寒中コンクリートの対策|温度補正・早強・防凍剤はどれがいい?

寒中コンクリートの対策には、温度補正(強度補正)、早強コンクリート、防凍剤(耐寒剤)があります。

では、どれを使うのがいいのでしょうか。

私は、工期に余裕があれば温度補正を選びます。ただし、早く仕上げたい工事には早強コンクリート、手練りの小さな工事には防凍剤も役立ちます。

大切なのは、材料を変えるだけで安心せず、打設後の温度管理と養生まで考えることです。

この記事の結論
  • 生コン車で運ぶ一般的な工事なら、私は温度補正(強度補正)をおすすめします。呼び強度を上げて、低温による強度発現の遅れに備える方法です。
  • 工期が短い場合や、冬の表面仕上げを早く終わらせたい場合は、早強コンクリートが有利です。ただし、水和熱による温度ひび割れなどに注意が必要です。
  • 手練りのモルタルや少量のコンクリートには、防凍剤が便利です。鉄筋が入る工事では、塩化物を含まない製品を選ぶことが大切です。
  • どの方法でも、初期凍害を防ぐための保温養生は欠かせません。
冬の墓地で、お墓の基礎に生コンを流し込む場面と、打設した基礎に保温マットをかけて土のう袋で押さえた場面を並べた水彩イラスト
目次

寒中コンクリートとは?何度から対策が必要?

寒中コンクリートとは、気温の低い時期に、コンクリートが凍結しないように材料や施工方法、養生を工夫して打設するコンクリートのことです。

国土交通省の土木工事共通仕様書「1-3-10-1」には、日平均気温が4℃以下になると予想される場合、寒中コンクリートとして施工するよう定められています。

日平均気温とは、1日の気温を平均したものです。気象庁の毎時観測値を使う場合は、1日24回の観測値を平均します。

つまり、朝の気温が4℃を下回ったからといって、それだけで寒中コンクリートになるわけではありません。

東京でも12〜2月は寒中コンクリートの注意が必要

寒中コンクリートというと、北海道や東北などの寒い地域を思い浮かべるかもしれません。

しかし、東京でも冬の施工には注意が必要です。

気象庁の1991〜2020年の平年値では、東京都心の月平均気温は次のとおりです。

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月平均気温
12月約8℃
1月約5℃
2月約6℃

月平均では4℃を上回っています。

そのため、東京の12〜2月すべてが寒中コンクリートの対象になるわけではありません。

それでも、寒波が来れば日平均気温が4℃以下になる日があります。冬季には寒中コンクリートを想定した準備が必要です。

なぜ冬のコンクリートは強度が落ちるのか

コンクリートは、セメントが水と反応する「水和反応」によって硬くなります。

気温が低いと、この反応が遅くなります。

さらに、十分な強度が出る前に内部の水分が凍結すると、氷の膨張によってコンクリートの組織が傷つきます。

これが「初期凍害」です。

ひどい場合には表面がポロポロと崩れたり、強度や耐久性が大きく低下したりします。

一度大きな初期凍害を受けたコンクリートは、その後に暖めても、本来の品質を十分に取り戻せません。

寒中コンクリートでは、材料の選び方だけでなく、練混ぜ、運搬、打込み、型枠、養生まで含めた対策が必要になるわけです。

温度補正(強度補正)とは?生コンの呼び強度を上げる方法

私が基本的におすすめしているのは、温度補正(強度補正)です。

これは、冬の低温によってコンクリートの強度発現が遅れることを見込み、必要な強度を確保できるよう、生コンの呼び強度を上げて発注する方法です。

21N/mm²を27N/mm²に上げる例

例えば、必要な強度が21N/mm²のコンクリートを考えてみます。

寒い時期に強度の補正が必要であれば、呼び強度を27N/mm²に上げて発注することがあります。

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必要な強度21N/mm²
補正量の例+6N/mm²
発注する呼び強度27N/mm²

これは説明のための一例です。

補正値は必ず6N/mm²というわけではありません。工事の仕様書、構造物の種類、強度を確認する材齢、予想気温などによって決まります。

なお、JIS A 5308は、生コンの種類や呼び強度などを定める規格です。寒中施工のための補正値や養生方法を、JIS A 5308だけで一律に決めるものではありません。

温度補正の期間と補正値はどう決まる?

