お墓に赤いサビが出て困る!御影石のサビの種類と発生メカニズムを解説

お墓・墓石 サビ

鉄気

お墓に赤い点々が!!!

御影石のサビは、我々石屋さんにとって非常に頭が痛い問題です。

なかの
こんにちは、おはかのなかのの『なかの』(@ryoryolyです。

今回は、御影石のサビのメカニズムについてできる限り説明します。

金属にも種類がありますが『鉄』に関するサビの解説です。

 

一口に御影石のサビと言ってもいろいろなサビがあります。

赤サビ、黒サビ、これからできるサビ、硫化に伴うサビ。

 

科学が苦手で、化学式を何度見ても理解できない私ですが、地質学の先生の話を聞いたりして、なんとか解釈できるようになってきました。

お墓に出てくると致命的な問題にもなりかねないサビ問題をできる限りわかりやすく説明していきます。

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目次

御影石にできるサビの種類

御影石にできるサビですが、いくつか種類があります。

  • 既に酸化している赤さサビ(赤鉄鉱)
  • これから酸化するサビ(鉄)
  • 黒サビ(磁鉄鉱)
  • 硫化に伴う激しいサビ(磁硫鉄鉱)

 

既に酸化している赤サビ(赤鉄鉱)

蛭川石

参照:http://www.hirahaku.jp/web_yomimono/geomado/sekiz09.html

蛭川石

参照:http://www.hirahaku.jp/web_yomimono

赤サビ(赤鉄鉱)とは、ちまたで良く見かける赤いサビです。

写真は、赤サビが特長である岐阜県産の蛭川石です。

 

御影石を切ってみると赤い点々がある場合があります。

これは、マグマの対流により赤サビ(赤鉄鉱)が石の内部にまで取り込まれたためです。

 

マグマの対流がわかる参考記事

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こらから酸化するサビ(鉄)

妙な言い回しをしていますが、なんてことはないただの鉄です。

鉄は、空気に触れると酸化して赤サビになります。

花崗岩の黒雲母の部分は、金属を含んでいますが、ここからサビが発生することが多いです。

 

 

黒サビ(磁鉄鉱)

磁鉄鉱

資料提供:茨城自然博物館 磁鉄鉱

黒く変色したサビを黒サビ(磁鉄鉱)と呼びます。

磁力を帯びるのが特徴で、磁石の原料にもなります。

 

写真の中国産G623にネオジム磁石がついているのは、磁鉄鉱を多く含んでいるからです。

花崗岩

磁鉄鉱系花崗岩

磁鉄鉱を多く含む花崗岩を磁鉄鉱系花崗岩と呼びます。

磁鉄鉱は、科学的に安定しているので、そのままだとサビにくいという特徴があります。

 

ただし、磁石でもサビるように、まったくサビないわけではありません。

厳密に言うと、磁鉄鉱は、赤鉄鉱(赤サビ)と磁鉄鉱(黒サビ)を合わせたものだそうです。

水分を含む状態が続いたり、酸の影響を受けることで、サビやすくなります。

 

また、空気中の鉄粉を引き寄せます。

鉄道横の墓地で、鉄粉のためにサビが多く出ている墓石を見かけますが、2次的なもらいサビを誘発する可能性が高くなります。

 

因みに、日本産の花崗岩は佐賀県産の天山石などの一部を除いて、ほとんどがチタンを含むチタン系花崗岩になります。

チタン系花崗岩の分布

参照:https://blogs.yahoo.co.jp/kawakatu_1205/56027852.html

磁石を近づけてもくっつきません。

チタン系花崗岩

チタン系花崗岩

チタンそのものは、あらゆる金属の中でもサビに強いという特徴を持ちます。

 

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硫化に伴う激しいサビ(磁硫鉄鉱)

鞍馬石 磁硫鉄鉱

参照:http://www.hirahaku.jp/web_yomimono/geomado/sekiz10.html

磁硫鉄鉱とは、鉄の硫化鉱物です。

御影石は、硫黄分を含んだ磁硫鉄鉱という鉱物を含むことがあり、空気に触れて硫化する際に、周囲を破壊するほどの激しいサビを引き起こします。

日本では、写真の鞍馬石が磁硫鉄鉱を多く含む花崗岩として有名です。

 

磁硫鉄鉱を含む花崗岩の断面の写真です。

磁硫鉄鉱

資料提供:石の100年館

磁硫鉄鉱は空気中の酸素と結びつくと硫化します。

硫化とは硫酸になることです。

激しい反応を示し、周囲の組織をボロボロに破壊するほどの影響力があります。

 

なぜ、石の中に硫黄分が含まれるようになるの?

そもそも何故、花崗岩の中に硫黄分が含まれることになるのでしょうか?

ゼノリス 捕獲岩

資料提供:石の100年館 ゼノリス

こちらは、捕獲岩(ゼノリス)という、元々あった堆積岩を花崗岩のマグマが取り込んだ状態です。

硫化して激しいサビが出ていることがお分かりでしょうか?

元々の地層に硫黄分があるためにこのような反応が起ります。

 

マグマは非常に高熱なので、堆積岩をドロドロに溶かして巻き込んでしまうこともあります。

マグマは対流しながら、徐々に冷えて固まっていきます。

 

実際に石山に行って見てみると堆積岩の近くの石は、磁硫鉄鉱の影響によるサビが多くでているのがわかります。

墓石に出てくると致命的なのですが、以外なところから出てくることもあり非常に頭の痛いサビでもあります。

 

赤サビであれば、発生しても薬品である程度抑えることができますが、磁硫鉄鉱のサビは、どうこうできるレベルではありません。

 

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まとめ

花崗岩のサビの問題は深遠で、簡単に解明できるようなものではありません。

そもそも鉄以外にも銅やアルミニウムなどの金属も含んでいるわけで、それらがどのような作用を及ぼすのか計り知れないものがあります。

 

墓石や建築の外壁材などに出てくると非常にみっともないサビですが、活用の仕方によっては、風情のある素材でもあります。

岐阜県の蛭川石は赤サビが出ることが特徴で人気がありますし、磁硫鉄鉱を含む鞍馬石も色の濃い赤みが重宝されています。

 

私が勤めている会社で採掘している稲田石も白さが特徴なのですが、わざと酸を塗ってサビ石として利用することもあります。

サビも御影石に含まれる自然のものですし、なんでもかんでも悪いものではないということだけご了承ください。

 

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この記事を書いた人

中野良一のアバター 中野良一 羽黒石材工業㈱営業部長

1級お墓ディレクター・1級土木施工管理技士
見に見えない存在であるご先祖を「見える化」した【いのちの積み木】→http://senzo.inotinotsumiki.com 雪のように白くてキレイな【淡雪五輪塔】のプロデュース。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • はじめまして松谷と申します。
    古いお墓を持っていますが自分で清掃、磨きをしたいのですが
    方法、液剤などを教えていただけないでしょうか?
    墓石の状態の写真を見ていただきたいと思います。
    写真の添付出来るアドレスお願いいたします。
    不躾ですが宜しくお願い致します。
    松谷

    • 松谷様、コメントありがとうございます。
      こちらのページに溶剤や方法について記載してあります。
      https://wordpressbrog.11ohaka.com/archives/6872
      ただし、プロ仕様の強い溶剤になるので、ご注意ください。
      メールアドレスはryoryoly@yahoo.co.jpになります。
      また、写真を見ただけでは、原因の判別は難しいかもしれません。

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