お墓まで、DIYでつくりたい人がいる!?
以前、このブログでジョリパットをDIY(Do It Yourself=自作)で施工した話を書きました。その後「DIY お墓」という検索キーワードで、このブログに訪問される方が、毎日のようにいらっしゃいます。
需要があるということですね。お墓までDIYでつくりたいというニーズがあるんですね。
先に答えを言うと、お墓の掃除や草取りなどの手入れは、自分でできます。一方、お墓そのものやコンクリートの基礎をつくるのは、プロに任せたほうがいいです。
- お墓の自作キットは、ご供養を考えるとおすすめしません。
- 重量ブロックの基礎は、重いお墓を支えるには強度が足りません。後から直すには、墓石を全部外すことになります。
- 掃除・草取り・砂利・花立の交換は自分で、目地の打ち直しは器用な人なら。文字の色入れ、ずれ・傾き直しはプロへ。

修理はどこまで自分でできるのか、作業ごとの線引きは表にまとめました。私は元石屋で、1級お墓ディレクターです。基礎の話も出てくるので添えると、1級土木施工管理技士でもあります。
今はお墓を売っていませんし、石材店からの紹介料も受け取っていません。このブログには広告や掃除道具などの商品リンクがありますが、どの石材店で、どんなお墓を選んでも、このブログの収入は変わりません。
DIYでお墓を建てる!?
お墓のDIYキットがネットで販売!
DIYは、ちょっとしたブームというか、節約志向の高まりもあり、趣味と実益を兼ねて庭づくりや家具の加工・装飾を、自分でやる方が増えてきているようです。お墓もその延長線上で考えて、自作でつくろうということなのでしょうか?
実際にグーグルで「DIY 墓石」と調べてみると、総重量180kgのミニお墓をネット販売していました。大人一人で持てる程度の重さのパーツを、組み合わせてつくります。
商魂たくましいというか、色々なアイディアを考える人もいるもんだなぁと思いました。お墓までDIYキットにして売ってしまうんですね。
ご供養を考えた場合いかがなものかと…
見た目は、ペットの墓に見えなくもなさそうだし、ご先祖様を祭るお墓としてはかなり残念な感じがします。
ご先祖様に申し訳ないし、お勧めはできません。
墓石の建立は、やはりプロにちゃんと発注するべきでしょう。お墓は、ご先祖様とのつながりを感じ、感謝を伝える場所ですから。
では、ペットのお墓や、庭に置く小さなお墓ならどうでしょう? それは、つくる人の自由ですよね、としか言いようがありません。
ご先祖様をお祭りするお墓とは、別の話なんですね。ただし、ペットの遺骨は、ご先祖様のお墓には入れるべきではない、というのが私の考えです。
あわせて読みたい:ご先祖様が永眠するお墓にペットの遺骨を納骨するのは無礼?
お墓の基礎をDIYでつくる人もいる
自分でつくった基礎に、石屋は墓石を建ててくれる?
お墓の基礎を自分でつくっている方を、見たことはあります。地元の茨城県桜川市は昔からの石の産地で、同級生でも親戚でもちょっとたどれば、すぐに石屋さんに当たるぐらい、多くの石屋さんがあります。
そのために融通が利くのでしょうか。節約のため自分で基礎だけつくって、墓石の施工は石屋に任せているのを見たことがあります。
ただ、普通は、素人がつくった基礎の上に、プロとして石屋さんは墓石を建ててくれないと思います。
コンクリートの構造物をつくるときは、生コンが入る枠となる「型枠」を組みます。型枠にも色々な種類があり、両脇を抑えるようにコンパネでつくる木製のものと、真ん中の息抜き穴に使う鋼製のものがあります。
コンパネとは、型枠に使う合板のことです。よく土留めに使われる「型枠ブロック」という、ブロックに型枠の機能を持たせたものもあります。

写真の両脇で土を抑えている板が、コンパネの木製の型枠です。真ん中あたりの、縁が黄色と黒の四角い箱が、息抜き穴の鋼製の型枠です。
息抜き穴は納骨室の下にあけておく穴で、ご遺骨を土に還すためのものです。まわりに4本立っている太い管は、雨水を逃がす塩ビ管の水抜きです。
あわせて読みたい:お墓の基礎工事の流れと価格のポイント|地盤から養生まで
重量ブロックでお墓の基礎を!?
