お墓というと中国産墓石が主流でしたが、ここのところ事情が変わってきています。
それは、中国産墓石の価格が上がってきたから。円安の影響も強いです。
実際に国産墓石と中国産墓石の価格差が少なくなり、石種によっては品質の良い国産墓石の方が安いケースまであります。
とはいえ、最高の国産墓石を購入したいけど、高そうで敬遠してしまう方も多いと思います。
また、世の中の多くの石材店や墓石販売店が、実は国産墓石について疎いという実情があります。
国産墓石をなるべく価格を抑えて購入することができるのか?
今回は国産墓石メーカーに勤めている私が、【極秘】情報をお伝えしてまいります。
目次
最高品質の国産墓石をなるべく価格を抑えて購入する方法
産地直送でマージンを押さえて国産墓石を購入する
それでは最高品質の国産墓石を価格を抑えて購入する方法について紹介していきます。
けっこう単純な話で、国産墓石を加工している石材店で購入するということです。
産地直送という言葉がありますが、産地で直売で購入したものは余計な中間業者が入らないので、その分の中間マージンがかかりません。
例えば、田舎にある農家の店のようなところで購入する野菜は、都会のスーパーで購入するよりもずっと価格が抑えられています。
考えてみれば当たり前なのですが、同じ理屈が墓石にも通じるのです。
国産墓石の加工メーカーは少ない
それでは、そんな国産墓石の加工メーカーが日本中にどれぐらいあるのかという話ですが
実は、絶滅危惧種レベルで少ないです。
レッドデータに載るぐらい数が減っている。
なぜならば、そこに中国産墓石の影響が強くあったからです。
中国から安価な墓石が入るようになって以来、国産墓石の加工メーカーは急速に数を減らしました。
私が住んでいる茨城県の桜川市は、日本三大石材産地と呼ばれる墓石の一大生産地の1つでしたが、今では見る影もなく規模を縮小しています。
国産墓石を加工していた石材店が、どんどん中国産墓石を扱うようになり、衰退していきました。
加工を辞め、中国産墓石主体の小売業になったり、中国産墓石を扱う商社に転換したり。
私が勤めている茨城県桜川市にある羽黒石材工業は、そんな中でも稲田石の採掘元であり国内加工を続けてきました。
ある時、他の市内の石屋に言われたことでショックだったことがあります。
「よく墓石の国内加工なんて儲からなくて大変な仕事を続けているね。国産墓石なんて辞めちゃえばいいのに」と言われました。
確かに、厳しい時期ではありましたが、悔しくも思ったものです。
その中でも続けてきたからこそ、今価値があるわけですが…
今でも頑張って国産墓石を加工している石材店がいる地域は、ある程度限定されます。
日本石材3大産地と呼ばれる、茨城県桜川市、愛知県岡崎市、香川県庵治牟礼とか、後は岡山や鳥取などにもありますが、少ないのです。
基本的に国産墓石の加工卸は直売はしない
これは国産墓石を加工する石材店のスタンスにもよりますが、基本的に消費者に直売はしません。
何故ならば卸先の小売店に迷惑を掛けてしまうからで、卸は卸としてBtoBに徹するところが多いです。
特に大手になればなるほど、その傾向が強くなります。
ただ、産地の国産墓石の加工メーカーの中には、親戚や知り合いを中心として小売りもやるところが多いです。
また卸もやるけど、小売りもやると断言している加工石材店もあります。
ちなみに羽黒石材工業ではどうするかと申しますと、実は、こうやってブログを書いたり、YouTubeで情報発信をしていると消費者から直接お問い合わせがくることが良くあります。
それこそ北は北海道から、南は兵庫県の神戸まで小売りのお客様にお墓を届けたことがありますが、これは地元の石屋さんに弊社で加工をした墓石を卸す形で、提供させていただいております。
webを利用して、直接顧客を開拓して商社や墓石小売店に売るというちょっと新しいスタイルなのですが、目の届く範囲でBtoBのお客様に迷惑をかけない地域であれば小売りも手掛けています。
墓石加工メーカーだらからこそ小売りもやるべきだという持論
皆さんは、アンテナショップという言葉を聞いたことがありますか?
