先祖代々続くお墓、人が亡くなる度に骨壺をお墓の中に入れていきますが、納骨室がいっぱいになってしまったらどうしたらいいのでしょうか?
お墓の中が骨壺でいっぱいになったらどうするのか?
けっこう心配される方もいて、私もたまに相談を受けることがあります。
結論から申しますと、土に戻します。
「えっ?」と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、お墓の中には一般的に土に戻すための場所が設けられているのです。
それでは、土に戻す仕組みについて詳しく説明していきます。
目次
お墓の中が骨壺でいっぱいになったらどうするの?
納骨室(カロート)はどこにある?大きさは?
ご先祖様の遺骨をどのようにして土に戻すかの説明をするために、簡単にですが先ずはお墓の構造について紹介させていただきます。
お墓は、上から石塔、納骨室、土に返すところ、という順番の構造になっています。
お石塔は皆さんが手を合わせてお祈りをするところです。南無阿弥陀仏だったり何妙法蓮華経だったり、宗教宗派によっては異なりますが、〇〇家之墓といった文字が彫ってあるところです。
その下に骨壺が入る納骨室があります。この納骨堂の中は目視では見えません。別名カロートとも呼ばれます。
このカロートは地面より上にある地上カロート、地面と地上の両方にまたがる半地下カロート、そして地面より下にある地下カロートの3種類にわかれます。
大きさもまちまちで、それこそ人がすっぽり入れるものもあれば、私などはけっこう大柄なこともあり、片足をツッコんだら身動きが取れなくなる場合もあります。
なので、骨壺が納まる数も違ってきます。
骨壺の大きさはどのくらい?
それでは、納骨室に入る骨壺の大きさはどのぐらいでしょうか?
関東では一般的に7寸サイズ(21cmほど)が多く用いられています。これは基本的に火葬場で遺体を焼いたら全部の遺骨を入れるからです。
ちなみに西日本では全てを収骨しないで、喉仏など大切な部分だけを納める部分収骨が多く、骨壺の大きさも5~6寸サイズ(直径15~18cmほど)になります。
この骨壺の大きさによっても入る数量は変わってきます。
どうやって骨壺の中の遺骨を土に返すの?
ここまで納骨室の大きさと骨壺のサイズについて説明してきましたが、いよいよここからどう具体的に土に返すかについて紹介していきます。
納骨室と聴くと、コンクリートや石で囲われていると思われる方がいらっしゃいますが、実は下の部分に穴が空いているんです。
その穴から地面に通じているので、そこの土を掘ってどかしてから骨壺から遺骨を空け、その上から土を被せて埋め戻します。
なので、納骨室の内部が骨壺でいっぱいになったとしても心配いりません。土に返せるような構造になっているのです。
遺骨を土に返すのは大変
だけど、意外と土を掘る作業が面倒だったりします。
それは納骨室がけして広くないからで、関東でよくある納骨室の入口のサイズは間口2尺(約60㎝)程度しかありません。
奥行も尺~尺3寸(30~39㎝ほど)で狭く、そこにスコップを入れて穴を掘るのはそれなりに大変です。
簡単に掘れればいいのですが、土が硬かったり砂利が入っていたりと難儀する場合があります。
さらにその後も骨壺がいっぱいになった順から遺骨を土に返していくことになるので、最初に掘る場合には、ある程度深くまで掘る必要があります。
ここで問題になるのが、よくある一般的な穴掘りスコップでは大き過ぎてまともに土を掘れないということです。
[ad#co-2]納骨室内の穴掘りに向いているスコップとは?
ここからはかなりマニアックな話になるので、興味がある方だけ読んでいただければと思いますが、納骨室内に遺骨を戻すための穴掘りですが、いくつかの適したスコップがあります。
その名も「細く深く掘りやすい溝堀りショベル」
こちらのスコップは、名前の通り細く深く掘れるので、狭い納骨室内で深く掘るのに適しています。
後は、小回りが利くということでこちらのスコップ。
先ほどのスコップは用途が限られますが、こちらは、他にも広く使えるので一本持っておいても重宝します。
これらのスコップを使用して掘りますが、中には硬い石がゴロゴロ入っていたりして、掘り進めることが困難な場合があります。
その際には、バールなどを利用して、石をひっかき出しながら掘り進めていくことになります。
ケースによっては、けっこう時間が掛かる時があるので、骨壺から遺骨を土に返す場合には、時間に余裕をもって臨んだ方がいいです。
土に返すための穴が空いてないケースも!
これは実際にあったことなのですが、いざ納骨室を空けて土を掘ろうと思ったら、下がコンクリートで塞がれている場合がありました。
これでは骨壺から遺骨を撒いて土に返すことができません。2、3度経験があります。
その場合にはかなり大変で、一旦石塔をどかしてコアカッターでコンクリートに穴を空けます。
費用としてはこれだけで10万円ぐらい飛んでしまいますし、本来掛かるべき費用ではないので施主さんとしても不満が残ります。
最近の霊園では土に戻さずに、骨壺がいっぱいになったら合同埋葬施設に納めるようなところもありますが、それとも違います。
30~50年前の施工だったりするので、施工した石材店の責任を負えないし、泣き寝入りするしかありません。
土に返すといっても火葬したお骨は自然に返らない。
このブログでは、ずっとお骨を土に返すと言っていますが、風化して土に返るという意味ではありません。
火葬したお骨はセラミック化しているので、数百年単位でも土に返ることはないそうです。つまりずっとそのままの形で残っている。
これは最近流行りの樹木葬でも同じです。自然に返ることをイメージして宣伝をしていて、実際にそのイメージで購入される方も多いかと思いますが、火葬である限り自然に返らないのです。
本当に自然に返すとしたら、昔ながらの土葬にするしかありません。土葬ならばゆっくりと腐敗しながら土に返っていきます。
お墓の中が骨壺でいっぱいになる前に土に返すことも
ここまでは、お墓の納骨室が骨壺でいっぱいになったケースについて書いてきましたが、実はその前に土に返す地域もあります。
それは「弔い上げ」というもので、33回忌のタイミングなどで遺骨を骨壺から土に返します。
これはお坊さんによって、色々と説明をされますが、神仏習合の時代の名残が強かったりします。
33回忌までは仏様、それから先は神様になるということで地域によっては今でもこの「弔い上げ」をするところがあります。
[ad#co-3]お墓の中が骨壺でいっぱいになったら土に返す
お墓の中が骨壺でいっぱいになった場合の対処法について色々と書いてきましたが、土に返すのが基本になります。
なので心配で不安な方がいらっしゃったら安心してください。大丈夫です。
その際には、狭い納骨室の入口から穴を掘ることになるので、意外と大変な作業になります。
コメント