セメント、モルタル、コンクリート(生コン)の違い。名前は知っていても、何が違うのか混乱しやすいものです。
実は、材料を見れば簡単に区別できます。
- セメント=セメントの粉
- モルタル=セメント+砂
- コンクリート=セメント+砂+砂利(砕石)
ここに水を混ぜると、セメントが水和反応を起こして硬化します。
はい、これで全部説明できました。この記事もお終いです。
……では、あまりにも早過ぎるので。
市販の「インスタントセメント」や「ドライ生コン」など、名前で混乱しやすい材料も含めて、もう少し詳しく説明していきます。
- セメントは材料を結びつける粉、モルタルは砂を加えたもの、コンクリートはさらに砂利(砕石)を加えたものです。
- モルタルは壁塗りや石張り、目地などに使います。コンクリートは土間や基礎など、厚みのある構造物に使います。
- インスタントセメントやドライモルタルは、基本的に砂などを配合済みのモルタルです。ドライコンクリート(乾燥生コン)は砂利まで入っており、水を加えるだけで使えます。

セメント・モルタル・コンクリートの違いを比較
まずは3つを表で比べてみましょう。
| 材料 | セメント | モルタル | コンクリート |
| セメント | ○ | ○ | ○ |
| 砂 | × | ○ | ○ |
| 砂利・砕石 | × | × | ○ |
| 水 | 使用時に加える | 使用時に加える | 使用時に加える |
| 主な用途 | モルタルやコンクリートの材料 | 壁塗り・目地・石張り | 基礎・土間・構造物 |
| 見た目 | 細かい灰色の粉 | 砂粒が混じった比較的きめ細かい材料 | 砂利や砕石が混じった材料 |
※基本的な構成を示した表です。実際の製品や配合には、混和剤・混和材などが加わることがあります。
ポイントは、砂利(砕石)が入っているかどうか。
モルタルとコンクリートは、どちらもセメントを使いますが、材料の粒の大きさと使い道が違います。
私のYouTubeでも、3つの材料の違いを説明しています。
生コンとコンクリートは何が違う?
「生コン」は、生コンクリートの略です。
まだ固まっていない、練り混ぜた状態のコンクリートを指します。
一方、「コンクリート」は、固まる前も固まった後も含む材料の名前です。
つまり、固まる前だけがコンクリートではない、ということです。
一般に、コンクリート製造工場で練り混ぜてミキサー車で運ぶものを「生コン」と呼びます。
セメントとは?水で固まる灰色の粉
セメントは、灰色の細かい粉です。
水を加えると化学反応を起こして硬化する性質があり、モルタルやコンクリートの材料を結びつける役割をします。
私は、セメントを「接着剤」と考えるとわかりやすいと思います。
ただし、木工用ボンドのように水分が乾いて固まるわけではありません。
セメントは水と化学反応することで固まります。
これを「水和反応」と呼びます。
水和反応では熱も発生します。セメントが固まるのは、単に水分が蒸発するからではないのです。
普通ポルトランドセメントの原料
一般的に使われるのが「普通ポルトランドセメント」です。
主な原料は次の5つ。
- 石灰石
- 粘土
- けい石
- 酸化鉄原料
- せっこう
石灰石などを調合して高温で焼成し、できたクリンカにせっこうなどを加えて細かく粉砕すると、セメントになります。
セメントにも種類がありますが、家庭でモルタルやコンクリートを練る場合は、普通ポルトランドセメントが基本となります。
セメントだけで使ってもいい?