生コン工場や地域の生コン協同組合などでは、季節に応じた配合や強度補正の運用が行われています。

建築工事と土木工事でも、採用する補正の考え方が異なる場合があります。

例えば、建築工事ではJASS 5に基づく構造体強度補正が使われます。

目安として、JASS 5では普通ポルトランドセメントの場合、打込みから28日までの予想平均気温が8℃未満なら呼び強度に6N/mm²、8℃以上なら3N/mm²を足します(暑い時期はまた6N/mm²)。21N/mm²の基礎なら、冬は27N/mm²になるわけです。この補正をする期間は地域ごとの表で決まっていて、たとえば東京都は地点ごとの表を出しています。

一方、土木工事では土木学会のコンクリート標準示方書や、発注者の共通仕様書などに従って、配合と養生を決めます。

冬だから一律に呼び強度を上げればよい、というものではありません。

また、呼び強度を上げたからといって、コンクリートが凍らなくなるわけではありません。

セメントが多いと水和熱も増える

コンクリートは、水和反応によって熱を発生します。

一般に、同じ材料を使って水セメント比を小さくし、セメント量を増やした配合では、水和熱も大きくなる傾向があります。

そのため、寒い時期には温度の保持に有利に働く場合があります。

ただし、温度補正の本来の目的は、低温下でも必要な強度を確保することです。

水和熱だけを頼りにして、保温養生を省くことはできません。

早強コンクリートのメリットとデメリット

早強コンクリートは、早強ポルトランドセメントを使用し、普通コンクリートよりも早く強度を発現させるコンクリートです。

住友大阪セメントによると、早強ポルトランドセメントには次の特徴があります。

普通ポルトランドセメントが材齢3日で発現する強度を約1日で、7日で発現する強度を約3日で達成します。

これは一般的な特性の説明で、現場の気温や配合によって強度の出方は変わります。

寒冷期の工事や緊急工事、コンクリート製品などで利用されています。

メリット① 初期強度が早く出る

早強コンクリートの大きなメリットは、早い段階で強度が出ることです。

寒中コンクリートでは、初期凍害を受ける前に必要な強度を確保することが重要になります。

早強セメントは、その点で有利です。

また、条件が整えば型枠を早く外したり、次の工程へ移ったりできるため、工期短縮にも役立ちます。

ただし、脱型や次工程への移行は、実際の強度を基準に判断します。

メリット② 冬のコテ仕上げを早く終わらせやすい

私が早強コンクリートを評価する理由は、施工のしやすさにもあります。

冬の夜、投光器の明かりの下で、打設した土間コンクリートを足場板にひざをついて金ゴテで仕上げる作業員の水彩イラスト

冬のコンクリート工事では、表面仕上げに時間がかかることがあります。

普通コンクリートでは深夜までコテ仕上げが続くような現場でも、早強コンクリートを使うことで夕方に終えられる場合があります。

もちろん、気温や配合、打設した厚さによって変わります。

冬の深夜作業は寒いものです。

作業員にとっても、早く仕上げを終えられることは大きなメリットになります。

また、早めに仕上げを終えられれば、保温マットなどによる養生へ移りやすくなります。

デメリット① 水和熱によるひび割れに注意

早強コンクリートは、普通コンクリートより初期の水和反応が活発です。

そのため、初期の発熱が大きくなりやすく、部材が厚い場合には内部と表面の温度差による温度ひび割れに注意が必要です。

水和熱は寒い時期には有利にもなりますが、必ずしもメリットばかりではありません。

薄い土間コンクリートと厚い基礎コンクリートでは、注意点も異なります。

デメリット② 施工時間に余裕がなくなる場合がある

早強コンクリートは初期強度の発現が早いものの、コテ仕上げが必ず早くできるとは限りません。

凝結時間は、使用材料や気温、混和剤などの影響を受けます。

条件によっては仕上げ作業の時間的な余裕が少なくなり、作業人数や段取りが重要になります。

また、普通コンクリートより材料費が高くなる場合があります。

早強と温度補正、最終的な強度はどちらが上?

