鉄筋加工とは、鉄筋を必要な長さに切り、図面に合わせて曲げる作業です。
鉄筋コンクリートの工事では、加工した鉄筋を組み立て、コンクリートの中に納めます。
ただ切って曲げればよいわけではありません。寸法がずれれば組み立てにくくなり、継手長さやかぶり厚さが不足すれば、構造物の強度や耐久性にも影響します。
今回は、鉄筋加工場の写真を使いながら、加工の流れと注意点を説明します。
- 鉄筋加工は、図面に合わせて切断・曲げを行う作業。とくに曲げ寸法の取り方が難しい。
- 鉄筋の継手長さは、鉄筋径の40倍(40d)が一つの目安。ただし、建築と土木、使用箇所や設計条件で必要な長さは変わる。
- 加工した鉄筋を組み立てるときは、継手の位置とかぶり厚さに注意する。基礎のかぶり厚さは約60mmが一つの基準になる。

鉄筋には丸鋼と異形棒鋼がある
鉄筋には、大きく分けて丸鋼と異形棒鋼があります。
丸鋼と異形棒鋼の違い
丸鋼は、表面がつるつるした丸い棒です。
異形棒鋼は、表面に「節」や「リブ」と呼ばれる凹凸があります。
この凹凸がコンクリートに食い込み、鉄筋とコンクリートが一体になって力を受け持ちます。

日本では、昭和初期までは丸鋼が中心でした。その後、コンクリートとの付着性に優れた異形棒鋼が広く使われるようになりました。
現在の構造物は異形棒鋼が主で、重要な部分では丸鋼は使えなくなっています。
古い鉄筋コンクリートを解体すると、この違いがよく分かります。
異形棒鋼はコンクリートとしっかり付着していて、粘り強く抵抗します。一方、丸鋼は表面が滑らかなため、コンクリートから剥離しやすいのです。
鉄筋そのものの強さだけでなく、コンクリートとの付着も重要だということです。
ワイヤーメッシュとの違い
ワイヤーメッシュは、細い鋼線を縦横に並べ、交点を溶接した金網です。
土間コンクリートなどで、ひび割れを抑える目的によく使われます。
ただし、異形棒鋼とワイヤーメッシュは、同じものではありません。
使う場所や必要な強度に合わせて選ぶ必要があります。

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鉄筋の規格と定尺・重量
規格品と無規格品
鉄筋には、JIS規格に適合した製品と、JIS規格への適合が確認されていない製品があります。
いわゆる規格品と無規格品です。
構造物の鉄筋を選ぶときは、必要な品質が確認できることが大切です。
JIS G 3112「鉄筋コンクリート用棒鋼」では、鉄筋の種類や強度、寸法などが定められています。
代表的な異形棒鋼には、SD295とSD345があります。
| 種類 | 降伏点または耐力 | 特徴 |
| SD295 | 295N/mm²以上 | 一般的な鉄筋コンクリート工事で使われる |
| SD345 | 345〜440N/mm² | SD295より高い降伏強度を持つ |
SDは異形棒鋼を表す記号で、後ろの数字は強度の区分です。
なお、昔の資料では「SD295A」という表記も見られますが、現在のJISでは「SD295」です。
鉄筋の太さと重量
異形棒鋼の太さは、D10・D13・D16・D19などの呼び名で表します。
| 呼び名 | 公称直径 | 1mあたりの重量 |
| D10 | 約9.5mm | 約0.56kg |
| D13 | 約12.7mm | 約1.0kg |
| D16 | 約15.9mm | 約1.6kg |
| D19 | 約19.1mm | 約2.3kg |
たとえば、D13の鉄筋が5.5mあれば、重さは約5.5kgです。おおよそ5kgの鉄の棒ということになります。
鉄筋は5.5mなどの定尺で流通しています。ただし、定尺は5.5mだけではなく、メーカーや注文条件によって長さが異なります。
長くて重いうえに、持ち上げるとビョンビョンしなって扱いにくいものです。
そのため、加工場では鉄筋を支える専用の台を使います。
鉄筋加工の流れを写真で紹介
鉄筋加工では、まず加工図に合わせて必要な長さを決め、切断と曲げを行います。
今回の写真に写っているのは、SD345のD16とD19の鉄筋加工です。
① 鉄筋を台に載せて準備する
長い鉄筋は、そのままでは扱いにくいものです。
鉄筋がしなると、材料を送り出したり、正確な位置で切ったりするのが難しくなります。
そこで、切断機や曲げ機の高さに合わせた台を用意します。