セメントに水だけを加えたものは、セメントペーストと呼ばれます。
砂を加えていないので、モルタルではありません。
セメントペーストは接着や充填などに利用されますが、砂や砂利を入れないと収縮が大きくなり、ひび割れが生じやすくなります。
床や基礎をつくるために、セメントだけを大量に使うものではありません。
モルタルとは?セメントに砂を混ぜたもの
モルタルは、セメントに砂と水を混ぜたものです。
コンクリートとの大きな違いは、砂利が入っていないこと。
砂利がないため、比較的薄く塗ったり、細かい部分を仕上げたりするのに向いています。
モルタルといっても、使う砂の粒の大きさによって用途が変わります。
例えば、壁をきれいに塗るなら細かい砂を使います。
一方、石張りや縁石の据え付けに使うモルタルなら、もう少し粗い砂でも大丈夫です。
ただし、砂の粒が大きすぎると、薄く仕上げにくくなります。
材料の名前だけでなく、どこに使うのかで砂を選ぶわけです。
モルタルの配合比はセメント1:砂2〜3が目安
一般的なモルタルの配合は、容積比で次のあたりが目安です。
セメント:砂=1:2〜1:3
例えば、同じ大きさの容器を使うなら、
- 1:2配合=セメント1杯+砂2杯
- 1:3配合=セメント1杯+砂3杯
ということです。
ただし、これは現場で使う一般的な目安であって、すべてのモルタルに共通する決まりではありません。
用途や必要な強度、使用する砂の状態によって調整します。
また、水の量も重要です。
水を入れすぎると、練りやすくはなりますが、強度が下がったり、収縮によるひび割れが増えたりする原因になります。
市販のプレミックス製品を使う場合は、自分で配合を変えず、メーカーが指定する水量を守ってください。
モルタルは均一に混ぜることが大切
セメントと砂を混ぜるだけなので、モルタルの作り方自体は簡単です。
ただし、均一に混ぜないと、セメントが多い部分と少ない部分ができ、硬化にもムラが出ます。
フネという四角い容器を使う場合には、まずセメントと砂をよく混ぜてから、水を少しずつ加えて練ります。
底や四隅に粉が残らないようにするのも大切です。
少量なら手練りでも十分対応できますが、量が増えるほど体力を使います。

インスタントセメントとドライモルタルの違い
ホームセンターで材料を探していると、混乱しやすい名前があります。
それが「インスタントセメント」です。
セメントと書いてあるので、普通のセメントの粉だと思うかもしれません。
ところが、実際には砂などが配合されたモルタルとして販売されているものがあります。
代表的な家庭化学工業のインスタントセメントも、セメントに骨材や接着剤などを配合した製品です。
つまり、名前はインスタントセメントでも、中身はモルタルなのです。
これが、セメントとモルタルを混同してしまう原因の一つです。
インスタントセメント・ドライモルタル・ドライコンクリートの比較
| 商品名 | 基本的な中身 | 砂利 | 使い方 |
| 普通ポルトランドセメント | セメントの粉 | なし | 砂などを自分で配合 |
| インスタントセメント | セメント+砂など | なし | 指定量の水を加える |
| ドライモルタル | セメント+砂など | なし | 指定量の水を加える |
| ドライコンクリート | セメント+砂+砂利など | あり | 指定量の水を加える |
※インスタントセメントなどの商品名は、すべてのメーカーで配合が統一されているわけではありません。購入時は袋の原材料と用途を確認してください。
「ドライ」とは、ここでは水を加える前の乾いた材料という意味です。
ドライ生コン、乾燥生コン、ドライコンクリートは、いずれも乾燥したコンクリート用の配合済み材料を指す商品名・通称として使われています。
本来の生コンは水を含んだ練り混ぜ済みの材料なので、乾燥生コンという名前は少し紛らわしいですね。
速乾タイプや水密タイプも中身はモルタル?
市販品には、普通のモルタル以外にも、速硬・速乾タイプや水密性を高めたタイプがあります。
これらは、用途に合わせて混和剤などを加え、硬化の速さや施工性、水の通しにくさなどを調整した製品です。
例えば、早く固めたい場所には速硬性のあるもの、漏水対策などにはその用途に対応した専用製品を選びます。
「セメント」「モルタル」という商品名よりも、何が配合され、何に使えるのかを見ることが大切です。
なお、無収縮モルタルは一般的なモルタルとは用途や要求性能が異なります。機械の据え付けや隙間の充填に使うグラウト材などがあります。
あわせて読みたい:無収縮モルタルとは?グラウト・パッドの違いと価格を比較【2026年】
モルタルの接着性を高める混和材料については、ハイフレックスとハイモルエマルジョンの記事でも説明しています。
あわせて読みたい:ハイフレックスとハイモルエマルジョンの違いは?使い方・価格・混ぜ方を比較【2026年】
生コン(コンクリート)とは?モルタルに砂利を加えたもの
コンクリートは、セメント、砂、砂利(砕石)、水を混ぜたものです。
モルタルに砂利を加えたものと考えれば、違いがすぐにわかります。
砂利や砕石は「粗骨材」、砂は「細骨材」と呼ばれます。
コンクリートは、建物や道路、お墓の基礎工事など、幅広い場所に使われています。
