お墓参りで霊がついてくるって本当?午後に行くと言われる理由

読者の方から、こんな質問をいただきました。

友人から「午後にお墓参りに行くと、霊がついてくる」という話を聞きました。私は午後にお墓参りに行くことが多かったので、とても気になっています。本当なのでしょうか?(ペンネーム:お餅たべたい さん)

ネットでよく言われる話ですが、本当でしょうか。1級お墓ディレクターで、石材業界に約25年携わってきた元石屋の私が、真相に迫ります。

この記事の結論
  • 「午後にお墓参りに行くと、霊がついてくる」。実は、年に1日だけなら、本当です。
  • その1日は、お盆の迎えの日。霊がついてくるというより、こちらから迎えに行く形です。
  • それ以外の日は、午後に行っても、霊はついてきません。お墓参りの時間に、決まりもありません。
  • 本当に気をつけるのは、暗くなる前に終えること。足元が危ないからです。
午後のお墓参りで、すぐ後ろに立つ幽霊に気づいて、のけぞって驚く男性のイラスト
目次

午後にお墓参りに行くと霊がついてくる? 噂の由来

午後にお墓参りをすると霊がついてくる、という話は、都市伝説のように、まことしやかにささやかれています。

由来には、いくつかの説があります。ひとつは、お盆です。お盆には、ご先祖様を導くために、夕方、提灯に明かりを灯して、お墓へ迎えに行く地域があります。夕方にお墓へ行って、ご先祖様をお連れして帰る。そこから、「夕方にお墓参りをすると、霊がついてくる」という話になった、という説があります(地域によって違います)。

もうひとつは、単純に、暗くなってからのお墓は、なんとなく不気味だから。足元も見えにくく、危ないので、「夕方は行かないほうがいい」という話が、いつのまにか「霊がついてくる」という話になったのかもしれません。

地縛霊のような話は、見たことがないので、私には分かりません。ただ、午後にお墓参りをしたからといって、ご先祖様の霊が、勝手に誰かについていってしまうことはありません。ご先祖様は、お墓参りに来た子孫を祟ることもなく、あたたかく見守ってくれていると、私は思っています。

夕方の住宅街で、主婦が2人、「午後のお墓参りで霊がついてくる」という噂話をひそひそ話している。頭上の吹き出しに、墓地で幽霊がお墓参りの人の後ろについていく噂のイメージ

ご先祖様は、普段どこにいるの?:魂はクラウドの上

ご先祖様は、普段は、山の奥(神道)や、お浄土(仏教)にいて、お祈りをしたときにだけ、お墓に来てくれる、という考え方があります。

お墓やお位牌の役割を説明するときに、私は、よくインターネットのクラウドにたとえます。ご先祖様の魂は、普段はクラウドの上にあって、お墓参りをすると、その人のところに来てくれます。お位牌も同じで、お祈りをすると、そこに来てくれます。いわば、お墓がデスクトップのパソコンで、お位牌がタブレットやスマホのようなものです。

雲の上でお茶を飲むご先祖様の魂から、お墓(デスクトップパソコン)とお位牌(スマホ)へ、光が届くイラスト

お墓には遺骨が入っているので、ご先祖様がずっとそこにいてくれそうな気がします。でも、「魂魄(こんぱく)」という考え方があり、人は亡くなると、魂と、魄(白骨)に分かれるとされています。魂は、別のところにあるのです。

つまり、この考え方でいくと、普段は、お墓にご先祖様の魂はいないことになります。有名な「千の風になって」という歌に、お墓の前で泣かないで、私はそこにいません、という内容の歌詞がありますが、この考え方なら、あながち間違いではありません。

だけど、お墓に行って故人を想うと、強くその人を思い出します。確かに、私のところに来てくれているのです。

お盆は、特別にご先祖様が帰ってきてくれます

そんな形で、普段は、お墓参りをしてもお墓にしか来てくれないご先祖様ですが、お盆には、特別に家にまで帰ってきてくれます。7月盆と8月盆の違いはありますが、3日間いてくださり、その間は、仏壇を提灯で飾り、家族が集まって、賑やかに食卓を囲んだりします。

お盆の夕方、提灯を持った家族と、手をつないでついてくるご先祖様のイラスト

お盆の初日には、迎え火をたいたり、提灯を持ってお墓に行ったりして、ご先祖様をお迎えします。やり方は、地域やお寺によって違います(浄土宗の公式サイトも、地域やお寺によって何をするかは異なる、と案内しています)。

兵庫県の石材店の方から、「うちの地区では、お盆のお墓参りは、夕方と決まっている」と聞いたことがあります。暗いほうが、迎え火も提灯の明かりも、よく見えます。ご先祖様が迷わず帰ってこられるように、というお盆の意味を考えると、夕方に迎えに行くのは、理にかなっています。

この日のお墓参りは、ご先祖様をお連れして帰るので、「霊がついてくる」は、本当です。結論の「年に1日だけ」は、この迎えの日のことでした。

浄土真宗は、お盆にご先祖様が帰ってくる、とは考えません。亡くなった方は、阿弥陀仏とともに、いつも私たちを見守ってくださっている、という教えです。浄土真宗本願寺派の公式サイトでも、お盆を迎えるための特別な準備は必要ない、と案内されています。私の家も浄土真宗なので、「迎えに行く」という話は、あてはまりません。

ご先祖様は、3日間だけで満足なの?

