こんにちは、1級土木施工管理技士のりょういちです。元土木作業員兼監督として、バリバリ穴を掘っていました。穴掘りは、スコップの選び方で、作業効率が大きく変わります。
穴掘りは、剣スコ(先が尖った)と角スコ(先が四角い)を、持ち替えながら掘ります。
狭い場所や埋設物の近くなどには、幅の狭い配管用、穴あき、穴掘り用の、特殊なスコップが便利です。
手掘りにも、安全の決まりがあります。掘削面の高さ2m以上は、作業主任者が必要です。

スコップ一丁で、身長180cmの私がすっぽり納まる穴を、掘ったこともあります(土砂災害には注意を)。
スコップとシャベルは、どう違う?
スコップとシャベルは、地域や人によって、呼び方が違います。東日本では、大きいものをスコップ、西日本では、大きいものをシャベルと呼ぶことが多い、ともいわれます。
JISには「ショベル及びスコップ」という規格があり、メーカーでは、大型のものを「ショベル」と表記する例もあります。この記事では、私が土木の現場で使っていた呼び方に合わせて、大きなものを「スコップ」と呼びます。
穴掘りは、剣スコと角スコを持ち替えながら掘る
穴掘りは、見た目以上に、相当ヘビーな作業です。特に真夏は、あっという間に体が温まり、熱中症になってしまいます。
自分の腰の高さを越えて掘ると、狭い空間で体をひねる運動が加わり、恐ろしく重労働です。作業員が入れ替わりながら掘らないと、とてももちません。
なので、人力で掘るのは、誰もやりたがりません(笑)。バックホウ(ユンボ)で、油圧の力を借りて、ザクザク掘るのが普通です。
でも、やらざるを得ない場合があります。
- 住宅の裏の、壁に挟まれた狭い場所
- 埋設物の位置を事前に確認したうえで、周辺を慎重に手掘りする場合
- 発電・変電設備などの近くで、重機の接近による感電などの危険があり、安全に作業できない場合

ここで紹介するスコップは、すべて、浅香工業の金象シリーズです。ハードな使用でも耐久性があり、プロ御用達です。ちょっとお値段は高めですが、しっかりしている金象は、おすすめです。
スコップの部分の名前
部分の呼び方は、メーカーや地域で違うことがあります。ここでは、よく使う呼び方で、はたらきを整理します。
| 部分 | はたらき |
| 頭部(さじ部) | 土を掘り起こし、すくう金属の部分。剣スコは先が尖り、角スコは先が四角い |
| 刃先 | 土に突き刺す先端の部分 |
| ステップ(足踏み部) | 足をかけて、押し込む部分 |
| 柄(え) | 手の力を、頭部に伝える棒 |
| グリップ(握り部) | 手で握る部分。形は、製品によって違う |

場面別・スコップの選び方(早見表)
どのスコップを使うかは、掘る場所の土と、穴の形で決まります。ここまでの内容を、早見表にまとめました。
| 場面 | 向いているスコップ | 理由 |
| 固く締まった地面を掘る | 剣スコ | 先が尖っていて、地面に突き刺して、掘り起こせる |
| ほぐした土や、柔らかい土をすくう | 角スコ | 土を載せる面積が広く、一度に多くすくえる |
| 掘った底を、均して整える | 角スコ | 先が四角く、底を平らに整えやすい |
| 粘土質の土を掘る | 穴あきスコップ | 土離れがよく、粘り気のある土が取れる |
| 水場や、砂利が多い場所 | 穴あきスコップ | 水だけが流れ落ちる |
| 配管まわりの、細い溝 | 幅の狭いスコップ(配管職人など) | 狭い場所で、狙った所を掘れる |
| ポールや杭の、細くて深い穴 | 穴掘り用スコップ | 2枚の刃で、土を挟んで持ち上げる |
迷ったときは、剣スコと角スコの2本を、持ち替えながら掘るのが基本です。

