夏の生コン打設。
炎天下の中で、作業をするのは熱中症になりやすいですいし、大変です。
また、熱い時期だとコンクリートが固まるのが速いので、打っている途中で硬化してきてしまい苦労します。
コンクリートは待ってくれません。
打ち継ぎ目ができてしまったり、ヒビ割れのリスクが大きくなります。
今回は、そんな暑中コンクリートで慌てないで施工をするための対策や、ひび割れを防く養生の仕方について説明していきます。
生コンの製造側、プラントやミキサー車での対策には触れていませんので、よろしくお願いします。
「夏のコンクリートは特別」だということを念頭に置いて、事前の計画や準備などに役立てていただければと思います。
[ad#co-1]
目次
夏の生コンはすぐに固まる
「おーい、生コンがちょっと硬いから水を入れてくれ。」
これ、夏場のコンクリート工事だとけっこうありがちな言葉です。
ミキサー車のドラムに水を入れて、ガーっと回して練り直します。
暑中コンクリートは、時間の経過と共にコンクリートの状態が変わります。
早く硬化するために流動性が失われてドロドロになり、生コン車の待機時間が長くなればなるほど、状況が悪くなります。
それもあって、水を入れてドロドロをトロトロにしようというわけですが、俗に言う「しゃぶコン」というやつで、コンクリートの水分量が増えて、設計よりも強度の低いコンクリートになってしまいます。
そこはきちんと計画を立てて、暑中コンクリート対策をしたいところです。
暑中コンクリート対策はどうする?
さて、それでは夏場の熱い時期になるべく品質の良いコンクリートを打設するのにはどうしたら良いでしょうか?
4つの対策をご紹介します。
①なるべく気温が低い日の朝に施工する
工程の都合上、難しい場合も多いのですが、天気予報を見て、なるべく気温の低い日の朝早いうちにコンクリートを打つようにします。
夕立のリスクも減るので、おススメです。
建設工事で生コンのボリュームが多い場合には、早朝や夜間の発注を受け付けてくれるので、温度上昇を抑えることができます。
②コンクリート練り混ぜから打込み終了までの時間を短くする
なるべく気温の影響を受けたくないのなら、早く打設を済ませることです。
コンクリート示方書では「コンクリート練り混ぜから打込み終了までの時間が1.5時間以内」が原則となっています。
なるべく現場から近い生コンプラントに発注して、生コン車が来たら直ぐに施工をして、早く終わらせます。
それには、現場の段取りをしっかりしておいて、人数もそろえておくことが必要になります。
準備をしっかりして、速やかに現場作業を行います。
[ad#co-2]
③型枠や鉄筋に散水をして冷やしておく
夏場の鉄筋は、太陽の熱に温められ熱を持ちます。
また、型枠や砕石も温まっているので、それらを散水して冷やします。
水を撒くことで、コンクリートの水分が逸脱しない効果もあります。
④打込み終了後は速やかに養生をする
コンクリート打設後は、速やかにブルーシートや養生マット、または散水により養生をします。
目的は、直射日光や風による急激な乾燥から防ぐためです。
夏場は直ぐにひび割れができてしまいます。
標準とする湿潤養生期間はこちらになります。
この期間の間は、コンクリートを湿潤状態に保つのが基本です。
湿潤養生期間
日平均気温 | 普通セメント | 早強セメント |
15℃以上 | 5日 | 3日 |
10℃以上 | 7日 | 4日 |
5℃以上 | 9日 | 5日 |
暑中コンクリートは、強度があがりにくい?
寒中コンクリートで温度が低いと、強度が上がりにくいので、強度補正をして設計強度よりも少し上げる必要があります。
同じ様に、コンクリートの温度が高すぎても強度があがりにくくなります。
なので建築工事においては設計強度に構造体強度補正値を割増ししなければならないと定められています。
具体的には、暑中コンクリートの期間には構造体強度補正値として6N/㎜2プラスします。
[ad#co-3]
まとめ
近年、気候変動の影響もあってか、年々平均気温が上昇傾向にあります。
コンクリートは、気温の変化によって大きく品質が左右されます。
なので、暑中コンクリートの場合には、特別な配慮をして、適切に施工をする必要があります。
今回あげた4つの暑中コンクリート対策
- なるべく気温が低い日の朝に施工する
- コンクリート練り混ぜから打込み終了までの時間を短くする
- 型枠や鉄筋に散水をして冷やしておく
- 打込み終了後は速やかに養生をする
を意識して実践してみてください。
これだけで、夏場の熱い時期でもコンクリートの品質がだいぶ良くなりますよ。
コメント