早強コンクリートだと、21N/mm²はあくまで21N/mm²です。温度補正なら27N/mm²で頼むので、最終的な強度は上がります。

また、コンクリートは初期強度を一気に上げるよりも、ゆっくり硬化した方が最終的な強度が伸びやすいものです。

なので、コンクリートの品質では、温度補正(強度補正)に分があると私は考えています。早強コンクリートは寒中コンクリートとしても使われていますが、なんとなく突貫工事のイメージがあります。

私が担当した現場で早強から温度補正へ変わった話

以前、私が担当していた大手ゼネコンの工事では、寒中コンクリートに早強コンクリートを使用していました。

ところが、ある時期から普通コンクリートの呼び強度を上げる方法に変わったことがあります。

当時は少し戸惑いました。

私が聞いた理由のひとつは、施主に対する印象でした。

早強コンクリートで21N/mm²を使うより、強度補正によって27N/mm²の生コンを使用する方が、強度を高めたことを説明しやすいという考え方です。

ただし、呼び強度を高くすれば、すべての品質が自動的に良くなるわけではありません。

私は、必要な強度を確保するための配合と養生を適切に組み合わせることが重要だと考えています。

工期に余裕があり、早期強度を特別に求められない場合には、温度補正を基本に考えます。

一方、作業時間の短縮や早期強度が必要なら、早強コンクリートを選びます。

施工条件によって答えは変わるのです。

温度補正と早強コンクリートの価格差はいくら?

温度補正と早強コンクリートでは、どちらが安いのでしょうか。

参考として、2018年に公開した元記事で紹介した大阪広域生コンクリートの価格表を残しておきます。

2018年の記事で紹介した生コン価格

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種類1m³あたりの価格
普通コンクリート21N/mm²18,700円
普通コンクリート27N/mm²19,800円
早強コンクリート21N/mm²19,500円

※2018年の記事で使用した当時の参考価格です。現在の価格ではありません。

当時は、21N/mm²から27N/mm²への変更が1m³あたり約1,100円、早強21N/mm²との差は約300円でした。

大阪の価格を見て、関東と比べて高いなあと思ったことも覚えています。

もちろん、生コン価格は地域や時期、購入数量によって変わります。

この価格差が現在も同じとは限りません。

お墓の基礎工事なら数千円の違いだった

茨城県のお墓は面積が大きいものもあります。

それでも、私が携わっていたお墓の基礎工事では、生コンを3m³も使用することは稀でした。

仮に1m³あたり1,000円の差で、3m³使ったとしても約3,000円。

当時の価格なら、3,000円の世界です。

この金額で必要な品質を確保しやすくなるなら、私は安いものだと思います。

ただし、費用をかけて呼び強度を上げても、養生が悪ければ意味がありません。

品質を買うというのは、単に高い生コンを使うことではなく、施工と養生まで含めて品質を確保することです。

防凍剤(耐寒剤)とは?冬のモルタルや手練りで使う材料

防凍剤は、セメントモルタルやコンクリートの凍結を防ぐために使用する混和剤です。

製品によって、練り水の凍結温度を下げる作用や、凝結・硬化を促進する作用があります。

私は、手練りで少量のモルタルを施工する場合に便利だと考えています。

防凍剤には塩化カルシウム入りと無塩タイプがある

代表的な製品が、マノール防凍剤です。

塩化カルシウムを含むタイプと、塩化物を含まないタイプがあります。

マノール防凍剤 塩化カルシウムタイプ
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マノール防凍剤 塩化カルシウムタイプ
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マノール防凍剤の一般タイプは、塩化カルシウムを使用した製品です。

