「石屋が心おどるお墓をつくりたい。」
最初の気持ちはそうでした。自分で楽しめて心から良いと思えるお墓をつくってみたい。
お墓の中心になる石塔の部分を深い青みが美しい福島県産『十万石青みかげ』で、外柵の部分を地元を代表する銘石、茨城県産『真壁青小目』でつくりました。
十万石青みかげを福島の藤井石材工業で、外柵の真壁青小目を茨城の羽黒石材工業で担当しています。2つの産地の石屋とお施主様、三位一体となって共同作業でつくりあげたお墓です。
十万石青みかげと真壁小目については、石材産業協会の事業で私がカタログを作成させていただいています。
この度お墓の完成にあたり施主様から『ぜひ、ブログで紹介してください』と快く了承していただいています。
魂でつくりあげたお墓がいしづえとなり、施主家が益々喜びと幸せに満ち、末永く繁栄することを心からお祈りしています。
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目次
石材産地としての福島と茨城の特徴
福島と茨城、隣同士の県であり、昔からの石材の産地として全国でも有名な土地柄です。それぞれの産地に特徴があります。
福島県
- 石の宝庫、豊富な石種(浮金石・中山石・深山ふぶき・芝山石・吾妻みかげ・紀山石・十万石青みかげ・滝根みかげ・あだたら御影etc)
- 日本では珍しい黒御影石がある(浮金石・中山石)
- 吸水率が低く・風化に強い石が多い
茨城県
- 香川県庵治、愛知県岡崎と並ぶ、全国屈指の石材加工産地
- 国産ではリーズナブルで扱いやすい真壁石や稲田石が産出される
- 石材建築・土木関係も強い
この2つの産地は、隣同士の県で比較的距離も近いため、昔から互いに協力関係にありました。といっても今回コラボ企画を依頼した(有)藤井石材工業との距離は170kmほどあります。
昔から福島と茨城の産地は、お互いに補い合い協力関係にありました。日本向けの国産墓石が最盛期の頃は、福島からきた原石を積んだトレーラーが茨城の笠間市から桜川市にかけての道にズラッと並んでいて、茨城でどんどん加工して、全国にお墓を提供していたそうです。
パートナー藤井石材工業との出合い
今回、福島の産地で信頼できる墓石加工会社ということで依頼をした藤井石材工業さんとは、ブログを通じて知り合いました。
お施主様にも、ブログを通じて関心をもって頂いています。ブログが繋いだ仲ですね。改めてブログのもつパワーは凄いと感じます。
藤井さんの堅実な仕事ぶり、加工精度の高さ、品質の良さは以前から知っていて、何か一緒に仕事がしたいという思いはあったのですが、施主様から『福島の石も検討している」と聴いた時にヒラメキました。
すぐさま、藤井さんに電話をして『福島と茨城でコラボ墓をつくったら最高だと思うんだけど?』と想いをぶつけました。
藤井さんに2つ返事で『協力したい』と言っていただき、福島と茨城の産地を越えたコラボ墓が実現することになりました。
実際に藤井さんの工場を見学させてもらいましたが、最新設備によるお墓の加工の様子は、同業者から見ても目を見張るものがあります。素晴らしいお墓ができることを予見させるものでした。
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福島県産『十万石青みかげ』と茨城県産『真壁青小目』
お施主様のお墓は、「花の寺」として有名な茨城県古河市にある永光寺にあります。
つつじや紫陽花などがきれいな花を咲かせているのですが、特に牡丹が有名で、5000株にもなるそうです。花が見ごろになと数万人が参拝に訪れます。
お施主様の要望としては、地元茨城県の銘石である真壁青小目石でお墓をつくりたいということでした。
福島の石にも興味があるとのことなので、浮金石や芝山石なども提示させてもらいましたが、中でも深い青みのある『十万石青みかげ』を気に入られ採用していただきました。
藤井さんいわく、十万石青みかげは『福島の清き青龍』という代名詞があるそうです。まさに青龍の名にはじない威風堂々とした石目は、シンボルとしてのお墓にぴったりです。
目指したのは、石が主役のお墓
石塔は、洋型でスクウェア状で本当にシンプルです。隷書で書かれた「初沢家」の家名も石塔の右下に目立ち過ぎない程度に刻んで、十万石青みかげの石目を楽しめるようになっています。
