お墓に行くと、傍らにある卒塔婆(そとうば)。
塔婆とも略されます。
元々は、お釈迦様の遺骨を納めた、インドの仏舎利(ストゥーパ)が起源です。
仏教と共に、中国を経て伝わる過程で、
インド(サンスクリット語) | 中国(漢字) | 日本(日本語) |
स्तूप(stūpa) | 卒塔婆 | 卒塔婆(そとうば) |
ストゥーパが中国で卒塔婆と音訳され、
日本では『そとうば』という読みで入ってきました。
読みも変わりましたが、形や意味もかなり変化しました。
そんなストゥーパ→卒塔婆→そとうば、
の歴史について触れてみたいと思います。
卒塔婆に関する豆知識(価格・処分時期)も紹介しますよ!
それでは、
卒塔婆(お塔婆)供養とは?歴史から相場、処分の時期などを紹介!
をお送りします。
目次
卒塔婆の歴史 インド~中国
仏舎利塔(ストゥーパ)が仏教と共に広がる。
古代インド時代
- インドのお釈迦様の仏舎利(遺骨)を納めた塚(ストゥーパ)が元。
- 仏教の盛んな地にお釈迦さまの仏舎利(遺骨)を分骨して、ストゥーパが建てられる。
- 仏舎利が足りなくなり、宝石、経文、高僧の遺骨を仏舎利とみなしストゥーパに納めるようになる。
- ストゥーパに傘蓋(さんがい)を重ねるようになり楼閣・塔となっていった。
画像転用元:http://www.kamit.jp/02_unesco/01_sanchi/xsanchi_2.htm
古代インドでは、土饅頭型の塚を、
ストゥーパと呼んでいました。
頭には傘蓋(さんがい)が重なっています。
後に中国や日本でも仏塔の頂上部にある相輪は、
この傘蓋が元です。
画像転用元:http://navy.ap.teacup.com/yama/561.html
写真の白傘蓋仏母(びゃくさんがいぶつも)
が持っているのが、傘蓋(さんがい)です。
当時インドの王侯や貴族は、
熱さや埃を避けるために従者に傘蓋をかざさせたそうです。
その意味が転じて、供養の意味として、
土饅頭型のストゥーパにも傘蓋を被せるようになりました。
仏舎利塔(ストゥーパ)の変化
- 五輪塔
- 三重塔
- 五重塔
- 多宝塔
- etc
後にストゥーパは、五輪塔のような石造りの石塔や、
五重塔などの巨大な塔へと変化していきます。
漢・元朝(現在の中国)の時代
- ストゥーパが、中国本土の木造建築と結びつき中国式の仏塔になった。
- ストゥーパは、漢訳仏典で卒塔婆と音写された。
- 仏教が盛んな時代に、卒塔婆は中国に広まった。
応県木塔(仏宮寺釈迦塔)画像転用元:http://songye.exblog.jp/22294857/
応県木塔は、高さ67m、径30mで、
外観は5層にもなる世界最大の木造建築です。
1056年に建造を始めて完成までに140年も掛かりました。
画像転用元:http://www.thaismile.jp
所変われば、姿も形も変わります。
こちらはタイのストゥーパです。
金色に輝き、とても煌びやかですね。
しかし、ここまでの経緯を考えてみても、
現在の日本の薄い板材の卒塔婆と比較すると、
相当な違いがありますよね。
何故、日本に入って激変したのでしょうか?
日本でストゥーパの形と意味が激変!?
