一般的に、誰かが亡くなると墓石や墓誌に追加で名前(俗名)や戒名を刻むことになります。
価格は3~5万円ぐらいになりますが、ちょっと高くない?少し騙されている?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ネット上でちょろっと追加彫刻の価格を調べてみたら、安いので2万5千円、高いものになると5万円という記事がありました。
ただし、Facebookで石材店の皆様からのご意見によると最も安い価格で1万8千円、高いものになると8万円という話を聞きました。
内容の詳細はわかりませんが、かなり値段にバラつきがありますね。
墓石や墓誌に文字を刻む追加彫刻は、各石材店によってやり方が違います。
例えば、現場で彫刻をする場合があれば、墓誌を持って帰って雨の日にまとめてやるケースもあります。
冬季は、お墓が埋もれてしまい仕事にならないので、春にまとめて彫る地方もあります。
年間何百件も彫る石材店の場合には、墓誌を持ちかえってきて一気に文字を彫るので安くなる傾向にあります。
その辺りの追加字彫りのやり方も価格に反映されてきます。
それでは、実際の現場での墓石や墓誌への名前・戒名の追加彫刻の様子を見ていきましょう。
Facebookでいただいたコメントを記事内に反映させながら、また反映しきれなかった分は、最後にまとめて紹介させていただいています。
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目次
墓石や墓誌に名前や戒名の追加彫刻をする様子
それでは、さっそくですが、現場にて墓石に名前や戒名を刻んでいく様子を紹介していきます。
私は、石の産地である茨城県桜川市にある石材店に勤めているのですが、分業化が進んでいて、専門の字彫屋さんも数多くあります。
今回、ご紹介するのは達人の下請けの職人さんで、アナログに拘り現場で自分の書で文字彫刻をしています。
今回は墓誌に刻んでいますが、墓石でも要領は同じです。
①既存の名前・戒名とバランスを取りながら文字を書く
ゴムシートを張って、そこにえんぴつで文字を書き込んでいきます。
たまにあるのが、文字のバランスが過去の名前や戒名とバランスが取れていないということ。
追加彫刻で墓石や墓誌に刻むのは基本的に戒名・名前(俗名)・亡くなった日付(享年・行年)亡くなった年齢になります。
戒名も名前も日付も文字数にバラつきが出るので、それらを調整します。
②追加彫刻をする名前・戒名に墨入れ
この辺りから完全に訓練された特殊能力になってきますが、立っている面にキレイに墨入れをしていきます。
左手を墓誌に当てて、その上から右手で丁寧に書いていくのですが、よくこんなに上手に書けるといつも感心してしまいます。
③墨入れした名前や戒名などの文字にカッターを入れる
さらに細かい作業が続きます。
先ほどの墨入れした書をカッターで切っていきます。
ほんと、慣れているからチャッチャッとやっていますが、職人技です。
④カッター入れした名前や戒名を千枚通しで取る
ピッピッと小気味よくカッター入れをした文字のゴムを取り除いていきます。
本当に見ていて気持ちがいい。
ここまで終わると、名前や戒名を墓誌に彫る準備ができあがります。
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⑤コンプレッサーや鉄砂の準備
こちらはコンプレッサー、空気圧で文字を刻みます。
現場追加彫り用の小型のコンプレッサー。
細かい鉄の砂。
これをエアーで高速で叩きつけます。
こちらがエアーを叩きつける先っちょ(正式名称を知らない)
鉄砂が飛び散るので、ブルーシートなどで養生をします。
こんな感じで段取りをして、いよいよ名前や戒名の追加字彫りの開始です。
施主さんが、最初から最後まで興味深く見ていてくれました。
一連の作業の様子に驚かれていた様子です。
⑥エアーで鉄砂を叩き付けて名前や戒名を墓石・墓誌に刻む
そして最後にエアーで鉄砂を叩きつけて文字を彫刻していきます。
吹付け方にもコツがいります。
⑦墓石・墓誌からゴムシートを剥がして終了!
そして、最後にペロンとゴムシートを剥がして終わりです。
良くできました!