長い材料を安定させることも、正確な加工には欠かせません。
② 鉄筋切断機で必要な長さに切る

写真は、据え置き型の鉄筋切断機の台です。
鉄筋切断機は、強い力で鉄筋を押し切る機械です。
写真の切断機なら、D13程度の鉄筋を3本まとめて切断できる能力があります。
ただし、一度に切断できる本数や太さは、機械の能力によって違います。必ず機械の仕様に従います。
切断するときは、図面の寸法を確認し、材料をきちんと支えることが大切です。
長さを間違えて短く切ってしまえば、簡単には元に戻せません。
③ 鉄筋曲げ機で図面どおりに曲げる
鉄筋を曲げるときには、鉄筋曲げ機(鉄筋ベンダー)を使います。
直線の鉄筋をL字やコの字などに曲げ、構造物に必要な形に加工していきます。

切断に比べると、曲げ加工は難しいものです。
曲がりきらないこともあれば、曲がり過ぎてしまうこともあります。角度は合っていても、仕上がり寸法がずれることがあります。
とくに注意したいのが、曲げる位置と寸法の取り方です。
④ コの字型の鉄筋は寸法に注意する
コの字型に曲げた鉄筋は、両アンカーとも呼ばれます。
この加工では、鉄筋の太さを考えずに寸法を取ると、仕上がりがずれてしまいます。
たとえば、外側の寸法で考えているのか、内側の寸法で考えているのかによって、鉄筋径の分だけ違いが出ます。
D16なら、その差はおおよそ16mmです。
さらに、曲げ部分には丸みがつくため、直線部分の長さを単純に足しただけでは、正しい切断寸法になりません。
曲げ半径や曲げによる寸法の変化を考慮して、加工寸法を決めます。
土木工事共通仕様書でも、鉄筋は原則として常温で加工し、曲げ半径は設計図書などに従うことになっています。
また、曲げた鉄筋を安易に曲げ戻してはいけません。

