皆さん、この3つ並んだ文字をご存じですか?
この字は古代インドのサンスクリット語を表記するための文字で『ア』と呼びます。
この一文字で、大日如来を表すありがたい文字で、真言宗や天台宗のお墓に利用されることがあります。
この3文字、同じ『ア』なのですが、何かが違うのがおわかりになるでしょうか?
そうなんです。彫り方が違うので、同じ梵字の『ア』でも見え方が違うんですね。
ちなみに左から
- 薬研彫り
- さらい彫り
- 通常彫り
という彫り方になります。
同じ文字でもこれだけ表現が違うと、色々と検討したくなってきませんか?
ということで、お墓に刻む文字の彫刻の種類について紹介していきます。
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目次
墓石に刻む彫刻の種類
基本はサンドブラスト
お墓の字彫り、お客様の中には、石工職人がノミで彫っていると思われている方が意外に多いのですが、現在は、9割9分9厘、サンドブラストによって彫られています。
サンドブラストの彫刻が便利で安価にできるので、わざわざ手間暇掛けて石工が彫ることも無くなりました。
いや、手彫りが全くないというわけではないのですが、私の知る限り、10年間の間で一度しか墓石に手彫りで文字を刻んだのを見たことがありません。
そのお客様は非常に石工職人の手づくりに拘られる方で、薬研掘り(ヤゲンぼり)にて依頼されました。
薬研彫りとは、ノミで底をV字にカットする彫り方です。
V字にカットというと、サンドブラストを当てて彫るのは難しそうに感じますが、可能です。
サライ彫り・薬研彫り・通常彫り
サライ彫り(サラエ彫り)
サライ彫りとは、サンドブラストにて字を彫った後をノミでサラって底の深さをそろえる彫り方です。
字の底がきれいに見えるのが特徴になります。
更に字の横の面もサラうのを総サライ彫りと言います。
ノミで底をサラうと、字が全体的に白っぽくハッキリ見えます。
洋型でデザイン性を出したい場合に向いています。
薬研彫り(ヤゲンぼり)
先ほども書きましたが、字をV字に刻み込む彫り方です。
五輪塔に刻む梵字に多く見られる彫り方です。
普通の墓石に薬研彫りで彫ってあったら通っぽいです。
サンドブラスト(通常彫り)
サンドブラストで普通に彫るとこんな感じになります。
写真ではわかりにくいですが、字の底はけっこう凹凸があり深さにも差が出ます。
それが、字にも陰影をもたらします。
この文字彫刻が最もポピュラーでよく見かけます。
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浮かし彫り・二段彫り・ツヤ消し彫り
浮かし彫り
浮かし彫りは、文字の周囲をサンドブラストで彫り込み、文字を浮かせる方法です。
二段彫り
最近流行ってきた彫り方で、輪郭をスジ彫りしてからその中をブラストします。
字の輪郭がハッキリ出て、デザイン性があるので、洋型墓石に向いています。
呼び方が石材店によって様々で『デザイン彫り』と呼ばれることもあります。
ツヤ消し彫り
ちょっと写真では、反射してしまってわかりにくいですが、サンドブラストで軽く叩いて、石に模様を付けた程度の彫り方です。
文字彫刻よりは、お墓の床板に滑り止めも兼ねて、ちょっとした花の絵を彫るとか、そんな場合に使います。
墓石の文字彫刻の種類による価格は?
文字彫刻は、基本的に大きくて深くなるほど価格は高くなります。
また通常の彫り方よりも薬研やサライ彫りの方が手間が掛かる分高くなります。
デザイン性の強い二段彫りは、輪郭を先に深く彫り込んでから中も彫るので、手間が掛かり更に高くなります。
状況によっては、数万円の差になるかもしれません。
ただ、文字の刻み直しは、後ではできませんので、後で不満の残らないように納得のできる文字彫刻を選択してください。
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まとめ
墓石に刻む文字の彫刻の種類について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
何気なく見てしまうお墓の文字ですが、こんなにも違いがあるのです。
選ぶ文字や書体はもちろんですが、掘り方でもガラッと印象が変わります。
そんなことを考えながらお墓の文字を眺めてみるの面白いものですよ。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 佐藤家の文字は、元々あったお石塔の書をそのまま写して、さらい彫りにて仕上げています。 […]