塩化カルシウムには凝結・硬化を促進する作用があります。

ただし、塩化物は鉄筋などの鋼材の腐食に関係するため、使用する場所や条件に注意が必要です。

マノール防凍剤SS 18K缶
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マノール防凍剤SS 18K缶
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マノール防凍剤SSは、特殊亜硝酸化合物を主成分とする完全無塩化タイプです。

塩化物を含まず、鋼材の腐食を抑えることを特徴としています。

2018年当時は無塩タイプの方が高かった

元記事で紹介した当時の価格は、次のとおりです。

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製品2018年当時の記事の価格
マノール防凍剤・塩カルタイプ約2,980円
マノール防凍剤SS・無塩タイプ約5,000円

当時の掲載価格であり、現在の販売価格とは異なります。

なお、現在販売されている18kg缶を、昔の記事の18L入りと同じ容量として比較することはできません。

製品ごとに比重が違うためです。

防凍剤はどれくらい入れる?

防凍剤の使用量は製品ごとに決まっていて、気温が低いほど多く入れます。缶や袋に書いてある量を守ってください。また、防凍剤を入れたからといって、養生をしなくてよくなるわけではありません。

塩化カルシウムを直接コンクリートに混ぜてはいけない理由

雪が降った道路に、白い粒がまかれているのを見たことがありませんか。

あれは、凍結防止剤として使われる塩化カルシウムなどです。

一般に「塩カル」と呼ばれています。

塩化カルシウムには、水の凍結温度を下げる作用があります。

だからといって、道路用の塩カルをそのままコンクリートやモルタルへ入れてよいわけではありません。

昔ながらの職人さんとのやり取り

以前、昔ながらの職人さんが塩カルを直接コンクリートやモルタルに混ぜようとしたことがありました。

冬の墓地の工事現場で、トロ舟のモルタルに塩化カルシウムを入れようとする年配の職人さんと、手を出して止める若い作業員の水彩イラスト

「こうすれば凍らないんだよ!」

「いや、ダメだよ!」

こんなやり取りです。

昔ながらの経験則も大切ですが、品質に関わることは別です。

コンクリート用として配合や使用条件が定められていない塩カルを、勝手に投入するべきではありません。

鉄筋がさびる理由は雪道の車と同じ

塩化物イオンが鉄筋の表面に到達すると、コンクリートのアルカリ性によって保護されている鉄筋の不動態皮膜が局部的に壊れ、腐食が進む原因になります。

鉄筋がさびると体積が増え、コンクリートにひび割れや剥離が起こることがあります。

雪道を走った車の下回りがさびやすくなるのと、同じ塩化物による腐食の問題です。

だから、融雪剤が付着した車は下回りを洗うわけです。

もちろん、塩化カルシウムを含む製品でも、用途や使用量を守って使うことを前提に設計されたものはあります。

それでも私は、鉄筋の入る工事では塩化物を含まない混和剤を選ぶ方が安心だと考えています。

塩化物でさびた鉄筋のまわりにひび割れが入ったコンクリートと、さびていない鉄筋の健全なコンクリートを比べた断面の水彩イラスト

早強コンクリートと耐寒促進剤は併用した方がいい?

