お墓の基礎は砕石と割栗石どっちがいい?|元石屋が役目の違いで答えます

割栗石(わりぐりいし)を使った基礎は、手間がかかっていて丁寧そうに見えます。ところが、ふつうの地盤なら割栗石はいらず、砕石(さいせき)だけで十分です。石の層を固く締め固められるのは、砕石のほうだからです。

お墓の基礎は砕石がいいのか割栗石がいいのか、割栗石を使わない基礎は手抜きなのかと、迷っていませんか。石材店のホームページを見比べても、砕石の店もあれば割栗石の店もあって、答えがばらばらです。

基礎は、お墓が建てば二度と見えなくなります。それでも、お墓が傾かないか、地震に耐えられるかを大きく左右するのは、この見えない地盤と基礎です。この記事では、砕石と割栗石の役目のちがいと、地盤が弱いときの対策、石材店の説明を聞くときに見てほしいところを説明します。

石材業界に約25年、1級土木施工管理技士としてお墓や土木の基礎工事を見てきた元石屋として、現場で確かめてきたことをもとにお話しします。

この記事の結論
  • お墓の基礎は、基本は砕石。大きさのちがう粒がすき間を埋め合い、固く締まって、墓石の重さを地盤へ均等に伝える
  • 割栗石は、地盤の表面に食い込み、杭のように地盤を固くする石。昔からある方法で、今は手間の少ない砕石が主流
  • 地盤が弱いときは、割栗石ではなく、地盤改良(砕石置換・杭打ち・D-BOXなど)で地盤を強くする
石材店の打ち合わせで、基礎の断面図と砕石・割栗石の見本を前に、職人さんの説明を聞きながら考える夫婦

ここからは、砕石と割栗石のちがい、それぞれの役目、地盤が弱いときの対策の順に説明します。

目次

砕石と割栗石のちがいは「締め固める」か「地盤に食い込む」か

砕石と割栗石は、どちらもお墓の基礎コンクリートの下に入れる石です。見た目は似た「砕いた石」ですが、役目がまったくちがいます。

お墓の基礎の断面の比較図。砕石だけの基礎は、固く締まって墓石の重さを地盤へ均等に伝える。割栗石+砕石の昔からの方法では、縦に立てた割栗石の先が地盤の表面に食い込み、地盤を固くする

砕石と割栗石の比べ

スクロールできます
比べる項目砕石割栗石
形と大きさ岩を砕いた角ばった石。40mmから0mm(ほこりのような粉)までの粒がまざっている岩を割った大きな石。1つが12〜15cmくらい
おもな役目層を固く締め固め、上の重さを地盤へ均等に伝える地盤の表面に食い込み、地盤を固くする
層の締まりやすさ◎△
地盤に食い込む力△◎
運びやすさ・施工のしやすさ◎×
締め固める機械プレート(とランマー)ランマー
使われ方今の主流昔からの方法。石材店や地域によって使う(上に砕石をかぶせる)

記号は、◎がとても良い、○が良い、△が条件による、×が向かない、です。

砕石は層そのものが固くなるのが強みで、割栗石は下の地盤まで強くするのが強みです。どちらが上というより、目的がちがう石だと考えてください。

砕石の役目は、固い層をつくって墓石の重さを地盤へ均等に伝えること

基礎工事のいちばんの目的は、上に乗る墓石とコンクリート基礎の重さを、地盤にしっかり押し返してもらうことです。この、地盤が押し返す力を「地盤反力(じばんはんりょく)」といいます。

砕石の層は、墓石とコンクリート基礎の重さを受け止めて、下の地盤に均等に伝えます。重さが一か所にかたよらないので、地盤がしっかり押し返せるのです。

砕石は、この役目にいちばん向いています。お墓では、C-40やRC-40と呼ばれる、40mmから0mmまでの粒がまざった砕石をよく使います。

大きさのちがう粒は、振動をかけると小さな粒が大きな粒のすき間に入り込み、ぎゅっと固まります。だから砕石は、層そのものが固く締まるのです。

反対に、粒の大きさがそろった単粒度砕石(たんりゅうどさいせき)は、すき間が埋まらないので、基礎の締め固めには向きません。

運びやすく、施工もしやすい

砕石は粒が小さいので、運ぶのも敷きならすのも楽です。私が現場にいたころは、大きな袋(トンパック)に詰めて運搬機で運び、クレーンで吊って現場に流し込んでいました。

締め固めは、細かい振動で粒どうしを密にするプレート(プレートコンパクタ)が基本です。砕石が締まるのにちょうどよい水分量に近づけてから、入念に転圧(てんあつ)します。

あわせて読みたい:砕石の違い【単粒度・再生砕石・C‐40・RC-40・M‐30】などの説明

弱みは、下の地盤まで強くする力が小さいこと

砕石は層そのものがよく締まる反面、割栗石とくらべると、下の地盤に食い込んで地盤を固くする力は限られます。

割栗石の役目は、地盤の表面に食い込み、杭のように固くすること

お墓の基礎工事で、掘った地面に割栗石を一つずつ縦に並べたところ

割栗石は、一つ一つを縦に立て、とがった部分を下に向けて並べるのが基本です。こうすると、とがった部分が地盤の表面に食い込み、杭のような役目を果たします。ただし、本物の杭のように深い固い地盤まで届くわけではありません。地盤の表面を固くする働きです。