実際の生コンには、基本材料のほかに、混和剤や混和材を加えることもあります。
目的は、施工しやすくしたり、必要な強度や耐久性を確保したりすることです。
生コンはプラントで練り混ぜて運ぶ
工事現場で使う生コンは、一般に生コンプラントで材料を計量・練り混ぜてつくります。
そして、ミキサー車(アジテータ車)で現場まで運びます。
もちろん、コンクリートも自分で手練りすることはできます。
ただし、砂利が入っているので、モルタルより練るのが大変です。
フネを使った手練りでは、量が多くなるとかなりしんどい作業になります。
私も、お墓の基礎工事では、少量の工事や運搬が難しい場所を除いて、プラントで製造した生コンを使うことを勧めています。
材料を練り混ぜること自体よりも、均一な品質のコンクリートを確保することが大切だからです。
あわせて読みたい:お墓の基礎工事の流れと価格のポイント|地盤から養生まで
AE剤は生コンを扱いやすくする混和剤
生コンに使用される代表的な混和剤の一つが、AE剤です。
AEは「Air Entraining」の略で、コンクリートの中に微細な空気泡を取り込む働きがあります。
この小さな空気泡によって、コンクリートのワーカビリティー(施工のしやすさ)が改善されます。
コンクリートが練り混ぜやすくなり、運びやすさや締固めのしやすさにも関係するわけです。
また、適切な空気泡は凍結融解に対する抵抗性の向上にも役立ちます。
ただし、空気を入れれば入れるほどよいわけではありません。空気量が過剰になると強度に悪影響が出るため、適切な管理が必要です。
ドライコンクリート(乾燥生コン)はDIYに便利
ホームセンターでは、袋詰めされたドライコンクリートも販売されています。
セメント、砂、砂利などがあらかじめ配合されており、指定された量の水を加えて練るだけで使える材料です。
セメントと砂と砂利を別々に購入して計量する手間がありません。
ちょっとした場所の補修や、花壇・フェンス柱の基礎など、少量のコンクリートが必要なDIYには便利です。
ドライコンクリートは割高なのが弱点
便利な反面、ドライコンクリートは材料を別々に買うより割高になりやすいのが難点です。
セメント、砂、砕石をそれぞれ購入できるなら、自分で配合したほうが材料費を抑えられます。
ただし、少量のDIYでは、材料が余ってしまうこともあります。
必要な分だけ袋で購入できることや、運搬・計量の手間が省けることまで考えれば、必ずしも損とは限りません。
私なら、ほんの少しの補修にはドライコンクリートを選び、ある程度まとまった量を施工する場合には、材料の個別購入やプラントからの生コン手配を考えます。
どれくらいの量が必要?
袋に書かれた「練り上がり量」を確認します。
例えば、太平洋セメント販売が扱う25kgのドライコンクリートは、1袋あたり約13Lの練り上がり量です。
仮に50cm×50cm、厚さ10cmの場所を施工するなら、
- 5m×0.5m×0.1m=0.025m³
必要なコンクリートは約25Lです。
この製品なら計算上は2袋程度ですが、施工時のロスも考えて余裕を持たせます。
なお、25kgという袋の重さと、25Lという施工できる体積は別のものです。
袋の重さだけで必要量を判断しないようにしましょう。
モルタルやコンクリートの水の量に注意
モルタルでもコンクリートでも、練り混ぜる水の量は重要です。
水を多くすると柔らかくなり、コテで扱いやすくなります。
しかし、余分な水を加えると、硬化後の強度が低下したり、ひび割れが増えたりする原因になります。
生コンに勝手に水を加えて柔らかくすることを、現場では「シャブコン」と呼びます。
私は、このような加水をしてはいけないと考えています。
柔らかい生コンが必要なら、最初から適切なスランプを指定するべきです。
スランプとは、まだ固まっていないコンクリートの柔らかさを確認する指標の一つです。
あわせて読みたい:生コンのスランプとは?許容範囲の一覧・目安・試験方法を1級土木施工管理技士が解説
シャブコンがダメな理由と対策は、こちらの動画でも説明しています。
また、コンクリートの施工では、材料の分離や表面に生じるレイタンスにも注意が必要です。
あわせて読みたい:レイタンスとは?除去方法5つと処理のタイミングを1級土木施工管理技士が解説
暑い時期には、コンクリートの温度上昇や急激な乾燥にも気をつけなければなりません。
あわせて読みたい:暑中コンクリートとは?夏の打設の4つの対策と養生期間
セメント・モルタル・コンクリートはどう使い分ける?
使い分けで大切なのは、施工する場所と必要な厚さ、強度です。
| 施工場所 | 選ぶ材料の目安 | 理由 |
| ブロックやレンガの目地 | モルタル | 細かい隙間に詰めやすい |
| 石張り・縁石の据え付け | モルタル | 敷き厚や高さを調整しやすい |
| 壁の下地・仕上げ | 左官用モルタル | 薄く塗り広げやすい |
| 小さな欠けの補修 | 用途に合った補修用モルタル | 細かい部分を成形しやすい |
| 土間コンクリート | コンクリート | 厚みのある床面に適している |
| お墓の基礎工事 | コンクリート | 必要な強度を確保した基礎をつくるため |
※実際の材料選定は、施工する厚さや下地の状態、必要な性能によって変わります。
モルタルのほうがコンクリートより弱い?