先が尖った、剣スコップ
穴を掘るとき、基本的に使うのは、「剣スコ」と呼ばれる、先の尖ったスコップです。呼び方は、全国で差があるかもしれません。
この剣の部分が地面に突き刺さって、土を掘り起こします。
まれに、鋭さを保つために、剣にあたる部分を、定期的にサンダーで研いでいる方もいらっしゃいます。
一度に多くの土を掘れる、角スコップ
ある程度ほぐした土や、柔らかい土の場合は、土を載せられる面積が広い、「角スコ」と呼ばれる、長方形のスコップが便利です。
一度に多くの土を掘れます。ただし、調子に乗って、一度に多くの土を掘ろうとすると、腰を痛める元になります。
また、掘った底を、均して整えるときも、角スコが便利です。
配管まわりや細い溝を掘るなら、幅の狭いスコップ
配管工事などでは、狭い場所に、細い溝を掘ることがあります。配管や埋設物が重なっていて、ふつうのスコップでは、うまく掘れないこともあります。
そんなときに便利なのが、剣スコの両脇を、カットしたような、幅の狭いスコップです。金象印の「配管職人」は、頭部の幅が約15cmの、細長い刃が特徴です。
なお、埋設管の下を、横方向に掘る「タヌキ掘り」と呼ばれる作業もあります。ただし、管を傷つけたり、土が崩れたりしないよう、注意が必要です。
意外と便利な、穴あきスコップ
ちょっと特殊なショベルですが、現場で「スケルトン」と呼ばれることがある、穴が開いたスコップがあります。
掘った土が漏れてしまうのでは、と思われるかもしれません。でも、このスコップは、粘土質の土で、強力な威力を発揮します。
粘土は、スコップにへばりつきやすいのですが、穴あきなら、スコップを振れば、比較的簡単に、粘り気のある土が取れます。
また、水場で砂利が多い場所でも、威力を発揮します。水があると、スコップを入れても水をすくってしまいますが、このスコップなら、水だけが流れ落ちます。
この使い勝手の良さは、実際に体験してみないと、わからないかもしれません。
少ない面積を深く掘るなら、穴掘り用スコップ
ポールや杭を立てるための、細くて深い穴を掘るときに便利なのが、穴掘り用のスコップです。
2枚の細長い刃が、向かい合っているのが特徴です。高いところから、重力を利用して、地面にドスッと突き刺し、柄を操作して、土を挟み込み、そのまま持ち上げます。
ふつうのスコップでは、底の土が取りにくい、細い穴でも、掘り進めやすい道具です。
人力で掘るときの、安全の決まり
手で掘るときも、掘る深さが出れば、壁が崩れる危険があります。労働安全衛生規則には、手掘りの決まりがあります。
まず、掘削面の傾き(こう配)です。手掘りでは、地山の種類と、掘削面の高さで、基準が決められています(規則第356条、第357条)。
岩盤や堅い粘土、砂からなる地山などを除く、ふつうの地山では、高さ2m未満で90度以下、2m以上5m未満で75度以下、5m以上で60度以下です。砂からなる地山は、こう配35度以下、または高さ5m未満、と別の基準があります。
90度は、垂直に掘ってよいという意味ではなく、傾きの上限です。2m未満でも、崩れる危険があれば、対策が必要です。
掘削面の高さが2m以上となる地山の掘削では、「地山の掘削作業主任者」を選んで、作業を指揮させる必要があります(施行令第6条第9号、規則第359条)。ただし、法令には、対象となる作業の範囲があります。
また、地山が崩れたり、土や石が落ちたりして、危険なおそれがあるときは、あらかじめ、土止め支保工を設ける、防護網を張る、立入りを禁止する、などの対策が必要です(規則第361条)。
私は、自分の身長が納まるほどの穴を掘ったことがありますが、2mに届かなくても、崩れれば命に関わります。土の質を見て、深い穴を、スコップだけで安易に掘り進めないでください。
スコップで穴を掘る、基本の使い方
腕の力だけで掘ろうとせず、足や体重、腰をうまく使うことが大切です。
- 剣スコの刃先を地面に当て、ステップに足をかけて、体重で土に差し込む
- 土を起こしたら、角スコですくって、取り除く