最後まで見学されていた施主さんも納得の出来。
(一部プライバシー保護のため、モザイクが掛かっています)
ここまでの作業で、だいたい2時間~2時間半ぐらいになります。
実際に現場での追加彫刻をアナログでやるのは珍しい
ここまで紹介しておいてなんですが、このような形で昔ながらに現場で墓石や墓誌に追加彫刻をするのは今では少ないです。
基本的にはPCの文字をゴムシートに打ち出して、カッティングまでされているものを現場でペタンと張って彫刻をすることが多いようです。
なので、このようなザ・職人な追加字彫りとはかなり様子が異なります。
なぜ、アナログにこだわっているのかと言いますと、やっぱり人の文字は温かいからです。
PCの文字と比較すると良くわかりますが、血が通っていることがわかります。
今回は、最初から最後までずっと施主さんが立ち会っていましたが、温もりを感じられたことだと思います。
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結局、墓石や墓誌の追加彫刻は、いくらが適正価格なの?
墓石や墓誌の追加彫刻ですが、冒頭で紹介した通りネットで調べると、安い価格で2万5千円、高いものになると5万円程度と紹介されています。
聞いた話によると、納骨とセットで5万円で請け負っているところもあるそうです。
これら価格がどうなのかというところですが、作業に掛かる経費以外にも現場を下見したり戒名を確認する必要があります。
石材店の立場としては、追加字彫りの価格で、2万5千円は厳しいな~というところです。
ただし、比較的近場に現場があって1日に2~3件の追加彫刻ができる場合には状況が変わってきます。
また、墓石や墓誌への追加彫刻の値段は、石材店のこだわりによっても変わってきます。
今回紹介したケースのようにアナログで、人の手によって筆で字を書くと温もりが出ますが、技術的な難易度が高くなります。
中には、書家さんに依頼をして、名前や戒名を書いてもらうという石材店もいます。
その辺りは、価格に反映をしていかないわけにはいきません。
でも、その辺りの事情を知っている方は、一般のお客様には少ない。
「他はもっと安いよ!」
と言われても説明が難しいんです。言葉では伝わらない。
積極的に、低価格で追加彫刻の訪問営業をしているところもあって、とてもじゃないけど値段では太刀打ちできないです。
そんなところもあって、今回の記事を書かせていただきました。
石材店によって墓石や墓誌に刻む追加彫刻でもやり方が違うからです。
ちなみにうちで、追加彫刻の依頼を受ける場合には3万5千円です。
どうでしょうか?適正価格ですかね(汗)
追記、Facebookで、沢山の石材店の方々にコメントをいただきました!
「やっぱり手作業は温もりが段違い!!」
「うちは、墓誌を持ち帰って丁寧に刻むので価格が高くなる。」
「千葉にも、同じような工法で現場で追加彫刻をする石屋さんがいるよ!」
「橋のない小川を渡り、山のてっぺんで追加字彫りをした。」
「年間100件ほど追加の戒名字彫りがあるので、墓誌をまとめて持って帰って雨の日に彫刻する。
1月から3月はお墓が雪の中なので4月5月で半年分の追加彫りと納骨をする。」
「原稿はすべてパソコン。拓本を見ながら似せていきます!」
墓誌を持ち帰ってまとめて字彫りをする石材店が多い
統計的に調べたわけではありませんが、FBのコメントで多かったのが、墓誌を持ちかえってまとめて戒名字彫りをする石材店が多いということです。
雪深い地域では、活動できるうちにまとめて持ち帰っておいて冬季に字彫りを済ませておく、効率がいいですね。
愛知でも墓誌を持ちかえるというご意見もありました。
確かに年間数百件とか数がある場合には、墓誌を持って帰る方が追加字彫りの手間が減り安価に済ませることもできます。
地域差やまた各石材店の仕事量にも左右される部分が大いにあるということですね。
作業条件によっても墓石や墓誌への追加彫刻の値段は変わってきます。
また自社でやるか、下請けにアウトソーシングで出すのかによっても変わります。
地方により、また石材店の環境により変化があることをご承知ください。
詳しくは、お近くの石材店にご相談くださいませ。
あと、多くの石材店のご意見を聴いて感じたのは、各地方に低価格で戒名字彫りを引き受ける石材店が出てきていること。
1万8千円という価格には驚きました。
石材店の墓石の受注が減ってきている昨今ですが、追加彫刻を安く請け負い数をこなす石材店も増えてきているようです。
コメント
コメント一覧 (2件)
改葬の為、2名分の追加刻印について、霊園の指定業者に問い合わせたところ、税込み10万円と回答があり、驚きました。
ネットでは半分近い値段で請け負う業者もいる様子です。
契約書には指定業者名は書いていません。
指定業者以外の選び方、あるいは指定業者に価格を下げさせる方策策等があれば教えて下さい。
民間霊園であれば、基本的に指定業者に依頼するしかないです。