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鉄につきもののサビ。
現場で施工する鉄筋も直にサビてきてしまいます。
こんにちは!1級土木施工管理技士の『なかの』(@ryoryoly)と申します。
公共事業や大手ゼネコンのコンクリート施工に多く携り、お墓の工事も管理しています。



今回の内容は、お墓に限らず、鉄筋コンクリート構造物全般の問題です。
さて、見た目の悪くなるサビですが、実は多くの現場でサビの出た鉄筋を使用しているのが現実です。
これは業社の怠慢なのでしょうか?
問題はない?
そんな鉄筋の錆(サビ)の疑問にお答えします。
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目次
基礎工事に利用する鉄筋は簡単にサビてしまう!
皆さんも身の回りの鉄が、サビてしまっている様子を見ることがあるでしょう。
鉄って雨に濡れると直にサビるし、湿気が多いだけでもサビてしまいます。
海沿いで潮風が吹く地域だとあっと言う間にサビます。
鉄筋のサビについては、以前にもコンクリートに重篤なダメージを与えると説明しています。


鉄筋がコンクリート内部でサビると『爆裂現象』が起きてコンクリート基礎を破壊するんですね。
さて、そんな鉄筋のサビですが、実際には建築現場を見るとサビてしまっているものをそのまま利用していることは当たり前にあります。
お墓の基礎工事ぐらいだったら、1日でコンクリートを打つことが可能なことも多いです。
しかし、建築現場だと工期が長期間に渡り、その間鉄筋が雨ざらしになります。






『爆裂現象』のメカニズム
鉄筋がサビると、少しだけ膨張します。
サビた鉄筋が膨れ上がっているのを見たことがあると思います。
コンクリートってとても硬いのですが、反面、非常にもろく、内部の鉄筋のちょっとした膨張が引き金となり、破壊が起こることがあります。
それが『爆裂現象』ですね。
最初はちょっとしたクラックが起こっただけだとしても、そこに雨水が入り込むようになり、加速的にサビが進行することもあります。
鉄筋コンクリート構造物で一番怖い、寿命に係る問題になるのです。
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鉄筋はアルカリ性の皮膜により安定する。
でも、安心してください。
そんな不安定な鉄筋をコンクリートが守ってくれます。
鉄筋は、周りがアルカリ性だとサビが侵攻しないという特徴があります。
コンクリートはアルカリ性です。
鉄筋コンクリートは、最高の相性の構造物で、多少のサビがあっても問題にならないのです。






素人だと思ってバカにするんじゃない(怒)
コンクリートのアルカリバリアーが切れる時
コンクリートはアルカリ性であり鉄筋をサビから守ってくれますが、万能ではありません。
コンクリートは空気に触れた面から徐々に中性化していき、何十年というスパンで鉄筋にまでたどり着きます。



そういうことなんです。
これらのことから言えるのは、
- 鉄筋施工時のサビはけして不良施工ではないし、業社の怠慢でもない。
- 業社の怠慢があるとしたらコンクリートの中性化対策を怠ること。
ということになります。
コンクリートの中性化対策とは?
鉄筋の被り厚を適正に確保する
ビルや大型の鉄筋コンクリート構造物だとコンクリートの中性化を抑制して、建物の寿命を伸ばす為に特殊な処理をします。
お墓の基礎は、地中に埋まっていますし、最も中性化が進行しやすいのは底面だと言われています。
中性化抑制のためにメンテナンスを施すことは現実的ではありません。
コンクリートの中性化は表面から徐々に侵攻していきます。
なので、なるべく中性化から強い基礎をつくるためには、コンクリートの表面から鉄筋を離せばいいのです。
とは言っても、鉄筋が適正に入っていないと、コンクリート自体の強度が落ちます。
土木工事では、一般的に6cm程度の被り厚は確保した方が良いとされています。
より中性化の侵攻の早い底面は8~10cm程度あってもいいでしょう。



まとめ
基礎の鉄筋のサビは業社の怠慢で不良施工?お墓の基礎工事の疑問ということで説明をしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
結論は、鉄筋のサビ自体は業社の怠慢でも不良施工でもありません。
見た目の悪い鉄筋のサビに不安になるかもしれませんが、安心してください。
本当に業社の怠慢で不良施工なのは、きちんと鉄筋の被り厚さを確保しないことです。
コンクリートの寿命は中性化により内部の鉄筋がサビて『爆裂現象』が起ることです。
施主さんが、基礎工事の様子を見る機会があったら、チェックポイントは被り厚です。



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