福島県石川郡古殿町で採掘されている芝山石。
いわき市、平田町、古殿町の3市町村にまたがる、広大な公園「芝山自然公園」の一角で砕石されています。
まず石山を見て驚いたのが、山砂の多さ。
山砂は、花崗岩が風化してできたものであり、どの石山でも見られるものですが、量が多い。
そしてその山砂の中から宝物を掘り出すように、芝山石をバックホウで掘り出します。
また、芝山石は、石目の美しい御影石としても有名です。
そんな芝山石がどのような環境で採掘されているのか、動画も交えて説明していますので、どうぞご覧ください。
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目次
福島県産の芝山石ってどんな石?
福島県産の芝山石の石目の特徴は、柔らかく優しく、美しいところです。
まったく私の感覚で話をしていますが、いろんな石を見ていて、本当にそう思います。
そして、優しさの中にも凛としたたたずまいがあります。
実際のお墓の石塔に利用するとこんな感じ。
角度を変えると石目がまた違ってみえて、石の味わいも増します。
何となく、芝山石の石目の美しさが理解していただけたかと思いますが、芝山石は、関東だけでなく、遠く関西でも人気のある石種です。
それだけ、人の目を惹きつける魅力のある石だということです。
芝山石を利用したお墓は、以前にも紹介しています。
石目が似ているとされる中国産G614との比較
そんな芝山石ですが、中国産G614と石目が若干似ています。
個人的には、芝山石の方がより美しく深みがあると感じます。
ボヤっとしたG614に対して、芝山石は石目がハッキリしていて立体的に見えます。(主観)
G614は、価格が安い割に石目の美しさで人気のあった石なのですが、水を吸いやすいという大きな欠点がありました。
芝山石は、逆に花崗岩の中でも屈指の低吸水率を誇り、日本においては天山石についで2位になります。
また、水の抜けも良いそうです。
芝山石の物性データ
- 見掛け比重:2.62t/m³
- 吸水率:0.09%
- 圧縮強度:104.83N/mm²
G614の物性データ
- 見掛け比重:2.649t/m3
- 吸水率:0.259%
- 圧縮強度:120.57N/mm2
芝山石の弱点は玉石であること
そんな芝山石ですが、弱点があります。
玉石なので、墓石材などで切り分ける際に、どうしても無駄な部分が出て、歩留まりが悪くなってしまいます。
ただ、メリットもあって、玉石ごとに性質がハッキリわかれやすく、キズの多い原石を見分けやすいというメリットがあります。
キズがあると、そこから年月を経て破損する可能性があるので要注意です。
当たりはずれの判定が玉石ごとにしやすいということですね。
スーパーなどで行われる福引き抽選を思い出しました。
子供が喜んでガラガラ回すアレです。
『いい石が出ますように。』
いや、ほんと、石山って博打的な要素があるので笑えない例えです。
兄弟石、紀山石との違い
芝山石の兄弟のような関係で、同じ芝山で採掘される紀山石(きざんいし)があります。
石目も非常に似ていて、美しい石で、やはり関西でも人気のある石種です。
紀山石は、岩盤から採掘され、玉石で採掘されることが多い芝山石とは採石の様子が異なります。
紀山石の特徴として、石目が美しい反面、キズが多くみられ、また見分けが難しく、けっこう石屋泣かせの石です。
どんな石でも一長一短ありますね。
芝山石の等級について
芝山石では、特に青みが強いものを『極』(きわみ)と呼び、等級を分けています。
福引きでいう金色の玉ですね。大当たりです。
青手の原石は、色味の濃さから人気があるのですが、中々出てきません。
青みが強いほど、ながれ(石に模様ができてしまうこと)が出やすいので、石目を揃えにくくなります。
原石で出たとしても、直ぐにお得意様に出してしまうそうです。
その他には、特に等級を定めてなく、通常の芝山石と、墓石などの石材製品の用途には適さないB級材になるそうです。
墓石の用途に利用できる原石はだいたい10%程度になります。
何度も言うようになってしまいますが、石山って博打的な要素が強くなります。
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福島県産、芝山石の採石場の様子
芝山石の採石場には、採掘元である(有)藤井石材工業の若社長夫婦に案内していただきました。
会社事務所と加工工場のある福島県田村郡小野町大字浮金から、距離にして約30㎞、時間にして50分。
私の地元である茨城の産地だと、そんなに離れていることはないので、新鮮な驚きでした。
福島の石山はだいたいそんなものらしいです。
流石、石の宝庫とも呼ばれる福島県。
芝山石の採石場から見える景色はこんな感じ。
山から下を見下ろすと、阿武隈の育む山々が連なっていて、奥に向かって緑の自然が続きます。
福島の採石場は、基本的に標高が高いのですが、芝山石も同様で800mぐらいになるそうです。
冬季は、雪が積もって極寒の地なので、採掘はしないそう。
採石場の上の方はこんな感じ。
山砂が多いのが目に付くと思います。
これだけ山砂があったら、売れるんじゃないかなーと単純に思いました。
藤井さんに聞いてみると、建設資材の用途として用いるのには、性質が向いていないそうです。
確かに手にもってみると、質感が粘り気がある。
水分を含むとぬかるみそうな山砂です。
案の定、ちょっとぬかるんでいるところを歩いたら、靴がずっぽりと埋まりました。
肝心な芝山石の原石の様子。
山砂を掘ると玉石状の芝山石が出てきます。
採掘が楽そうな感じがしましたが、聞いてみたら砂の移動で大変だそう。
隣の芝は青く見えるというやつですね。
ゴロンと転がる、玉石を半分に割った原石。
石目を見るのに、水を掛けてもらいました。
いい色をしていますね。
芝山石を切るのには、ある程度まとまっている場合には、ワイヤーソーで切断。
玉石の場合には、黒色火薬をなるべく少なく用いて割ることが多いそうです。
割肌と呼ばれる、石を割った状態の石肌。
自然なままの赴きがあって、けっこう好きなんですよね。
写真で、薄く赤鉛筆で線が引いてあるのがお分かりになりますでしょうか?
ここにキズがあります。
目利きの山石屋さんは、原石を目で見て判断します。
岩盤が出ている状態の芝山石の採石場の様子
藤井さんから、山砂を掘り下げて岩盤が出ている時の写真をいただきました。
岩盤だけど、玉石状になっています。
採掘はしやすそうだけど、大小の選り分けや選定が大変そうです。
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まとめ
吸水率が低くて美しい石目の芝山石について紹介してきました。
玉石が山砂に埋まっているという珍しい形での採掘の様子が面白いと感じました。
どうして、このような石山になったんでしょうね?
山砂は花崗岩が風化したものなので、玉石と一緒に土石流のように流れてきたのか、それともこの場所で風化をする中で、このような形になったのか、興味は尽きません。
しかし、石山見学は面白いですね。
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