- 腕だけで何度も持ち上げず、腰を入れて、体全体で動かす
土木作業員の技術レベルは、スコップ使いを見ていると、だいたいわかります。まだ仕事に慣れていない新人は、腰が入っていないので、腕の筋肉ばかり使って、へばってしまいます。
ただ、実際の力の入れ方は、文章で伝えきれない部分もあります。自分で穴を掘って、経験を積んで、身につけていくものです。
穴を掘るのは重労働ですが、スコップ選びで、作業効率が変わります。疲れる作業ならば、なるべく省エネで、効率よく仕事をしたいですよね。
夏の人力掘削は、熱中症に注意
真夏の穴掘りは、あっという間に体が温まり、熱中症になりやすい作業です。
職場の熱中症対策は、2025年6月から、事業者に義務づけられました。WBGT(暑さ指数)が28度以上、または気温が31度以上の場所での作業が、対象になります。
異変に気づいたら報告する体制や、対処の手順を、あらかじめ決めておく必要があります。厚生労働省は、作業者どうしで、互いの体調を見合う「バディ制」も、すすめています。
人力で穴を掘るときは、1人で黙々と掘らず、交代しながら、声をかけ合って掘ってください。こまめな水分補給と、休憩も、忘れずに。
スコップを長持ちさせる手入れ
スコップは、使いっぱなしにすると、土がこびりついて、サビの原因になります。使い終わったら、土を洗い流して、よく乾かしてから、保管します。
ステップや柄が、ぐらついてきたら、事故のもとです。早めに、交換や買い替えを考えてください。
あわせて読みたい:ブレーカーでドドドド!重機のコンクリート解体は楽しい|ニブラとの違い・コツ・資格
よくある質問
- スコップとシャベルは、どう違いますか?
-
地域や人によって、呼び方が違います。東日本では、大きいものをスコップ、西日本では、大きいものをシャベルと呼ぶことが多い、ともいわれます。
- 剣スコと角スコは、どう使い分けますか?
-
剣スコは、先が尖っていて、地面に突き刺して、土を掘り起こします。角スコは、ほぐした土や柔らかい土を、一度に多くすくうときや、底を均すときに使います。
- 粘土質の土には、どのスコップがよいですか?
-
粘土質の土には、穴あきスコップが便利です。ふつうのスコップより土離れがよく、付いた土を落としやすいのが特徴です。ただし、土の粘り具合によって、使い勝手は変わります。
- 手で掘る穴は、どのくらいの深さまで掘れますか?
-
一律に「何mまで」と決められた上限はありません。ただし、地山の状態に応じた、掘削面のこう配や、崩壊を防ぐ対策が必要です。掘削面の高さが2m以上の掘削では、作業主任者の選任が必要になる場合があります。深い穴を、スコップだけで安易に掘り進めないでください。
- 夏にスコップで穴を掘るとき、熱中症対策は、どうすればよいですか?
-
交代しながら、声をかけ合って掘ります。こまめに水分をとり、休憩を入れてください。体調に異変を感じたら、すぐに作業をやめます。
この記事の根拠
私の資格:1級土木施工管理技士。地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習、車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用、解体用)運転技能講習、玉掛け技能講習を修了しています。
私の経験:元土木作業員兼監督として、スコップで穴を掘ってきました。
手掘りの決まり:労働安全衛生規則(第356条、第357条、第359条、第360条、第361条)。
熱中症対策:厚生労働省・安全衛生情報センター「熱中症を防ごう!働く人のための熱中症予防」、改正労働安全衛生規則(2025年6月施行)。








コメント
コメント一覧 (7件)
スケルトン!
初めて知りました。
グッチャグチャの現場に良さそうですね!
グッチャグチャな現場(笑)
粘土でドロドロでスコップに引っ付いて離れない場合には、かなり使えますよ!
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