
手軽な除草方法として売られている「塩」は、大切な墓石を確実に傷めます。
『絶対』という言葉を大袈裟に感じるかもしれませんが、大袈裟ではありません。
この記事では、塩がなぜ墓石を傷めるのかを仕組みから説明します。バーナーや熱湯、除草剤は大丈夫なのか、もう塩をまいてしまったらどうするのかも分かります。
お墓に関するブログを10年以上書き続け、石材業界に約25年携わってきた元石屋として、現場で見てきたことと、石の成分から説明します。
- お墓の除草に、塩は絶対に使わない
- 塩は、墓石の細かい穴から中にしみ込み、石の中の鉄分をさびさせて、石を傷める
- バーナーは墓石に火を当てないようにする。熱湯は大丈夫。除草剤は墓石にかけない
- もう塩をまいてしまったら、水でたっぷり洗い流す
塩で墓石が傷むのは科学的に当たり前、石の中の鉄分がさびる
お墓で絶対にやってはいけない除草方法。それは、塩をまくことです。

理由は、石を傷めてしまうから。除草のつもりで墓石を傷めてしまったら、本末転倒ですよね。
これは現場の経験だけでなく、石の成分からもはっきり説明できることです。
実例は、日本全国の海沿いの墓地を見ればハッキリ分かります。潮風が当たる墓地では、お墓の表面が荒れてザラザラになっています。塩分が風化を進めているからです。お墓に塩をまくのは、自分で同じことを起こすのと同じです。
お墓に使われる御影石は、そもそも塩分に弱い石です。鉄などの金属を含んでいるからです。
そして石には「細孔(さいこう)」という細かい穴がたくさん開いていて、水を吸います。塩分は、この穴から石の中まで入り込みます。
- まいた塩が、雨で溶けて塩水になる
- 塩水が、石の細孔から中へしみ込む
- 石の中の鉄分などの金属が、塩分でさびる
- 鉄はさびるとふくらむので、石の表面がはじけ飛ぶ「ポップアウト」が起きる
石はとても硬いようで、内側から押される力には弱いのです。
御影石に含まれる鉱物は、本来そう簡単には風化しません。いちばん早く風化を進める原因が、鉄分のサビなんです。
つまり、お墓に塩をまくことは厳禁です。墓石の風化を早めるだけです。
「お墓用」の除草の塩も売られているが、使わないで
お墓にまく除草用の塩は、ふつうに販売されています。ネットで検索しても出てきます。
「お墓用」として売られているので、石に悪いとは思わずに使ってしまう。そこがたちの悪いところです。
塩害にあった田畑で作物が育たなくなるのと、原理は同じです。塩分を含んだ土では、草が枯れて生えてこなくなります。
刈っても抜いても生えてくる雑草に悩んでいると、一見合理的に見えるかもしれません。だけども、石にとっては逆効果です。
最初は効果が出ても、のちのち後悔します。草はいくらでも刈れますが、墓石の交換は簡単ではなく、お金もかかります。
石材店にとって、塩がお墓に悪いのは常識
石材店は、塩が石に悪さをしているところを、経験で見てきています。
御影石には鉄などの鉱物が含まれているので、塩が墓石に悪いのは、科学的に見て当たり前のことです。
りょういちだから除草目的だったとしても、絶対にお墓に塩をまかないようにしましょう!石屋さんとの約束です。
納骨式などで塩をまいたら、終わったあと水で流す
地域によっては、納骨式などの儀式でお墓に塩をまくのが一般的なところもあります。お清めとしてまかれることもあります。
宗教的な行事なので、塩をまくこと自体をやめてくださいとは言いません。ただ、まく側の方が、塩が墓石を傷めることまで知っているかどうかは分かりません。
儀式が終わったら、まいた塩をできるだけ取り除き、墓石と周りに水を多めにまいて流しておくと、石には良いです。