企業の新商品や、自治体の特産品・伝統工芸品の販売促進をうながし、消費者の反応やトレンドを探ることが目的とされています。
そのため、実験的な商品展開をする場でもあり、情報の受発信を目的にしているという意味で、「アンテナショップ」と言われているそうです。
墓石加工卸が直接消費者に販売しない。
これは商売をする上での一つのルールです。
だけどその一方で、消費者心理がわからない墓石加工卸が消費者の心をつかむような商品やサービスを提供できるのかという疑問が残ります。
だからアンテナショップとして、消費者と直接触れ合い、生の声を聴くことに意味が出てきます。
その上で、自社の商品やサービスを磨くことに活かすとともに、墓石小売店の販売に活かせるような商品やサービスも開発し、また講演などで還元させていただいています。
最終的にお墓を届けなければならないのは消費者なんです。
だけど、実際に消費者と打ち合わせをして試行錯誤を繰り返さないと本当の意味での消費者目線は理解できません。
とまあカッコいい感じのことを書いていますが、本音では小売りもやらないと生き残ってこれなかったという実情があります。
先にも書きましたが、国産加工卸は絶滅危惧種です。国内でお墓の加工を続けているだけで実は奇跡的なことなのです。
どんな国産墓石加工メーカーに依頼したらいいの?
職人が5人以上いる国産墓石加工メーカーが安心できる
それでは、どんな国産墓石加工メーカーに依頼したら良いのかという話ですが、家族経営的にちょこちょこと加工しているところがあれば、ある程度まとまった数を年間を通して加工している石材店もあります。
どちらが信頼できるかと申しますと、数をこなしている石材店です。
何故ならば、品質が安定するから、国産墓石を加工することで技術を磨き続けることができるからです。
国産墓石を加工するといっても錆びついた機械をたまに動かし、錆びついた腕で職人が加工をしてもいいお墓になるはずがありません。
墓石を加工する機会が多いことで、様々なパターンの加工をする確率が増え、国産墓石を加工するに当たっての対応力も変わってきます。
その目安として国産墓石を加工できる職人の数が5人以上なのです。
それが、年間を通して数をこなしている国産墓石の加工メーカーである証明になります。
仕事が無ければ職人の給料を払い続けることができません。
このご時世、国産墓石の加工メーカーで職人を抱え続けられるのは実は凄いことです。
職人を5人以上抱えているということは、安定して高品質な国産墓石を加工できる石材店である証明でもあります。
機械化が進み、少人数で対応できる国産墓石加工メーカーも
そんな中でも、少人数でも機械化を進めることで、品質を保ちつつ国産墓石を加工しているメーカーもあります。
職人を抱える代わりに、機械に仕事をさせるわけですね。
機械化の最大のメリットは自動で仕事をしてくれるということです。
夜中でも休日でもセットしとけば、勝手に働いてくれます。
反対にデメリットは、導入費用が高いことです。
そして、そのイニシャルコストをちゃんと返せるだけの仕事を確保し続けなければならないことです。
またメンテナンスコストも馬鹿になりません。
結局、どんな国産墓石加工メーカーに頼めばいいの?
いろいろと書いていますが、じゃあ結局どんな国産墓石加工メーカーに頼めばいいのかというと
- 小売りOK
- 墓石加工の件数をこなしている
- 提案力がある
- 施工技術が高い
この三拍子が揃った国産墓石加工メーカーということになります。
国産墓石加工メーカーに墓石を依頼すると、確かに安く購入することができます。
ただ、その一方で小売店のような行き届いた提案やサービスや施工は難しいのです。
だって、専門がお墓の加工だから。
なので、提案力と施工技術を兼ね備えた国産墓石加工メーカーを探すことになります。
そんな国産墓石加工メーカーともなると、ほんとうに一握りです。
国産墓石の加工メーカーのデメリット
国産墓石を建てる上で直売で購入でき、価格を抑えることができるメリットがある国産墓石の加工メーカーですが、デメリットもあります。
それは、墓石小売店と比べて、サービスが行き届かない。
お客様対応が上手でなく、図面の提案もデザイン性などで劣る可能性が高いということです。
日常的に小売メインで一般消費者にお墓を売っている小売店は、販売することに長けています。
お客様満足度を高める努力をしていますし、デザイン性に優れた図面の提案もしてくれます。
それと比較すると、卸がメインの国産墓石の加工メーカーは、小売専門でやっているわけではないので劣ります。
私自身が、全国の小売店の方々とお会いしてお話をする機会が良くあるのですが、やっぱり皆さま相当な努力をされています。
墓石小売店はお墓を提案するプロなんです、なので少々お金が掛かっても満足できるお墓を建ててもらえる可能性がグンと高くなります。
とはいえ、酷い石材店もけっこうあるので、墓石小売店選びをする際にもしっかりと検討した方がいいです。
ほんと墓石販売店は玉石混合なので気をつけた方がいいです。
