お墓の基礎コンクリートは鉄筋とワイヤーメッシュどちらが良い?

お墓の基礎工事は、全国的に一律というわけではなく、違いがあります。

なかの
こんにちは、1級土木施工管理技士の『なかの』(@ryoryolyです。

公共事業や大手ゼネコンでの施工管理に携わっていて、お墓の工事の管理もしています。

 

今回は、お墓の基礎コンクリートに使用するのに、ワイヤーメッシュと鉄筋のどちらが相応しいのかという話です。

 

私が住む茨城県では、お墓も大きく、高く、基礎コンクリートに掛かる墓石の荷重も重くなります。

そうかと言えば、巻石と呼ばれる15cm角程度の石をグルッと回して中に石塔を建てる地域もあります。

地域差があり、一律にどちらが良いとも言えない部分もありますが、それぞれの特徴を踏まえて、説明をしていきます。

 

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目次

茨城県では、お墓が大きくて基礎も頑丈!

福島県産十万石青みかげと茨城県産真壁青小目のお墓

私が住んでいる茨城県のお墓のコンクリート基礎は、全国的に見ても頑丈です。

お墓が大きくて石の量も多く使うので、面積辺りだと、木造住宅レベルの加重の割合になることもあります。

 

ということは、そのまま受け止めると木造住宅レベルの基礎工事を施す必要性が出てきます。

墓地に行くと、他の石屋さんが基礎工事をしているところを見かけますが、溶接金網(ワイヤーメッシュ)を使用しているところはありません。

鉄筋の径の違いはあります。

ほとんどが13mmの太さの鉄筋を利用していて、稀に10mmがあるぐらいです。

 

差別化のため、大手の墓石販売店がチラシなどで積極的にお墓の構造について記載していることも影響としては、大きいでしょう。

他で頑丈な基礎をつくっているのに、自分のところは華奢では、お客様の理解を得にくくなります。

そんなこともあって、茨城県では、頑丈なコンクリート基礎をつくるようになっていったのだと思います。

 

全国的にはお墓の基礎にワイヤーメッシュが主流?

溶接金網 ワイヤーメッシュ

参照:http://yattho.seesaa.net/article/419542470.html

このブログでは、1級土木施工管理技士ということもあり、積極的に土木的な記事を書いています。

ありがたいことに全国の消費者や石材店から様々な質問をいただけるようになりました。

 

茨城県や関東近辺にだけ目を向けているとわからないのですが、全国的にみると、鉄筋ではなくて、ワイヤーメッシュを利用している地域も多いようです。

ワイヤーメッシュ(溶接金網):鋼材の太さが3.2mm又は6.0mmで升目が100mm又は150mmの網目状に溶接された金網

 

ワイヤーメッシュの利点は、施工が容易なことです。

大きさも1m×2mで、お墓に利用するのには、切って使うのにちょうど良い大きさです。

鉄筋と比較すると径がずっと細いので、ボルトクリッパで容易に切断できます。

鉄筋と比較すると、ワイヤーメッシュの方が価格は高いです。

ただ、施工性が良いので、人件費まで含めると安くなります。

 

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ワイヤーメッシュは強度的に問題ない?

色々といいことづくめなようなワイヤーメッシュですが、心配になるのは強度の部分です。

ワイヤーメッシュは、コンクリートのひび割れ防止が主目的です。

径が細いワイヤーメッシュは、強度面で鉄筋に劣ります。

 

ワイヤーメッシュがよく利用されるのは、駐車場などの土間コンクリートです。

一般的に広く利用されていますが、コンクリートが破壊されて問題になるケースは、聞きません。

問題になっていれば、とうの昔に利用されなくなっているはずです。

 

普通車でも大きなものになると2t程度の重量があります。

それに耐えうるだけの強度はあるということです。

2tよりも重くないお墓もありますので、お墓の基礎工事にワイヤーメッシュを利用しても、案外もちます。

 

鉄筋は地震で急激に負荷が掛かった場合も想定している!

建設業界に努めるものとして、姉歯事件は衝撃的でした。

構造計算書偽造問題(こうぞうけいさんしょぎぞうもんだい)は、2005年11月17日に国土交通省が、千葉県にあった建築設計事務所のA元一級建築士が、地震などに対する安全性の計算を記した構造計算書を偽造していたことを公表したことに始まる一連の事件である。耐震偽装問題とも呼ばれる。

参照:Wikipedia

 

当時、姉歯氏が設計したマンションは、震度5で倒壊するとマスコミにバッシングされ、大きな話題になりました。

我々、現場で働く者も鉄筋の本数を少なくしようものなら『姉歯になっちゃうよ!』なんて冗談を言ったものです。

 

実際には、東日本大震災で東京・千葉に建てられたマンションは、震度5を経験しましたが、崩壊はほとんどなかったそうです。

姉歯氏も当時の取材で「耐震に関してはかなりの強度を保っておりますし、震度7や8にも十分耐えられるはずです」と言っていました。

 

耐震補強をして地震に備えたマンションもあったようで何とも言えない部分がありますが、震度5の段階では、とりあえず姉歯氏の話は正しいということが証明されました。

ただし、震度7,8と上がると実際にどうなるのかわかりません。

 

お墓には建築基準法のような耐震基準がない

姉歯氏は、耐震偽装問題で、建築士の資格を剥奪されていまいました。

お墓には、建築基準法のような耐震基準がないので、どんな施工をしても石材店が問題に問われることはありません。

 

鉄筋でもワイヤーメッシュでも、無筋だって構いません。

墓相的な見地から、コンクリート基礎なしに、土の上に置いただけのお墓もあります。

 

お墓の基礎は、マンションのように壁や天井のある構造物ではないので、アバウトでも損害がでにくいです。

コンクリート基礎に負荷が掛かってクラックが入ったとしても、直ちに甚大な被害があるわけではありません。

土に埋まっているので、ほっといても気が付かないかもしれません。

 

ただ、東日本大震災の際には、アバウトなコンクリート基礎工事が元で、被害が大きくなったケースもありました。

なかの
お墓の基礎工事でも耐震性を考慮した方が良いのは言うまでもありません。

 

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まとめ

お墓の基礎工事に利用するのは、鉄筋とワイヤーメッシュのどちらがいいかについて検証してきました。

結論から言うと、ケースバイケースです。

墓石の重量が少ないのに、無理して鉄筋を利用する必要はないでしょうし、反対に、重い場合には、しっかりと耐震性を確保するために鉄筋を入れた方がいいでしょう。

消費者
耐震性が確保された、しっかりとした基礎を作って欲しいな。

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この記事を書いた人

中野良一のアバター 中野良一 羽黒石材工業㈱営業部長

1級お墓ディレクター・1級土木施工管理技士
見に見えない存在であるご先祖を「見える化」した【いのちの積み木】→http://senzo.inotinotsumiki.com 雪のように白くてキレイな【淡雪五輪塔】のプロデュース。

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