DIYだと、一般的に手に入る材料でつくるのが基本です。ホームセンターで買えるコンパネか、重量ブロックを使ってコンクリートの基礎をつくります。
私が見かけたのは、なんと、重量ブロックを利用してのお墓の基礎づくりです。
ブロックで周りを囲んで、中にコンクリートを流し込みます。素人でも手軽にできる基礎づくりとして、DIYでは割りと主流です。
ただ、重量物であるお墓の基礎としては、強度的に問題ありです。
なぜかというと、単純に強度がないんです。ブロックですからね。
重量ブロックでも同じです。ブロックは、基礎に普通求められる圧縮強度や引っ張り強度を満たしていません。
そもそも、お墓はとても重いものです。花崗岩は30cm角で約70kgもあり、墓石全体となれば、人が簡単に持ち上げられるものではありません。
きちんとしたお墓の基礎は、鉄筋を入れた鉄筋コンクリートのべた基礎です。茨城では、D13という太さ約13mmの異形鉄筋が主流で、鉄筋のまわりには約6cmのコンクリートの厚み(かぶり厚)をとります。
基礎は、コンクリートを流して固めればいいというものではないんです。
基礎はプロに任せてしっかり作りましょう!
後々ガタがきても、基礎の部分なので簡単には直せません。
基礎をやり直すには、上に載っている墓石を全部外して、基礎をつくり直し、それから墓石を据え直すことになります。最初からきちんとつくるより、ずっと手間がかかるわけです。
安物買いの銭失いじゃないですけど、中途半端に節約しようとするのなら、最初からきちんとつくった方が良いということになりかねません。
では、基礎工事だけ石材店に頼むといくらかかるのか。これはお墓の大きさで大きく変わるので、見積もりで確かめてください。
見積もりを取るなら、金額だけでなく工事の中身も確かめてほしいんです。
| 確かめる所 | 聞いてほしいこと |
| 基礎の厚さ | 何cmの厚さでつくるのか |
| 鉄筋 | 異形鉄筋かワイヤーメッシュか。太さと間隔は |
| 目地 | モルタルかコーキングか |
| 耐震施工 | どんな耐震の工夫をするのか |
答えがあいまいなときは、ほかの石材店にも見積もりを取って、くらべてみてください。完成すると見えなくなる基礎だからこそ、中身を確かめることが大切です。
あわせて読みたい:お墓の現場施工チェック!安心ができる工事をしてもらうための見積り価格を得る方法
お墓の手入れ・修理、自分でやってよいこと・プロに任せること
ここまで、お墓そのものと基礎のDIYについてお話ししました。では、すでに建っているお墓の手入れや修理はどうでしょう?
| 作業 | 自分で? | 理由・注意 |
| お墓の掃除 | 自分で | 水とスポンジ・たわしで十分 |
| 草取り | 自分で | 塩はまかない。バーナー・除草剤は墓石に当てない |
| 防草シート・砂利敷き | 自分で | 砂利の袋の重さに注意 |
| 花立の交換 | 自分で | そこまで重くない |
| 目地のコーキングの打ち直し | 器用な人なら自分で | 古いコーキングを取ってから打つ |
| 文字の色入れ | プロがおすすめ | できなくはないが、プロのほうがいい |
| ずれ・傾き直し | プロがおすすめ | 普通の人には石が持ち上がらない |
| 納骨で拝石を開ける | 条件しだい | 拝石は約50kg |
| 墓石の据え付け・基礎工事 | プロへ | 重さと強度の問題 |
お墓の掃除は、自分でやってほしい
お墓のDIYで、私がむしろおすすめしたいのが掃除です。基本は水だけで十分です。
最初にたっぷり水をかけて汚れを流し、ツヤのある面はスポンジ、ザラザラした面はたわしで洗います。
あわせて読みたい:お墓掃除で素人でもキレイにできるコツとポイントまとめ【完全攻略】
以前、読者の方から「亡き父の背中を洗うつもりで竿石を拭いたら、涙があふれ、父と和解できた」というメールをいただきました。お墓の掃除は、亡くなった人との「出会い直し」の時間にもなるんです。
あわせて読みたい:幸せになれるお墓掃除の方法【心がスッキリと片付く】
草取り・防草シート・砂利敷きもDIYで
雑草が気になるなら、防草シートと砂利を組み合わせる方法がおすすめです。やり方は、それほど難しくありません。
- 表面の土を約3cmすき取る
- 防草シートを敷き、ピンで留める
- その上に砂利を3〜4cm敷く
安い防草シートは、数年で雑草が突き破ることがあります。最初から高性能なものを使ったほうがいいです。
あわせて読みたい:お墓の雑草対策|せっかくのお墓を傷めない、石にやさしい方法
ただし、砂利は重いです。ホームセンターの砂利の袋は1袋20〜30kgほどで、運ぶだけでも腰を痛めるので、無理をしないでください。
自分で手入れするときに、やってはいけないこと
自分で手入れをするときにも、やってはいけないことがあります。
- 塩をまく(石の中の鉄分がさびて、石を傷めます)
- 酸性の洗剤を使う(御影石のツヤが飛びます)
- バーナーの炎を墓石に当てる(熱で石が傷みます)
- 高圧洗浄機を石塔や磨いた面に当てる(外柵や石垣向きの道具です)
- 除草剤を墓石にかける
特に、雑草対策に塩をまくのは絶対にやめましょう。
あわせて読みたい:お墓の除草で絶対にやってはいけない方法
目地の打ち直し・花立の交換は自分で、文字の色入れはプロへ
石と石のすき間(目地)のコーキングが傷んでいたら、ちょっと器用な人なら自分で打ち直せます。今どきはYouTubeにもやり方が載っています。
打ち直しは、古いコーキングを取ってから新しく打つ作業です。上から足すだけではないので、誰でもきれいに仕上がるわけではありません。
花立の交換は、自分でできます。そこまで重くありません。
一方、墓石の文字の色入れは、できないことはないけれど、やっぱりプロのほうがいいです。
墓石のずれや傾きは、自分で直せる?
