世の中には、怪しい詐欺や不透明な商売がはびこっています。
お墓についても、わかりにくくて騙されやすそうな商売だと思っていらっしゃる方も少なからずいらっしゃるでしょう。
国民生活センターには、お墓に関する相談が年間1500件ほど寄せられています。
今回は、そんなお墓の問題・トラブルについて調べてみました。
- お墓を購入するにあたり騙されたくない方
- 安心のできるお墓を購入したい方
- 適正価格でお墓を購入したい方
向けの内容になっています。
目次
お墓の相談件数1500件は多いのか少ないのか?
国民生活センターに寄せられるお墓の相談件数は、ここ5年間で、1450~1850件で推移しています。
この数字が多いのか少ないのかですが、少し他の分野と比較してみたいと思います。
国民生活センターに寄せられる相談件数(2015年)
- 先物商品取引 312件
- 葬儀サービス 764件
- 投資信託 1065件
- お墓 1455件
- 美容医療サービス 2090件
- ソーラーシステム 3368件
- 食品の表示・広告 6995件
- 生命保険関連 7877件
- 出会い系サイト 11182件
- マルチ取引 11510件
- インターネット通販 250555件
出会い系サイトやマルチ商法など、怪しい商売の代名詞が軒並み相談件数1万件を超えていますね。
インターネット通販が25万件越えで、飛びぬけて多くなっています。
対面販売でないネットの怖いところですよね。
お墓のインターネットでの通信販売も増えてきていますが、実際のところはどうなのでしょう?
同業者の石屋さん経由で聴いた話だと、トラブルが多いようです。
実は私自身、他社のお墓の通信販売で起きたトラブルの尻拭いをしたことがあるのですが、そちらについては一通り説明をした後に後述します。
お墓の隠れトラブルはもっと多い!
お墓の相談件数は2015年で1455件、この件数が多いか少ないかですが、市場規模の割にはまあまああります。
ただし、プロの目から見るともっとあってもおかしくないと感じます。
墓地や霊園で数多くの墓石を見ていると、色が落ちて白っぽくなってきたり、隠していたキズが見えてきたり、サビで赤くなっているお墓があります。
お墓に利用する御影石は天然のものなので、完全に避けることは難しいのですが、明らかに不良品とみなされる石を利用しているケースも見られます。
消費者の目から見ると、そういった墓石を掴まされてもよくわからず、そのまま受け入れている方も多いようです。
また、中国産墓石を国産墓石と偽って販売されても偽装されてしまうと、気が付けない場合があります。
そんな理由もあり、潜在的なお墓の相談・苦情はもっと多いはずだと感じます。
[ad#co-2]
実際にどのようなお墓の苦情があるのか?
- 突然、寺から墓石の撤去料と10年分の管理料として高額な請求通知が届いた。どうしたらいいかわからない。
- 20数年前に建てた墓の囲いの基礎が不十分で墓が倒れそうだ。石材店は倒産して霊園の管理会社は対応しない。どうしたらよいか。
- 宗派を問わない墓地を購入したのに途中で指定宗派に変更するよう通知が来た。契約金や管理費を返金してほしい。
- 墓地の管理をしている石材店が地震で倒れた記名塔を勝手に作り直して請求書を送ってきた。支払わなければならないか。
- 地震で墓が全壊した。墓地の管理会社に5年以内に再建しなければ権利が消滅すると言われ、納得できない。
- 家族が霊園の抽選に当たり、昨日墓石業者と620万円の契約をした。調べたところ、同じ条件の墓石は半額であることがわかった。解約させたい。
- お墓の申込金を10万円支払った後、墓石業者から「白紙撤回する」と言われて解約する事になったが申込金を返してくれない。不満だ。
- サンドブラストで彫る約束だった墓石が、引き渡されて確認したところ通常の彫り方だった。約束通りサンドブラストでやり直してほしい。
- 菩提寺から依頼され、母が家族の墓を移動させた。母はこの工事が無料だと思っていたが、寺から囲いを変えた料金として30万円の請求を受けた。減額されたが、見積りや明細がない。支払いを拒めないか。
- 父が購入した墓地に墓を建てようとしたところ、寺が指定した石材店でないと墓は建てられないと言われた。納得できない。
誰でも怒るわ!