五輪塔と先祖供養が結びついた卒塔婆。
- 中国式の仏舎利を納めた多重の塔がストゥーパとして伝来。
- 平安末期~鎌倉時代初期には板碑としての卒塔婆があった。
- 五輪塔の影響が色濃い。
- お釈迦様を祀る意味から、ご先祖様を祀る意味へと転じた。
- 薄い板碑になり、現在のお墓に置くスタイルになった。
日本には、最初は中国伝来の五重塔等の、
多重の木造建築として伝わってきました。
ストゥーパを建てると無量の功徳があるということで、
日本でも実力者が五輪塔を石でつくったり、
木造の五輪塔を建てました。
12世紀に描かれた、国宝である餓鬼草子には、
傘のついた卒塔婆が存在しています。
資金力のない庶民は、
五輪塔を木で代用した角塔婆を建てるようになります。
さらに簡略化され、現在のように、
板でつくった板塔婆となりました。
石の墓石が定着すると塔婆は、
先祖の追善供養のために建てられるようになりました。
画像転用元:http://zumizumiyuiyui.blog.fc2.com/blog-entry-135.html
石の五輪塔も板の卒塔婆も五輪をかたどった、
「ストゥーパ」なので五重塔を、
建立するのと同じ功徳があります。
日本の卒塔婆(そとうば)は、インドのストゥーパが、
長い年月を経て変化した五輪塔と、
日本の先祖観が結びつき、独自の発展をしたと言えます。
卒塔婆豆知識!
卒塔婆はご先祖様へのメール!?
ある尊敬するお坊さんが、
『卒塔婆は、ご先祖様へのメールのようなものだよ。』
とおっしゃっていました。
子供が親元を離れたら、親を安心させるために、
たまに電話するのと同じようなもので、
極楽浄土にいるご先祖様に定期的に連絡をするのだそうです。
追善供養というと、言葉が重いですが、
メールという現代ツールだと思い浮かびやすいですね。
僧職に就かれる方でも、宗派によって個人によっても、
解釈が違うことをお断りしておきます。
浄土真宗においては、追善供養が必要ないので、
卒塔婆は必要ないとされています。
(これも寺院によるそうです)
卒塔婆を供える時期
- 年忌法要
- お盆
- お彼岸
- お施餓鬼法要
これらの際にお寺にお願いして用意してもらいます。
卒塔婆は何本まで立てて良い?
卒塔婆とは、故人の供養のために
墓のわきや後ろに立てますが、
本数に決まりはなく、故人1人に対して
1本でも、複数本立ててもよいとされています。
また、遺族に限らず、法要に参加する親戚や友人などが、
立ててもかまわないとされています。
卒塔婆の表書きは?
水引のない奉書白封筒を用い、お布施の表書きには
- 卒塔婆代
- 塔婆御布施
- お布施
などと記します。
お布施と塔婆料は別の封筒に入れるのが一般的です。
卒塔婆の価格(塔婆料)の相場は?
卒塔婆の価格(塔婆料)の相場は、
一枚2,000円~10,000円程度と言われています。
塔婆一枚の価格は決まっている場合が多いので、
寺院に確認を取ると良いでしょう。
卒塔婆はいつ処分するの?
卒塔婆の処分時期がわからないのか、
古い卒塔婆までずっととっておいて、
色が黒ずんでいるものも見かけます。
卒塔婆の処分時期ですが、
塔婆の功徳は一日
と言われています。
あまり長く置いておくのも、
見た目に良いものではないので、
新しい卒塔婆と入れ替えるぐらいで、
よろしでしょう。
霊園や墓地によっても、
処分方法が異なりますので、
墓地の管理者に確認するようにしましょう。
まとめ
墓地に行くと、何気にある卒塔婆ですが、
インドから地を越え、時代を越え、
お釈迦様の仏舎利(ストゥーパ)が、
日本で板碑になった。
卒塔婆の裏には壮大な物語がありました。
卒塔婆は、五重塔や五輪塔を建てるのと、
同じ功徳がある、とてもありがたいものなんです。
卒塔婆を、お墓に立てる際には、
そんな壮大な歴史と意味を考えつつ、
供養されるのもよろしいかと思います。
1級お墓ディレクターの「なかの」はこんな人ですよ。
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羽黒石材工業株式会社
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