これは、お墓の大きさによります。自分で持ち上げられるくらいの石なら別ですが、普通のお墓だと、ちょっと厳しい場合もあります。
普通の人には、石を持ち上げられません。小さなお墓なら機械なしで動かせることもありますが、たいていは機械がないと、なかなか動きません。
素人が無理に石を持って、腰を悪くしてもしょうがないです。気をつけたほうがいいので、あまりおすすめはしません。
ただ、ずれや傾き、目地の割れを放っておくと、地震のときに倒れたりします。そもそも、ずれていること自体がよくないので、石材店に相談するのがいいでしょう。
納骨のために拝石を開けるのは?
納骨も、自分でできないわけではありません。ただし、納骨室の入口をふさいでいる拝石は約50kgあります。
次のようなお墓なら、石材店に任せたほうがいいです。
- 拝石がコーキングで閉じてある
- 拝石の下に手をかけにくい
- 雨で石が濡れている
- 一般的なものより拝石が大きい
濡れた磨き石は滑りやすく、持ち上げたときに指を挟んだり、石を落として割ったりする危険があります。
あわせて読みたい:納骨を自分でできる?お墓の拝石の取り扱いの注意点について
よくある質問
- お墓の工事を、自分でしてもいい墓地はありますか?
-
墓地によって決まりが違います。霊園やお寺の墓地には、決められた石材店でないと工事ができない「指定石材店制度」があることも多いです。
自分で工事を始める前に、まず墓地の管理者に確かめましょう。
- 墓石の文字の色、自分で塗ってもいいですか?
-
できないことはないけれど、やっぱりプロのほうがいいです。
- 地震に強くする工事も、自分でできますか?
-
免震・耐震の工事は、石と石の間に専用の材料を入れたり、金具で補強したりする工事です。墓石を外して据え直すことになるので、プロに任せてください。
まとめ:手入れは自分で、お墓と基礎はプロに
いずれにしても、お墓の墓石の部分も、コンクリート基礎にしても、信頼のできる石屋さんに依頼した方が、よろしいかと思います。
お墓の手入れは自分で、墓石と基礎の工事はプロに。この線引きで、いいと思います。
あわせて読みたい:同業の石屋も惚れる!『良い石材店』3つのポイント
石屋の持病は腰痛です。石屋は、石を持ち上げるときに「腰を切る」という持ち方をします。
石の持ち方一つとってもコツが要りますし、素人が下手に手を出しても、ギックリ腰になって後悔するのがおちですよ。
この記事の根拠
- 元石屋としての経験(地元の茨城県桜川市(昔からの石の産地)で、基礎だけ自分でつくり、墓石の施工を石屋に頼む例を見たことがあります。重量ブロックで基礎をつくる例も見かけました。)
- 1級お墓ディレクター、1級土木施工管理技士としての知識(お墓の基礎(鉄筋コンクリートのべた基礎、かぶり厚)、ブロックの強度、石の重さ、墓石の手入れの注意点。)
元石屋のひとこと
りょういち自分の手でお墓をきれいにするのは、立派なご供養だと思います。でも、重い石を動かすのは別の話で、節約したつもりがギックリ腰では笑えませんからね。








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