儀式でお墓に塩がまかれるのを、石材店は内心「ええっ」と思いながら見ています。まかれた塩を、あとでキレイに掃いて集めることもあるくらいです。
塩のほかは?熱湯は大丈夫、バーナーと除草剤は使い方しだい
塩のほかにも、お墓でよく使われる除草方法があります。墓石への影響は次のとおりです。
除草方法ごとの墓石への影響
| 除草方法 | 墓石への影響 | 使うときの注意 |
| 熱湯をかける | ◎ | 墓石にかかっても問題ない |
| バーナーで焼く | △ | 墓石に火を当てないようにする |
| 除草剤 | △ | 墓石にかけない |
| 塩 | × | 絶対に使わない |
◎は問題ない、△は使い方しだい、×は使ってはいけない、という意味です。
- 熱湯:墓石にかかっても大丈夫。石にやさしい方法
- バーナー:墓石に火を当てないようにすれば問題ない
- バーナーの火を墓石に当てる:石英などの結晶がはじけ飛ぶ
- 除草剤を墓石にかける:石とどんな反応が起きるか分からないものもある。塩分入りは石に悪い
- 塩をまく:石の中にしみ込み、鉄分をさびさせる
バーナーで墓石の表面がはじける仕組み
市販の草焼きバーナーの炎は、1200〜1300℃ほどにもなります。
石材の加工には、この性質をわざと使う「バーナー仕上げ」という方法があります。石を作っている鉱物は、熱でのふくらみ方がそれぞれ違うので、火を当てると表面がパチパチとはじけて、ザラザラした仕上がりになるのです。
墓石に火を当てると、お墓の表面にバーナー仕上げをしているのと同じことになってしまいます。
あわせて読みたい:石がパチパチ弾け飛ぶ!敷石をジェットバーナー仕上げにする動画が面白い
もう塩をまいてしまったら、水でたっぷり洗い流す
すでにお墓に塩をまいてしまった場合は、墓石とその周りを、水でたっぷり洗い流してください。
塩は水に溶けやすい性質です。石の中にしみ込んで鉄分をさびさせる前に、できるだけ流してしまうことが大切です。
石にやさしい雑草対策は、防草シート+砂利
では、お墓の雑草はどうすればいいのか。


石へのやさしさ、雑草を防ぐ効果、手間のバランスが一番いいのは、防草シートの上に砂利を敷く方法です。ほかの方法との比べ方や、敷き方の手順は、こちらで詳しく説明しています。
あわせて読みたい:お墓の雑草対策|せっかくのお墓を傷めない、石にやさしい方法
元石屋のひとこと:塩だけは絶対にやめてください
絶対に、除草のためにお墓に塩をまくことはやめましょう。石を傷め、風化を進めるだけです。



お墓の除草用に塩が販売されていますが、使わないでください。ここまで言い切ると販売会社に迷惑がかかると思いますが、それぐらいダメだということです。石屋さんが言うのだから間違いありません。
この記事の根拠:25年の現場経験と、石材の専門資料
この記事は、私が石材業界で約25年見てきたことをもとに書いています。石が傷む仕組みは、次の資料でも示されています。
- 現場の経験:海沿いの墓地で墓石の表面が荒れること、塩が御影石の鉄分をさびさせること、バーナー・熱湯・除草剤の扱い、塩をまいてしまったときや儀式で塩をまいたあとの対処(筆者。1級お墓ディレクター・1級土木施工管理技士)
- バーナー仕上げで石の表面がはじける仕組み:墓石・建築石材会社の解説「石の弱点を利用 バーナー仕上げ」
- 草焼きバーナーの炎の温度:工具通販サイトの草焼きバーナーの商品仕様(火炎温度1300℃)










コメント
コメント一覧 (5件)
[…] お墓の除草で絶対にやってはいけない方法 […]
墓石屋の一方的な意見であり僧侶も宗派も考え方は人それぞれ貴方の一方的な意見を押し付けるのは如何なものか
確かに墓石に塩は良くないかもだが周りに適量撒くのは今後そこに花を植えないなら問題ない訳で墓石付近に撒かなければ良い話
玉泉院さま、貴重なご意見をありがとうございます。
当方としては、自身のブログで責任を持って発言をさせていただいております。
科学的な根拠のあることであり、実際の墓地にて被害も出ております。
石に被害が出ない程度の適量があるのであれば、具体的に教えていただけるとありがたいです。
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