締め固めは、真下に強く押し込むランマーが基本です。地盤にめり込ませて、地盤そのものを強くします。

すき間ができるので、上に砕石をかぶせる

割栗石は1つ1つが大きいので、どうしてもすき間ができ、それだけでは固く締まりません。

割栗石を使うときは、上に「目つぶし」として砕石の層をつくり、すき間を埋め、重さを均等に伝える層をつくります。割栗石だけで終わらせないことが大切です。

運ぶのも施工も手間がかかる

割栗石は重くて大きいので、運ぶのが大変です。砕石のようにスコップで簡単にならすこともできません。

しかも、性能をきちんと出すには一つずつ縦に立てる必要があるので、施工にとても手間がかかります。割栗石と砕石の2つの材料を使うぶん、手間と費用も増えます。ただ、びっくりするほどの価格の差にはなりません。

石材店によっては、墓石を加工したときに出る石の切れ端(コッパ)を砕いて、基礎に使うことがあります。コッパは基礎の目的に合わないので、私はおすすめしません。

地盤が弱いときは、砕石置換・杭打ち・D-BOXで地盤を強くする

ここまでをまとめると、基礎の石は砕石だけで十分です。割栗石を使うかどうかは、石材店や地域のやり方のちがいです。

地盤が弱いときは、基礎の石を変えるのではなく、地盤そのものを強くする工事(地盤改良)をします。地盤の状態に合わせて、次のように選びます。

  1. 固い地盤(支持層)がそれほど深くない:やわらかい土を掘り取って砕石に入れかえる(砕石置換)
  2. それでも足りない:杭打ち
  3. 水分を多く含んだやわらかい地盤:D-BOX(地盤を補強する袋)

やわらかい地盤に割栗石を入れても、地盤は強くなりません。水を多く含んだ地盤では、割栗石をランマーで突いても、地盤をこねるだけになってしまいます。これを「こね返し」といいます。

お墓には、住宅のような地盤調査や地盤補強の決まりがありません。どこまでするかは石材店の判断にゆだねられています。

地震のときは、お墓の造りよりも地盤の強さが大きく効きます。基礎の石の選び方は、その土地の地盤を見て決めるものなのです。

割栗石から砕石へ移ってきたのには理由がある

岩を細かく砕いて砕石をつくる機械(クラッシャー)ができてから、それまで割栗石を使っていたところが、だんだん砕石に置きかわってきました。砕石のほうが、固く締まる性質にすぐれているからです。

昔ながらの材料を大切にしてお墓をつくる考え方もあります。ただ、今は多くの建物の基礎工事で砕石が使われている、という事実も考えに入れてください。

りょういち

割栗石を使っているから丁寧、砕石だけだから手抜き、というわけではありません。大事なのは、その地盤に合った方法を選んで、しっかり転圧しているかどうかです。

あわせて読みたい:お墓の基礎工事の施工の流れと価格のポイントまとめ

割栗石を省くと安くなる?など、よくある質問

割栗石を使わないと、お墓は安くなりますか?

割栗石を使わないぶん、材料と手間は少なくなります。ふつうの地盤なら砕石だけで十分なので、割栗石がないことで損をするわけではありません。

ただし、砕石の層そのものを省くのはおすすめしません。お墓とコンクリート基礎の重さを下の地盤が背負いきれず、お墓が傾いたり、コンクリートが割れたりすることがあります。

あわせて読みたい:基礎砕石(割栗)を施工しなければ費用が浮いてお得?

粒のそろった砕石(単粒度砕石)でもいいですか?

基礎には向きません。砕石が固く締まるのは、大きさのちがう粒がすき間に入り込むからです。粒がそろっていると、すき間が埋まらず、固い層になりません。

石の切れ端を砕いたもの(コッパ)を基礎に使ってもいいですか?

私はおすすめしません。基礎の石の役目は、固く締め固めて、重さを地盤へ均等に伝えることです。コッパはその目的に合いません。

転圧は、どんな機械でするのがいいですか?

理想は、ランマーとプレートの両方を使うことです。ランマーは真下に押し込んで締め固め、プレートは細かい振動で粒どうしを密にします。目的がちがうので、両方使うといちばんしっかり締まります。

基礎の下の石は、お墓の水はけにも関係しますか?

関係します。お墓の下には、べた基礎というコンクリートの土台があることが多く、上からしみ込んだ水が下に抜けにくくなります。べた基礎の下には、割栗石か砕石を敷くのがいちばんです。

あわせて読みたい:お墓の雑草対策|せっかくのお墓を傷めない、石にやさしい方法

元石屋のひとこと:石の名前より、地盤と転圧を見てほしい

りょういち

「割栗石を使っています」と聞くと、立派な工事に見えるかもしれません。でも本当に大事なのは、地盤を見て方法を決めているか、手間を惜しまず転圧しているかです。石材店に、その理由を聞いてみてください。

お墓は、何十年も家族が手を合わせる場所です。見えなくなる基礎こそ、きちんとつくってもらいたいと思います。

この記事の根拠:25年の現場経験と、お墓の施工資料

  • 私の経験:石材業界で約25年、1級土木施工管理技士として、お墓と土木の基礎工事にかかわってきました。砕石と割栗石の役目、転圧の機械の使い分けは、現場で確かめてきたことです
  • 資料でも同じ:地面を掘って割栗石や砕石を入れてつき固め、その上に鉄筋コンクリートの基礎を打つ流れが、墓石・仏壇の販売会社の解説でも紹介されています(お墓の工事について)
  • 資料でも同じ:お墓の基礎に砕石(クラッシャーラン)を入れて転圧する手順が、石材店の施工解説でも紹介されています(お墓の基礎工事)
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この記事を書いた人

石屋の“中の人”だったからこそ話せる、お墓の本当のこと。国産墓石の加工メーカーで経験を積み、輸入石材商社での仕事にも携わって約25年の元石屋です。1級お墓ディレクター・1級土木施工管理技士。紹介料を受け取らない、しがらみのない立場で、石の性質と施工の両方から、根拠まで示してやさしくお伝えしています。YouTube「おはかのなかのch」でも発信中。

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