頑丈な基礎の上に耐震補強を完璧に施したお墓を建てても地盤が悪ければ傾いてしまいます。
そう考えるとお墓を建てる上で一番大切なのは地盤だと言っても過言ではないかもしれません。

公共事業や大手ゼネコンでの施工管理に携わっていて、お墓の工事の管理もしています。
住宅では、地盤調査をして、地盤が弱い場合には地盤改良をしなければならない決まりになっています。
お墓には、地盤調査をする決まりがないので、地盤の強さを把握できません。



そうですよね。消費者にとっては、安心できる100%に近い品質でお墓を提供して欲しいはずです。
お墓の地盤に関しては、個人的にとても悩んでいまして、地盤保障システムを組み込めないかとか、いろいろ考えていました。
その末に編み出したのが、今回紹介する、お墓の簡易的な5つの地盤調査方法です。
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目次
お墓を建てるのに問題ない地盤の強さって?
お墓を建てる土地の地盤の強さは、いったいどれくらい必要なのでしょうか?
私は、過去にお墓の地盤調査をして6mの深さまで柱状改良を施したことがあります。
これは、戦時中の防空壕が地下にあるかもしれないという特殊な事情があったからです。
相当な金額が掛かりますので、普通の墓地ではまず、やりません。
ただ、この時の経験からお墓を建てる際にどのくらいの地盤の強度があればいいのか具体的な数字として理解できるようになりました。



地盤の強さ、N値はどのように調べられる?
地盤調査の方法にはいくつか種類がありますが、一般的なのが簡易的に行うことができるスウェーデン式サウンディング試験です。
スウェーデン式サウンディング試験とは、鉄製の棒(ロッド)に円錐形をねじったような器具(スクリューポイント)を取り付け、ロッド(鉄製の棒)に5~100㎏ までのおもり(錘)を乗せ、何㎏の重さでロッドが沈下するのか、おもりを載せても沈下しない場合はロッドをどれくらい回転させたら沈むのか、というデータを取得し、そのデータから地盤の硬さを測定する試験方法です。
参照:住宅じばん辞典


参照:http://jibanjiten.com/?p=559
実は、なかの家の母屋は、東日本大震災で全壊になってしまいました。
家が傾いて天井をぶち抜いて瓦が落ちてきたんですね。
家を建て替えたのですが、その再にスウェーデン式サウンディング試験を行っています。
地盤面のN値は3.4、これは実はあまり良い地盤の固さとは言えません。
地盤改良をしないで済むギリギリの硬さです。
ただ、4mほど深くなるとN値が20を超え硬い地盤があることがわかります。
木造住宅でなくて重量のある鉄骨だったら、間違いなく4mの深さまで何らかの地盤改良が必要になっていました。
スウェーデン式サウンディング試験は、業者に依頼すれば3万円程度でやってくれます。
でも、お墓の工事で一々やっていられないというのが正直なところだと思います。
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地盤の強さを自分なりに把握する5つの方法!
お墓の工事をするにあたって地盤調査を一々やっていられない、でも、壊れるお墓はつくりたくない。(当たり前ですが)
そのような場合どうしたらいいのでしょうか?
私が自分なりに実践している5つの方法をお教えします。
お墓の地盤の強さを把握する5つの方法
- 地盤マップを見る
- 周囲の状況を見る
- 地層を見て判断する
- 思いっきり踏んでみる
- 簡易式のサウンディング試験をする
①地盤マップを見る


参照:https://supportmap.jp/
LIXILグループのジャパンホームシールド㈱のサイトでとても地盤を調べられます。
地盤サポートマップ、きれいで見やすいですし、けっこう細かく見れ、その土地の傾向を読むことができます。
ちなみに私の実家の母屋の土地は、揺れやすい土地でした。
関東平野は、関東ローム層が積もっているので、全般的に地震に弱いです。


関東では、お墓の基礎工事に鉄筋の利用率が高いのも係りがあるかもしれませんね。
②周囲の状況を見る
周囲の環境からおおよその地盤の様子を推測することができます。
例えば、周囲を高い丘に囲まれた窪地だと土砂が堆積していて地盤が悪そうとか、
水田や川が近いので地下水位が高そうとかですね。
お墓を建てる予定地の周囲の墓石を見て回るのもいいです。
お墓に傾きがみられる場合もあるでしょう。
墓地管理人に地盤の状況を聞いてみるのもいいですね。
他の石材店が作業をしていたらさりげなく様子を探ってもいいでしょう(笑)
他で杭を打っているのなら、間違いなく打った方がいいです。
③地層を見て判断する
スウェーデン式サウンディング試験よりももっと詳細に地盤を調べることができる標準貫入試験では、ストローのような鋼管を地面に差し込み、実際の地盤をサンプリングすることができます。
岩>レキ>砂>粘土
大まかに上のような強さになりますが、それぞれ混ざり合ったり、密度にも差があります。
また、水分の影響も大きいです。
お墓の基礎工事では、標準貫入試験などやってられませんから、堀った地盤を目視で確認します。
事前に、墓所の一部分を掘削予定深さまで掘ってみます。
ポロポロと崩れる赤土や白っぽいシルト層があると最悪です。柔らかい粘土層も辛いですね。
このような場合には、何らかの地盤対策が必要になります。
④思いっきり踏んでみる



N値3の感覚、口で言うのは難しいですが、思いっきり地面に向かってフットスタンプしてもそう凹まないぐらいです。



地盤調査をする機会があれば、私のように何となくでもその硬さを体で覚えてみるのもよろしいでしょう。
⑤簡易式のサウンディング試験をする
工事をする前に簡易的なサウンディング試験ができたらいいですよね。
何となく怪しそうだな~、でもよくわからないな~という時に便利なのが、鉄筋棒です。
太さ10mmでも13mmでもいいので、2m程度の長さの鉄筋を用意して地面に刺すんですね。
溶接してTの字にしてあると尚良いです。
グリグリと回しながら刺していくことで深いところの地盤の固さを感覚として知ることができます。
地盤面がフカフカで心許なくても、1mも刺すと硬い地層に当たることもあります。
地盤改良方法には、置換工というものがあって、悪い地盤をそっくり砕石に置き換える工法があります。



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まとめ
お墓が傾いた?地盤の強さを自分なりに把握する5つの方法!ということで、まとめてみましたがいかがでしたでしょうか?
- 地盤マップを見る
- 周囲の状況を見る
- 地層を見て判断する
- 思いっきり踏んでみる
- 簡易式のサウンディング試験をする
ということで紹介してきました。
この5つの方法は、正確に調べることのできないお墓の地盤において、判断する指針になります。
ぜひ、上手に活用してみてください。
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