外柵の真壁青小目もザックリとした加工で、特に両脇の石は、無垢の一枚石でつくられています。これも石を良く見てもらうためのもので、余計な装飾はありません。
目指したのは、石が主役のお墓です。
福島県産『十万石青みかげ』と茨城県産『真壁青小目』どちらも墓石材としては高価です。
2つの銘石を贅沢に使用して、余計な装飾を極力控え、素材の持ち味を活かすことがコンセプトになっています。
こだわるところは細部までとことんこだわる
このお墓、シンプルなつくりですが、細部にこだわっています。
こだわりポイント
- 厳選した原石を丁寧に加工
- 背を屈めずに拝めるように高さを確保
- 通常よりも長期耐用なコンクリート基礎
- 大地震が来ても問題ないレベルの耐震構造
- 防水仕様納骨堂(カロート)
- 耐エフロレッセンス仕様
石は、原石から厳選して最良のものを選択して、最高の加工を施しましたが、基礎や内部構造にもこだわっています。見えないところほど、キチンとつくるのがモットーです。
施主様はもちろんのこと、石屋としても納得のできる出来栄えになりました。
でも、国産墓石はお高いんでしょう?
ここまで読まれた方、国産墓石でこだわってつくって価格が高いと感じられていると思います。でも、実は、ここまでのこだわりながらも価格を抑えたつくりになっています。
石屋さんも、お客さんも中国産のお墓に目が慣れすぎています。墓石販売店の展示場に行くと中国産墓石の展示物ばかりです。
実際に、今回の寺墓地でも回りは中国産の曲線を多用したお墓が多いのですが、そこにシンプルだけど石の良さを引き出した日本製のお墓を置くと『おっ、いいんじゃないか?』となります。
本格国産墓石は、一際存在感があって目立つんですよね。
ウソいつわりなく、良質な石と技術の粋を集めた、ど真ん中直球ストレートのお墓と言った感じですね。
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まとめ
福島と茨城のコラボレーション墓について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
今回、紹介したようなお墓は改まってコラボレーション墓と紹介するまでもなく、一般的に墓石販売店でも同様に売られています。
別々の産地で加工した部材を組み合わせてお墓をつくることは珍しくもありません。日本の別々の産地の場合もありますし、中国やインドとの組み合わせだってあります。
でも、あえて産地のコラボを前面に打ち出すようなことはあまりしていないと思います。
今回は、ビビッとくるものがあって、コラボ墓を思いつきましたが、よく考えると当たり前だよなぁ?と。
でも、当たり前のことだけど、それを前面に打ち出してやると、面白いんです。面白ければ興味を引きますよね。
今回の提案は、お施主様の心を捉えて非常に気に入ってもらいました。
藤井さんとは、連絡を密に取り合い最高のお墓を提供するという共通の目的の元でつくっています。
お互い『お施主様のために素晴らしいお墓をつくろう!』と本気になりました。
お墓づくりそのものが、お客様の思い出深いものになったら素晴らしいことです。
フォトブックを作成して、それぞれの石材店の加工の様子や基礎工事から建墓、完成までの過程を物語としてお渡ししています。
今回は、福島とのコラボでしたが、全国には他にも有名な石材産地があります。組み合わせも石種の数だけ色々楽しめます。
【最高級石種 庵治×白い貴婦人 稲田】なんてのも関東では見かける組み合わせですが、改めて石とその背景となる産地にクローズアップするのも面白いですよね。
1級お墓ディレクターなかのはこんな人ですよ。
こんな会社に勤めていますよ。
お墓についてご相談したい方はこちらにどうぞ。
いろいろとご相談したい方、@LINEもやってます。
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コメント
コメント一覧 (2件)
うーん、カッコイイですねぇ。。。
ブランド墓石、私も機会があればお客様に提案したいと思います。
加工次第で安価に提供できるのは魅力ですよね!
米陀さん、コメントありがとうございます。
今回は、十万石と真壁青小目でしたが、石種の数だけ組み合わせは無限です。
いろいろ試してみるのも面白そうです。
機会があれば、ぜひ、よろしくお願いします。