土木建築業界の皆様、レイタンス除去していますか?
レイタンスとはコンクリートを打設すると表面に水と共に浮いてくる微細な不純物で、打ち継ぎ面になる部分は基本的に取り除いて施工をすることになっています。
※打ち継ぎとはコンクリートにコンクリートを重ねて打つことを指します。
だけどここだけの話、実際には多くの現場でレイタンス除去は行われていません。民間の住宅工事ではほとんど行われていないようです。
私は大手ゼネコンの下請けで、散々やらされてきて昔は高圧洗浄機やベビーサンダーにワイヤーブラシを付けて除去していましたが、最近はコンクリート打継ぎ面処理剤でレイタンスごとポリマーコーティングで硬化させてしまう方法が多くなっています。
そんなレイタンス除去について説明していきます。
目次
レイタンスとは
レイタンスとは、コンクリート内部に含まれるアクのようなもので、打設後しばらくすると表面に浮き上がってきます。コテ仕上げをするために放置しておくとノロが浮いてくると思いますが、あれがレイタンスです。
レイタンスはコンクリート内部の水と共に浮き上がってきます。ちなみにこの浮き上がってくる水のことをブリージング水と呼びます。
レイタンスは何故取り除く必要があるの?
レイタンスには強度が全くありません。なので放置したままコンクリートを打ち増しすると、そこを境目ににして強度が弱くなります。
レイタンス除去の方法
レイタンス除去の方法はいくつかあります。
- ワイヤーブラシを使用して手でこする
- ベビーサンダー・グラインダーにワイヤーブラシをセットしてこする
- 高圧洗浄機で吹き飛ばす
- コンクリート打継面処理剤(遅延タイプ)
- コンクリート打継面処理剤(硬化タイプ)
1つづつ解説していきます。
①ワイヤーブラシを使用して手でこする
一番シンプルにして、段取りも少なく低価格で済むのがワイヤーブラシでこする方法。こするとポロポロとコンクリートのカスのようなものが取れます。
だけど広い面積のレイタンス除去には不向きです。お墓の基礎だったら外柵に当たる部分だけをこすればいいのでワイヤーブラシでも十分可能です。
原始的だけど手軽で効果的です。ちなみにコンクリート打継面には鉄筋が伸びている場合が多いのですが、その周辺をこするのはけっこう大変です。
②ベビーサンダー・グラインダーにワイヤーブラシをセットしてこする
次は、機械の力を借ります。ベビーサンダーなどにワイヤーブラシのアタッチメントを取り付けてレイタンスを取り除きます。
ワイヤーブラシでこするのと比較するとあっという間にレイタンスを除去することができます。ただし、電気を用意する必要があり、電源がない現場だと発電機を用意したり少々面倒です。コードレスのベビーサンダーもあるのでそれなら手軽に利用できますが。
③高圧洗浄機で吹き飛ばす
レイタンスは非常に脆いので、まだ初期の段階であれば高圧洗浄機で吹き飛ばすことができます。ただし打設後1~2日ぐらいが目安です。もしくは後に紹介するコンクリート打継面処理剤(遅延タイプ)を併用すれば余裕をもって対応することができます。
一気に広範囲のレイタンスを除去することができるので気持ちいいです。だけど水タンクや水道の蛇口を確保したり電源を確保する必要があります。
④コンクリート打継面処理剤(遅延タイプ)
遅延タイプのコンクリート打継面処理剤は、コンクリート表面薄層部の凝結・硬化を遅延させ、レイタンス除去を用意にします。
基本的に高圧洗浄機とセットで用いることが多いです。
そこそこのお値段がしますが、高圧洗浄機を使うと短時間で施工ができます。施工方法はジョウロに入れてじゃーっと撒きます。
⑤コンクリート打継面処理剤(硬化タイプ)
硬化タイプのコンクリート打継面処理剤は正確に言うとレイタンス除去をするものではありません。脆くて弱いレイタンスを硬化させてしまおうという合理的な発想の元に生まれた商品です。なのでレイタンス除去の手間を省くことができます。
けっこう高額だし、ネットで探してもあまり販売しているショップがありません。マニアックですが、めちゃめちゃ便利です。
そもそもレイタンスは除去する必要があるの?
ここまで説明をしてきて何なのですが、レイタンスはわざわざ除去する必要がないという話もあります。理由としては確かにレイタンスは弱い部分だけど、震災でもほとんど影響を及ぼさなかったという意見もあります。
民間住宅はそのほとんどがレイタンス処理をしていませんが、様々な地震を経てきた中で、レイタンスが問題となった被害を聞いたことがありません。鉄筋コンクリート構造物の打継面は鉄筋が貫通して入っていることもありレイタンスがあったところでそうそう破壊されることはないようです。
お墓の基礎の場合にはちょっと様子が違います。基礎コンクリートの上に石が載ってきますが、これは厳密に言うと住宅で言うところの木造部分が載ってくるようなもので、しっかりとアンカーで鉛直方向につなぎ止める力が必要になります。具体的には金具を用いてアンカーボルトで締めます。そして石の木と違うところはコンクリートと石をモルタルやボンドを用いて接着できるということです。すなわちレイタンス除去もした方がより強力に基礎コンクリートと石が接着されることになり、しいてはお墓の耐震性もあがることになります。
だけど私の知る限りレイタンス除去にまで拘って施工をされている石材店は全国でも1%もありません。正直なところレイタンスについて知らない石材店がほとんどだと思います。
まとめ
レイタンス除去についてまとめて参りました。 土木建築の教科書ではレイタンス除去はするべきこととして記載されているのですが、実際には守られていない現場が多いです。それは基本的にレイタンスが構造物に対してさほど影響を与えていないという現実があります。
お墓においては基本的にコンクリートの打継面を設けるケースはそんなに多くないと思います。コンクリート同士というよりはコンクリートと石との繋ぎ目の処理が問題となってきます。それはモルタルやボンドで接着するからでレイタンス処理をした方が脆弱性がとりのぞかれ接着性も増します。
レイタンス処理にも5つの方法があり、適材適所で合った方法を選ぶ。広い面積で鉄筋が多い場合には高圧洗浄機やコンクリート打継面処理剤が便利だし、小さい面積であればワイヤーブラシで十分になります。
1級お墓ディレクターの「なかの」はこんな人ですよ。
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羽黒石材工業株式会社
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