加工した鉄筋を台の上で確認する様子です。
鉄筋加工は、数をこなすだけでなく、一本一本を決められた寸法に仕上げることが大切です。
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鉄筋の継手長さは何cm必要?
鉄筋は、一本の長さだけで構造物全体を組めるとは限りません。
そこで、鉄筋同士を重ねてつなぎます。これを「重ね継手」といいます。
継手長さ40dとは?
鉄筋の継手長さには、鉄筋径の40倍という目安があります。
たとえば、D13なら、
13mm × 40 = 520mm
つまり、約52cmです。
| 呼び名 | 40dで計算した重ね長さ |
| D10 | 約40cm |
| D13 | 約52cm |
| D16 | 約64cm |
| D19 | 約76cm |
ただし、40dはあらゆる鉄筋工事に共通する決まりではありません。
建築基準法施行令第73条では、主筋や耐力壁の鉄筋について、継手を設ける場所などに応じて25d以上または40d以上と定めています。
一方、土木工事では、鉄筋の種類・コンクリートの強度・応力条件などによって必要な重ね継手長さが変わります。
したがって、実際の施工では設計図書や適用される基準に従います。
継手を一か所に集中させない
継手は、長さを確保するだけでは不十分です。
同じ断面に継手が集中すると、その部分が構造上の弱点になるおそれがあります。
そのため、継手の位置をずらし、一か所に固めないように配置するのが基本です。
具体的な位置やずらす距離は、設計図書に従います。
なお、鉄筋同士を結束線で縛ることと、力を伝える継手を設けることは別です。
結束線は鉄筋の位置を固定するものです。重ね継手では、鉄筋とコンクリートの付着によって力を伝えます。
鉄筋のかぶり厚さは約60mmが目安
加工した鉄筋は、コンクリートの中に適切な位置で組み立てます。
そこで重要なのが、かぶり厚さです。
かぶり厚さとは、鉄筋の表面からコンクリートの外側の表面までの最短距離のことです。
かぶり厚さが足りないとどうなる?
コンクリートは本来、強いアルカリ性を持っていて、内部の鉄筋がさびるのを抑えています。
しかし、空気中の二酸化炭素の影響で中性化が進み、鉄筋の位置まで達すると、鉄筋が腐食しやすくなります。
鉄筋がさびて膨張すると、周囲のコンクリートにひび割れが入り、表面が押し出されて剥がれることがあります。
これが、いわゆる爆裂現象です。
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建築基準法のかぶり厚さ
建築基準法施行令第79条では、鉄筋のかぶり厚さについて、次のように定めています。
| 部材 | かぶり厚さ |
| 耐力壁以外の壁・床 | 20mm以上 |
| 耐力壁・柱・はり | 30mm以上 |
| 直接土に接する壁・柱・床・はりなど | 40mm以上 |
| 基礎(布基礎の立上り部分を除く) | 60mm以上 |
※法令に定められた例外や、部材ごとの条件があります。
土木構造物では、建築基準法の数字をそのまま当てはめるのではなく、設計図書や土木の設計基準に従います。
お墓のコンクリート基礎については、建築基準法に直接の定めがあるわけではありません。
それでも私は、耐久性を考え、かぶり厚さを約60mm確保することを基本に考えています。
底面については、施工条件に応じて80〜100mm程度の余裕を持たせることもあります。
スペーサーで鉄筋の位置を保つ
かぶり厚さを確保するためには、スペーサーを使います。
鉄筋の下に適切な高さのスペーサーブロックを配置し、生コンクリートを打つときにも鉄筋が動かないようにします。
上面だけでなく、側面や底面のかぶり厚さも必要です。
せっかく正確に加工した鉄筋でも、組み立てた位置が悪ければ意味がありません。
あわせて読みたい:鉄筋スペーサーの種類と使い方|サイコロ・ドーナツの違いと設置個数
よくある質問
- Q. 鉄筋の継手長さは必ず40倍ですか?
-
いいえ。40dは代表的な目安の一つです。建築では継手の位置などによって25d以上または40d以上の規定があり、土木では設計条件によって変わります。実際の施工では設計図書を優先します。
- Q. D13の鉄筋は何kgありますか?
-
1mあたり約1kgです。5.5mなら約5.5kg、6mなら約6kgになります。
- Q. 鉄筋は一度曲げた後に曲げ直してもよいですか?
-
原則として避けます。曲げ戻しによって鉄筋の材質や性能に悪影響を与えるおそれがあります。土木工事共通仕様書でも、曲げ加工した鉄筋の曲げ戻しは禁止されています。
- Q. 鉄筋のかぶり厚さはすべて60mmですか?
-
いいえ。建築基準法では部材や土との接触条件によって20〜60mm以上と定めています。土木構造物は別の設計基準によります。お墓の基礎では、私は約60mmを基本の目安にしています。
- Q. 鉄筋の定着長さと継手長さは同じですか?
-
違います。継手長さは鉄筋同士をつなぐための長さ、定着長さは鉄筋の力をコンクリートや接合する部材に伝えるための長さです。必要な長さはそれぞれの設計条件によって決まります。
まとめ|鉄筋加工は寸法と組み立てまでが大切
鉄筋加工は、鉄筋を切って曲げる仕事ですが、それだけで終わりではありません。
曲げる位置や寸法を正確に決め、必要な継手長さを確保し、適切な位置に組み立てることが大切です。
とくにコンクリートを打ってしまうと、中の鉄筋は見えなくなります。
お墓の基礎工事でも、鉄筋の太さや本数だけでなく、加工寸法・継手・かぶり厚さを確かめてほしいと思います。
あわせて読みたい:お墓の基礎工事の流れと価格のポイント|地盤から養生まで
元石屋のひとこと
りょういち鉄筋は太ければいいというものではありません。正しい寸法で加工して、正しい位置に組み立てる。そこが大事です。
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