単純に「モルタルは弱く、コンクリートは強い」とは言い切れません。
材料単体の圧縮強度は、水の量やセメントの配合、製品の種類などによって変わります。
モルタルでも、高い強度を持つ製品があります。
ただし、砂利などの粗骨材を含むコンクリートは、厚みのある基礎や土間、構造物をつくるのに適しています。
反対に、モルタルには薄く塗れる、細かい部分に施工しやすいという利点があります。
必要なのは強度だけでなく、用途に合った材料を選ぶことです。
よくある質問
- セメントとモルタルは同じものですか?
-
違います。セメントは水と反応して固まる粉末状の結合材で、モルタルはセメントに砂と水を混ぜたものです。
ただし「インスタントセメント」のように、実際にはモルタルとして使う商品もあります。
- インスタントセメントは何時間で固まりますか?
-
製品によって違います。
速硬性のあるものと通常タイプでは、作業できる時間や硬化までの時間が異なります。
また、「表面が固まる」「歩けるようになる」「必要な強度が出る」は同じ意味ではありません。
施工前に、メーカーの使用方法と硬化時間を確認してください。
- ドライモルタルとドライコンクリートの違いは何ですか?
-
大きな違いは、砂利(砕石)が入っているかどうかです。
ドライモルタルは、主にセメントと砂を配合したもの。ドライコンクリートは、さらに砂利などの粗骨材を含むものです。
どちらも水を加えるだけで使える製品があります。
- モルタルに水を入れすぎたら、セメントを足してもいいですか?
-
自己判断でセメントだけを足すことは勧めません。
水だけでなく、砂との配合比も変わってしまうためです。
プレミックス製品なら、メーカーの指定水量を守って練り直すのが基本です。すでに硬化が始まっている材料に水を加えて使い続けることも避けてください。
- モルコンとは何ですか?
-
「モルコン」という呼び方だけでは、材料を一つに特定できません。
略称や商品名として使われる場合もあるため、セメント・砂・砂利のどれが含まれているかを確認してください。
一般的な材料の区別では、砂利を含まないものがモルタル、砂利を含むものがコンクリートです。
まとめ|材料を見れば違いがわかる
セメント・モルタル・コンクリートの違いは、材料を一つずつ加えて考えると簡単です。
- セメント=セメントの粉
- モルタル=セメント+砂
- コンクリート=セメント+砂+砂利(砕石)
これらに水を加えると、セメントが水和反応を起こして硬化します。
混乱しやすいのは、市販されている商品の名前です。
インスタントセメントは実際にはモルタルだったり、乾燥生コンは水を加える前のコンクリート材料だったりします。
名前だけで選ばず、材料の中身と用途を確認すれば間違いを減らせます。
元石屋のひとこと
りょういちセメントを接着剤と考えれば、3つの違いは簡単です。あとは、使う場所に合った材料を選ぶこと。名前よりも中身が大切ですね。
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この記事の根拠
- 一般社団法人セメント協会「セメントってどんなもの?」(セメントの性質、原料、役割について。)
- 一般社団法人セメント協会「セメントとは」(ポルトランドセメントの原料と製造工程について。)
- 一般財団法人建材試験センター「モルタル」(JIS A 0203に基づくモルタルの定義と強度について。)
- 家庭化学工業株式会社「セメントについて」(セメント・モルタル・コンクリートの基本的な違い、インスタントセメントの配合について。)
- 家庭化学工業株式会社「製品情報」(インスタントセメントなどの製品仕様について。)
- 太平洋セメント販売株式会社「マテリアルグループ」(ドライモルタルとドライコンクリートの配合、練り上がり量、用途について。)
- 紘永CMC株式会社「マテリアル製品」(ドライモルタルとドライコンクリートの使用方法・水量の違いについて。)
- 公益社団法人日本コンクリート工学会「ワーカビリティー」(生コンの施工性と混和材料について。)
- 公益社団法人日本コンクリート工学会「AE剤」(微細な空気泡によるワーカビリティーと耐凍害性の改善について。)
- コンクリート用化学混和剤協会「JIS A 6204」(AE剤や減水剤、硬化促進剤の定義について。)










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