同じ条件のお墓で、自分が620万で契約して、一方で310万で販売されていたら誰でも不満に思いますよね。
そこまでの露骨な価格差があることがもはや理解を超えています。
でも悲しい事実ですが、ここまで極端な例はなくても往々にしてあります。
出精値引きと銘打って定価500万円の墓石を300万円に下げた見積書をつくってきて、相見積もりになったら更に100万円値段を下げてきます。
いったい元の500万円は何を根拠につけた価格なの?と問い詰めたくなってきます。
そんな商売をしていたら、消費者に不信感を植え付けることになりますよね。
お墓は、消費者にとって非常にわかりにくい商品です。
だからこそ、信頼のできる石材店を見つけて対面で説明を聞いて購入することが大切になってきます。
私が実際に相談を受けたお墓に関する苦情
ブログやYouTubeなどをやっていると、お墓に関する相談や苦情がくることが良くあります。
多いのが指定石材店絡みの問題で、価格に納得ができない方からの相談があります。
また消費者からではなくて、墓石販売業者からトラブル解決の依頼がきたこともあります。
それは奈良県のお客様が、茨城県にある寺院墓地にお墓を建てようとネットで見つけた墓石販売業者に依頼したのですが、その業者が指定石材店制度があることを知らずに契約をしてしまったのです。
墓石を中国に発注してこれから建てるという時にお寺からストップがかかってしまい、にっちもさっちもいかなくなって泣きついてきたという話です。
私が勤めている石材店がたまたまそのお寺の指定石材店になっていました。
他にも数社の指定石材店がいますが、既に他社が契約して発注してある墓石を組み立てるのが嫌ということで断られたそうです。
そりゃそうですよね。お客様も引き継ぐわけだし、何か更なるトラブルがあっても嫌です。
本来は、まず最初に指定石材店制度なのかどうかを墓石販売業者がお寺さんに確認するべきです。
それを怠った墓石販売店に責任があるのですが、ちょっと可哀想なので対応することにいたしました。
一番の被害者は奈良のお客様です。遠方なので電話とメールでやり取りをして改めて弊社と契約をし直しました。
その上で、トラブル元の墓石販売店が発注した墓石を組み立てていくことになるのですが、確認したら墓地寸法と合っていなくて驚きました。
縦方向が30㎝以上寸法が足りない。
トラブル元の墓石販売業者はひたすら謝っていましたが、施主さんに相談の上、後ろが30㎝以上空いているという不格好な形で納めることになりました。
一事が万事とは言いますが、トラブルがあるところにはトラブルが重なるものであり、酷い墓石販売業者がいるものだなぁと強く思った次第です。
まとめ
国民生活センターに寄せられるお墓の問題・トラブルについての記事を書いてみましたがいかがでしたでしょうか?
お墓の相談件数は年間1500件程度ですが、表に出ない隠れトラブルはもっと多いでしょう。
実際に国民生活センターにまで相談しない問題やトラブルが、私のところにも届いています。
また本当に酷い墓石販売業者がいることも身に染みて感じています。
天然の御影石を利用して、価格もわかりにくい墓石は、素人ではとても判断できるようなものではありません。
慎重にお墓を建てる石材店を選ぶことが必要になってくるのです。
お墓とお葬式の大問題―週刊東洋経済eビジネス新書No.134
コメント
コメント一覧 (2件)
なんかプロ目線だと、必ずしも消費者が被害者ではないトラブルが多いですね。
寺側にも石材店側にも消費者側にも原因があるトラブルが多そうです。
消費者側にも原因がある場合もありますね。
ただ、無知な消費者につけこんだ商売もあります。
石屋が石の見極めができなくて騙されている場合もありますしね。