早強コンクリートと耐寒促進剤を一緒に使えば、さらに効果が高くなるのでしょうか。

この点については、2001年に発表された研究があります。

濱幸雄氏と影山友規氏による「早強セメントと耐寒促進剤を併用したコンクリートの性質」です。

研究では、早強ポルトランドセメントと耐寒促進剤を組み合わせ、凍結温度、凝結・硬化、初期凍害への抵抗性、圧縮強度の増進などを実験で調べています。

その結果、実験条件の範囲では、早強セメント単独でも十分な早強性があり、経済性を考慮すると耐寒促進剤を併用する効果は小さいとされました。

耐寒促進剤は、早強セメントを使えない状況での利用が望ましいと結論づけています。

つまり、早強コンクリートに防凍剤を追加すれば、その分だけ必ず得になるわけではありません。

ただし、この研究は特定の材料や試験条件での結果です。

すべての製品と施工条件で、併用の効果がないと証明したものではありません。

温度補正・早強コンクリート・防凍剤を比較

3つの方法を、一般的な生コン工事と小規模な手練り工事の使い分けという観点で比べます。

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方法費用の傾向施工の手間向いている工事注意点
温度補正(強度補正)21N→27Nで1m³あたり約1,100円高い(2018年の大阪の例)生コン工場で配合一般的な生コン工事、お墓の基礎工事補正値の設定と養生が必要
早強コンクリート21Nで1m³あたり約800円高い(同)生コン工場で配合工期短縮、早期強度が必要な工事、冬の表面仕上げ水和熱・温度ひび割れ・施工時間
防凍剤(耐寒剤)製品と使用量による添加量の計量と練混ぜが必要手練りのモルタル、少量の補修塩化物、配合、養生条件

生コン車を使う工事であれば、私は温度補正か早強コンクリートを優先します。

防凍剤を現場で別に購入して混ぜるより、生コン工場で配合されたものを使用する方が、計量や練混ぜの手間を減らせます。

一方、少量の補修で生コン車を呼ぶほどでもない場合には、防凍剤が便利です。

ただし、すでに混和剤を含むプレミックスモルタルやコンクリートに防凍剤を追加するときは、相性にも注意が必要です。

私がおすすめする寒中コンクリートの選び方

私の基本的な考えは、次のとおりです。

お墓の基礎工事なら温度補正を基本にする

生コン車で搬入するお墓の基礎工事では、必要に応じて呼び強度を補正する方法を基本に考えます。

工期に余裕があるなら、無理に早強コンクリートを使う必要はありません。

以前から私は、この方法を優先してきました。

品質を確保するための費用は、惜しむべきではないと思っています。

早く仕上げたいなら早強コンクリート

冬の土間コンクリートなどで、表面仕上げに時間がかかると予想される場合には、早強コンクリートを選ぶことがあります。

冬は日が短く、夜になればさらに冷え込みます。

仕上げを早く終え、その後の養生に移れるメリットは大きいものです。

もちろん、ただ急いで作業するための材料ではありません。

手練りのモルタルなら防凍剤が便利

お墓の工事では、少量のモルタルを使用することもあります。

こうした冬季の小規模施工では、防凍剤が重宝します。

ただし、大きな基礎や構造上重要な部分を、安易な手練りで施工することはおすすめしません。

私自身、お墓の基礎には生コン工場で製造されたコンクリートを使用することを基本にしています。

寒中コンクリートの養生方法と養生期間

どれほど適切な生コンを選んでも、打設後に凍結させてしまえば品質を損ないます。

ここが寒中コンクリートで特に重要なところです。

打込み時のコンクリート温度は5〜20℃

国土交通省の土木工事共通仕様書では、寒中コンクリートの打込み時の温度を、構造物の断面や気象条件などを考えて5〜20℃の範囲に保つよう定めています。

また、次の点にも注意が必要です。

  • 凍結した骨材や雪・氷の混じった骨材を使わない
  • 材料を加熱する場合は水や骨材を対象とし、セメントを直接加熱しない
  • 原則としてAEコンクリートを使用する
  • 運搬から打込みまでの温度低下をできるだけ小さくする
  • 打込み後は風や凍結から保護する

AEコンクリートとは、細かな独立した気泡を混ぜ込んだコンクリートです。

この気泡は作業性の改善に役立ち、硬化後の凍結融解への抵抗性も高めます。

気泡が水の膨張を受け止めるクッションのように働くためです。

ただし、AE剤を使用しても、強度が十分に出る前の初期凍害まで防げるわけではありません。

5℃以上で養生し、その後も凍結させない

国土交通省の共通仕様書では、寒中コンクリートの養生温度を5℃以上に保つよう定めています。

その期間は、セメントの種類、養生温度、養生後に予想される気象条件によって変わります。

例えば、養生温度5℃の場合、仕様書の標準期間は次のとおりです。

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養生後の気象条件普通ポルトランドセメント早強ポルトランドセメント
厳しい気象条件9日5日
まれに凍結融解する程度4日3日

※国土交通省「土木工事共通仕様書」表1-3-4より。条件に対応した温度制御養生期間。

さらに、表に示された養生期間の後も、2日間はコンクリート温度を0℃以上に保つ必要があります。

所定の湿潤養生期間も満たさなければなりません。

以前の記事では「一晩5℃以上、その後2日間0℃以上」と紹介しましたが、それだけで十分とはいえません。

必要な養生期間は、工事条件に合わせて設定するものです。

保温マットだけで足りる?

