お墓の工事を依頼する際に、できるだけ安くしたい。
余分な費用ははぶきたい。

石材店のHPやブログを見ると、地域差はありますが、尺(30cm)基礎とか鉄筋を2重に配筋したりと頑丈な基礎を心がけているのを見かけるようになりました。
差別化の意味も強いと思われますが、ちょっと昔のお墓の基礎は、もっと簡素なものでした。
申し送れました。私は1級土木施工管理技士の『なかの』(@ryoryoly)と申します。
公共事業や大手ゼネコンの仕事の管理もさせていただき、お墓の工事にも携らせていただいています。



基礎砕石を入れなければ、確かに費用を削減できますし、お墓も安く購入できるはずです。
基礎工事って砕石を敷いて専用の転圧機械で振動させて締め固めるわけですが、果たして意味はあるのでしょうか?
その辺の基礎工事のメカニズムに触れていきたいと思います。
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目次
お墓の基礎工事、基礎工事を施工しないとどうなる?
土の上に直接置くと、お墓が傾き、地震で簡単にバラバラに
昔のお墓の工事って、かなり簡単に作られていました。
砕石(割栗石)やコンクリートが施工されているならまだしも、土の上に石を直接置く施工も普通に行なわれていました。



そう、その通りで、土の上に直接置いたお墓は、徐々に傾いてしまったり、地震で簡単に倒れてしまいます。
東日本大震災では、簡素な構造のお墓がバラバラに壊れてしまいました。
先祖代々のお墓が壊れてしまうほど、切ないものはないです。
お墓は、御影石でできていますので【重い】です。
そして、その【重さ】には偏りがあり、均一に地面に力が加わるわけではありません。
土はいくら締め固めたところで、柔らかいです。



コンクリートは硬い!あえて基礎砕石(割栗)はいらないのでは?



お墓が【重い】ので、下の土が耐えられないのなら、コンクリートの上に載せれば問題ない。
確かにコンクリートは硬いので、少々重いお墓を載せたところでビクともしません。
ただし、そのコンクリート基礎の下の土はどうでしょう?
コンクリート基礎の下の地盤は、【お墓+コンクリート基礎】の加重を背負うことになります。
更に重くなった重量を支えるわけですね。



割れてしまうケースも多々あるんですよ。
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基礎砕石の役目は、下の地盤を締め固めつつ、強固な層をつくること!
基礎砕石の施工は大きく2つの意味があります。
- 基礎砕石の下の層にくい込ませて硬くする
- 基礎砕石の層自体を締め固めて強固にする
基礎砕石を締め固める際には、転圧作業という、締め固めるための作業を行います。
その際に利用される転圧のための機械には2種類あります。
お墓の基礎砕石の転圧機器①ランマ/タンパ
日立工機のランマのyoutube動画からお借りしました。
ランマは、下に向って衝撃力を伝える転圧機械です。
砕石を下の地盤にまでめり込ませて地盤も強固にする役目があります。
下の地盤が雨水を吸ってしまったり、地下水位が高くて軟弱地盤の状態だと、【こね返し】という下の地盤がぐにゃっと押しつぶされて、モコッと盛り上がる現象が出てしまいます。



もちをついているようなものです。
お墓の基礎砕石の転圧機器②プレートコンパクタ
youtubeでわかりやすい動画があったので借りてきました。
プレートは振動を砕石に伝えることで締め固めて、強固な層をつくるための転圧機械です。
プレートコンパクタは砕石の特徴を活かした転圧機械です。
砕石は通常大きい粒が40mm程度で、細かくなるとダストと呼ばれる吹けば飛ぶようなホコリになります。
それがバランス良く分布しているのが砕石の特徴になります。



大きさの違う石の粒同士は、振動を与えられると密に隙間に入り込みます。
ぎゅーっと固まって強固な層をつくりあげるんですね。



なんとなくイメージとしては、ランマが強力でプレートが軟弱と捉えている方もいらっしゃいます。
でも、この2つの転圧機械はそもそも目的が違うんです。
両方の転圧機器を利用するのが理想なのです。
ただし、お墓の基礎工事だと面積が小さくて、プレートでの転圧が難しい場合があります。
その場合には、ランマでより入念な転圧をすることが必要になります。
基礎【砕石】でなくて【割栗石】だとどうなの?
割栗石というのは、上の写真のように大きな粒の石で、昔からお墓の基礎工事に用いられてきました。
割栗の良いところは、尖った部分を下に向けてランマで締め固めると、下の層に良くくい込むことです。
ちょっとした軟弱地盤だと、割栗石が良く効きます。
その反面、粒の大きさが一定なので、隙間ができやすいという難点があります。
割栗石を利用した際には、上に砕石を敷いて転圧することが必要になります。



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まとめ
お墓の工事にあたってなるべく安く済ませるために、基礎砕石(割栗)を施工しないとどうなるの?
という視点で記事を書いてみました。
砕石基礎が、必要なものであることがなんとなく理解できましたでしょうか?
何も値段を高くしたいがためにやるわけではなくて、ちゃんとした理由があるんですね。
意味がちゃんとわかると、どうしたら砕石を強固に転圧できるのかといったところまで考えも発展させることができます。
例えば、砕石は、パサパサだと締まりませんし、水分を含み過ぎていてもべチャべチャで全く締まりません。
【最適含水比】と言って、隙間なく砕石を締め固めるのに最適な水分量があり、そこになるべく近づけて施工をすると、良い砕石層をつくることができます。



コメント
コメント一覧 (4件)
お世話になります。
中野さんは地層はどう思われてますか?
掘って20cmくらいのとこに硬い地層があった場合、それ以上掘らないようにしています。
単純に30cm掘って10cm採石、コンクリート20cmというよりも浅くても固い地盤があれば必ずしも30cm掘る必要はないと思うのですが、いかがなもんでしょうか?
宮崎さん、お世話になります。
強度的に問題のない地層ならば、それ以上掘らない方がいいです。
見極めが難しいですけど。
それと
ワイヤーメッシュはどうでしょうか?
墓石の基礎工事なら鉄筋にバンセンよりも錆びなくていいんじゃないかと思うのですが。
施工中に鉄筋がサビることはよくあります。ワイヤーメッシュも同様ですが。
ビルなどの大型の建物の鉄筋工事だと、時間が掛かりその間野ざらしになります。
コンクリートはアルカリ性なので、中に入ると科学的に安定してサビが進行しません。
コンクリートが中性化した時が怖いのです。