の上に置いています。
坪庭も含めて最高のお墓ですね。
施主さんの真心がとことん詰まったお墓です。
素晴らしいお墓ができて、私もホッとしています。
本当に、本当にありがとうございました。
コメント
コメント一覧 (3件)
やはり施主様の思いを忠実に形にしていく石材店が良い石材店で
あると思います。施主様の満足無くして良い墓石はありません。
自分勝手な形や石材を進める石材店・営業本位の石材店
良いお墓は良い石材店を見つける事しかありません。
アオキ様、ありがたいご意見ありがとうございます。
私としましては、施主さんの希望はできる限り取り入れていきたいと考えています。
その中で、プロとしての意見は申し上げています。
例えば、デザインを優先すると、機能的に問題が出る場合もあり、起りうる可能性のあることを説明して、施主さんに判断してもらいます。
当初の予算を大幅に上回る時もあり、代替案としてローコストな仕様を提案することもあります。
私たちは、あくまで施主さんがお墓づくりを楽しむための案内役だと感じています。
こちらの施主様ほどではありませんが、真剣に建墓を考えている
方は、石材や構造などについて研究して石材店と交渉するはずです。
つまり 相当の情報を得て石材店と話します。営業本位の石材店は
話す事を聞けばわかります。
つまり 本当に良い石材店かどうかは事前に十分研究し納得ゆく
説明をしてくれる石材店です。
しかし 経験からしてほぼ満足させてくれる石材店はありません。
東京の石の坊さんのような石材店は稀有な存在でしょう。