寒中コンクリートでは、保温マットや養生シートによって熱を逃がしにくくします。

しかし、外気温が低く、マットだけでは必要な温度を保てない場合には、給熱養生などの対策が必要になります。

給熱するときは、コンクリートを局部的に熱したり、乾燥させたりしないよう注意が必要です。

保温養生が終わった後に、急激に温度を下げることも避けます。

大切なのは、気温だけではなく、コンクリートそのものの温度を管理することです。

養生マットの敷き方や具体的な凍結対策については、別の記事で詳しく紹介しています。

あわせて読みたい:コンクリート養生マットの使い方|敷き方と冬の凍結対策

なお、夏のコンクリートは冬とは別の問題があります。高温による品質低下への対策は、次の記事で紹介しています。

あわせて読みたい:【速攻で固まる】夏の生コン(暑中コンクリート)の4つの対応策

よくある質問

寒中コンクリートは気温が何度から必要ですか?

国土交通省の土木工事共通仕様書では、日平均気温が4℃以下になると予想される場合です。

ただし、日平均気温が4℃を超えていても、夜間に凍結するおそれがある場合は、適切な凍結対策が必要です。

早強コンクリートにはデメリットがありますか?

あります。

初期の水和熱が大きくなりやすく、厚い部材では温度ひび割れに注意が必要です。また、普通コンクリートより価格が高くなる場合があります。

ただし、適切に配合・施工・養生すれば、早強コンクリートだから品質が劣るということではありません。

防凍剤を入れれば氷点下でも養生しなくて大丈夫ですか?

いいえ。

防凍剤には凍結温度を下げる作用や硬化を促進する作用がありますが、養生が不要になるわけではありません。

製品の使用条件に合わせた温度管理と養生が必要です。

冬の生コンは呼び強度をいくつ上げればいいですか?

一律には決まりません。

例えば21N/mm²から27N/mm²へ上げる場合もありますが、必ず6N/mm²を加えるものではありません。

工事の仕様書や予想気温、必要な強度、地域の配合基準に基づいて設定します。

まとめ|寒中コンクリートは工事に合う方法を選ぶ

寒中コンクリートの対策として、温度補正、早強コンクリート、防凍剤を比較しました。

私の考えは、昔から大きく変わっていません。

工期に余裕があり、生コン車を利用できる工事では、温度補正を基本に考えます。

早く強度を出したい場合や、冬の表面仕上げを早めたい場合には早強コンクリート。

手練りで少量のモルタルを施工する場合には防凍剤です。

ただし、どれを選んでも、打設後の保温養生をしなければ寒中コンクリートの対策としては不十分です。

特にお墓の基礎工事は、一度墓石を建ててしまえば、基礎を簡単にやり直すことはできません。

だからこそ、生コンの配合と打設後の養生には、しっかり手間をかけたいものです。

元石屋のひとこと

りょういち

私は、多少の材料費よりも、必要な強度と養生をきちんと確保することを大切にしています。冬のコンクリート工事は、打設して終わりではありません。

冬のコンクリート工事のまとめ:冬のコンクリート打設|温度・固まる時間・養生期間と注意点

この記事の根拠

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この記事を書いた人

石屋の“中の人”だったからこそ話せる、お墓の本当のこと。国産墓石の加工メーカーで経験を積み、輸入石材商社での仕事にも携わって約25年の元石屋です。1級お墓ディレクター・1級土木施工管理技士。紹介料を受け取らない、しがらみのない立場で、石の性質と施工の両方から、根拠まで示してやさしくお伝えしています。YouTube「おはかのなかのch」でも発信中。

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