国産墓石の図面は、中国産墓石とはまったく違う
顧客満足度を高めるのが不得意というのは、国産墓石の加工メーカーの質が悪いとかそういう問題ではありません。
あくまで加工がメインなので、小売りでかゆいところに手が届くようなサービスができないのです。
ただ、一般的に国産墓石のお墓は、和形や五輪塔などの昔ながらのスタイルが多いです。
以前、消費者からデザイン墓石の依頼が来て、何度か打ち合わせをしたことがありましたが、けっきょくダメでした。
中国産墓石は、どちらかというと加工が派手なものが多いです。
Rや曲線を多用し、花柄などを刻み、石の色も豊富でバラエティに富んでいます。
消費者の中には、中国産墓石と同じようなデザインイメージで国産墓石を検討される方がいらっしゃいますが、別物だと思って割り切ってください。
私も過去の経験から、そう言い切っていますし、中国産墓石のような図面は引けないと最初に断ってしまいます。
いわば中国産墓石は、こってりした見た目にも華やかな中華料理だと思ってください。
国産墓石は和食であり、魚の身のうま味と新鮮さをそのまま味わう刺身のようなものです。
醤油とワサビでシンプルにいただく刺身。
好みがわかれるところですが、お墓はご先祖様が眠るところであり、いつまでも飽きがこないものがいいです。
そして、素朴であり力強くシンプルであること。
その視点で見ないと国産墓石の本当の魅力は見えてきません。
ある意味、その国産墓石に対する心の目を開いていただくのが、提案する側の役目でもあります。
自分の目の届くところでできる国産墓石
そんな国産墓石ですが、目の届くところで作られているので自信を持ってお届けすることができます。
地元の茨城県産の石種を知り尽くしています。
また叩き加工などの技術を魅せるような提案も得意です。
さらに、自社で加工をしているので毎日工場で職人とコミュニケーションをはかりながら、品質を確認しているので安心できます。
正直なところ、中国で加工されたお墓に関しては、私としては管理のしようがありません。
目の届かないところで加工をされてくるので、よくわからないのです。
よくわからないものを提供するよりも、よくわかっているものをちゃんと提供できます。
施工がしっかりしている石材店を選ぶ
お墓の施工も重要なポイントになってきます。
たぶん、多くの国産墓石の加工メーカーにとって苦手な部分になります。
何故ならば、国産墓石の加工をすることはあっても、施工をして実際にコンクリート基礎をつくって墓石を組み立てる作業はそんなに数をこなしていないからです。
国産墓石を価格を抑えたくて加工メーカーに依頼したのはいいけど、施工が下手だったのではそれはそれで目が当てられません。
当たり前ですが、お墓を建てる上で基礎だったり、耐震構造が大切になってきます。
手前みその話になってしまいますが、私はもともと土木技術者から社会人としてのキャリアをスタートしました。
1級土木施工管理技士・石材建築アドバイザーといった資格を有し、現場代理人として、道路や下水、橋梁などの工事に携わってきていますし、今でも大手ゼネコンの土木・建築工事に携わっています。
同業者の石屋さんからもよく相談を受けます。
土木・建築技術に長けている加工卸だからこそ、受注する仕事も沢山あるぐらいです。それだけ珍しい。
なので、施工も含めてトータルな国産墓石に関する提案をすることができます。
茨城県と栃木県近郊で、BtoBのお客様がいない地域に限りますが、アンテナショップとして小売りにも対応していますので、ぜひぜひご相談くださいませ。
良質な国産墓石をお届けいたします。
偽物の国産墓石に注意!
最後に注意事項を付け加えさせていただきます。
食品の産地偽装が話題になりましたが、墓石も産地偽装が問題になったことがありました。
とても悪質なもので中国の石で加工された中国産墓石を国産墓石と偽って販売したのですが、もちろん法律違反になります。
だけど日本の石を中国で加工したものを国産墓石と表示しても法的には問題になりません。
なので中国加工の国産墓石が数多く日本の墓石市場に出回っています。
日本で加工された国産墓石と中国で加工された国産墓石
実は、中国加工が安かった時代には価格的なメリットがあったのですが、現在では中国の人件費の上昇や円安の影響でありません。
なので、少なくなってきているとは思いますが、だけど一度流れができた商習慣はそんなに簡単に変わるものではありません。
基本的に日本中のほとんどの石屋が、中国産墓石、もしくは中国で加工された国産墓石を扱うことに慣れてしまっています。
「国産墓石は高いだけで品質も良くないから、安い中国産で十分ですよ。」
なんていう石材店が多いのも事実ですが、ほんとうに国産墓石の魅力を知っているのか甚だ疑問に思います。
たぶん単純に国産墓石についての知識が浅いのもあるでしょう。
そういう石材店から国産墓石を購入しても良いお墓は建てることが難しいと思われます。
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