ここで、霊がついてくる話に戻りますが、お盆だけじゃなくて、ほかの日にも、ご先祖様は家に帰りたいんじゃないか、という説もあります。だけど、どうですかね。たまに帰ってくるから、ちょうど良いのだと思います。普段は、落ち着いて、ゆっくり過ごしたいかもしれません。

逆に考えると、私たちも、毎日ご先祖様がいて、ご馳走を用意していたら、大変です。いつもいらっしゃったら、ありがたみも薄れてしまいます。ちなみに、映画「リメンバー・ミー」で話題になったメキシコの死者の日は、11月1日、2日の2日間。日本のお盆のほうが1日だけ長いですが、ご先祖様との距離感として、ちょうどこのくらいがよろしいような気がするのです。

お盆の食卓に、ご先祖様が毎日いたら、ご馳走の用意が大変、というユーモラスなイラスト

午後のお墓参りで、本当に気をつけること:暗くなる前に終える

お墓参りの時間に、決まりはありません。「午前中がいい」と言われることはありますが、よく言われる理由は、2つです。ひとつは、1日のはじめの、気持ちのよい時間に、ご先祖様へ先にご挨拶をする、という考え方。もうひとつは、午前中は、涼しくて、霊園も空いているから、という実用的な理由です。

ですから、午後でも、まったく問題ありません。2018年に、私がFacebookとTwitterでとったアンケートでも、合わせて139票のうち、約9割の人が、午後でも問題ないと答えました。「よくない」と考える人は約1割で、理由は、地域の風習や、親から言われたから、という声でした。

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それよりも、気をつけてほしいのは、暗くなることです。暗くなると、足元が見えにくく、つまずいたり、転んだりしやすくて、危ないです。また、霊園は、夕方に閉まるところが多く、閉園時間は霊園ごとに違うので、出かける前に確認してください。冬は、日が沈むのが早く、夕方4時台になる地域もあります。

迷ったら、明るいうちに、閉園時間に余裕をもってお参りしましょう。

この話は、動画でも解説しています。

お墓参りの時間についてよくある質問

午後にお墓参りに行くと、本当に霊がついてきますか?

お盆の迎えの日は、ご先祖様をお連れして帰るので、「ついてくる」と言えます。それ以外の日は、午後に行っても、霊がついてくることはありません。

お墓参りは、午前中に行かないといけませんか?

決まりはありません。午前中がいいと言われるのは、1日のはじめにご挨拶をする考え方と、涼しくて空いているからです。午後でも、問題ありません。

夕方や夜のお墓参りは、してもいいですか?

夕方でも、明るいうちなら問題ありません。暗くなると足元が危なく、霊園も閉まることが多いので、暗くなる前に済ませるのがおすすめです。地域によっては、お盆に夕方、お墓へ迎えに行く習慣もあります。

お盆の迎えの日は、いつですか?

一般には、お盆の初日の13日です。7月に行う地域と、8月に行う地域があり、やり方も、地域やお寺によって違います。

浄土真宗でも、お盆に、お墓へご先祖様を迎えに行きますか?

浄土真宗では、お盆にご先祖様が帰ってくる、とは考えません。亡くなった方は、阿弥陀仏とともに、いつも見守ってくださっている、という教えです。お盆は、故人をしのびながら、仏様の教えを聞く機会とされています。

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元石屋のひとこと:お墓参りは、気持ちがいちばん大事

りょういち

霊がついてくる話は、ちょっと遊び心で書きましたが、お墓参りは、行く気持ちがいちばん大事だと思っています。午前でも午後でも、ご先祖様は、あたたかく迎えてくれます。暗くなる前に、気をつけて行ってきてくださいね。

この記事は、浄土真宗本願寺派と浄土宗の公式サイト、2018年に私がSNSでとったアンケート、お墓に約25年携わってきた経験をもとにしています。「霊がついてくる」という話は、噂話で、私が現場で確かめたものではありません。

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この記事を書いた人

石屋の“中の人”だったからこそ話せる、お墓の本当のこと。国産墓石の加工メーカーで経験を積み、輸入石材商社での仕事にも携わって約25年の元石屋です。1級お墓ディレクター・1級土木施工管理技士。紹介料を受け取らない、しがらみのない立場で、石の性質と施工の両方から、根拠まで示してやさしくお伝えしています。YouTube「おはかのなかのch」でも発信中。

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