国会議事堂、最高裁判所、日本銀行、東京駅。
明治時代を代表するような建築物の多くが御影石でつくられています。
そういった昔の石造りの建築物を見ると、よくこんなに優れたものをつくったなぁと感心します。
当時は、今のようにCADなんてありません。
綿密に図面を引いて、その通りに石を加工したのでしょうが、今とは比較にならないくらいとても大変な作業だったと思います。
本当に、昔の石造りの建築物は感動的な出来栄えなんですよ。
近年では、そういった石を利用した超大作は、まず作られなくなってしまいました。
石の利用用途は、石張りとなり、鉄筋コンクリート構造物の表面を覆う形で、使われています。
そんな中、茨城県産の稲田石で石塀をつくって欲しいという要望があり、私が勤める石材店で携わらせていただきました。
石塀以外にも永代供養塔や水受け、手水舎に沓石、階段や敷石など、お寺の石工事を一式請け負わせていただいています。
その様子を動画にまとめてみましたので、ぜひ、ご覧になってください。
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目次
石材建築物は、地震に弱い
石塀の話をするのに、のっけから否定的な話から入ってしまいますが、石材建築物は地震に弱いです。
お墓もそうですよね。
大震災が起こると、必ず地震の被害の大きさを知らせるために墓地の映像を流します。
地震に弱い墓石は、倒れやすいんですね。
東日本大地震では、かなりの石塀が倒れました。
ブロック塀と比較すると、明らかに構造的に弱いということが浮き彫りになりました。
特に大谷石の石塀が被害がひどかったですね。
なので、茨城県産稲田石でつくった石塀も耐震性を確保することに非常に気を使いました。
動画の中で、ステンレス棒を入れてボンドを塗っている場面がありますが、強力なボンドを使用しています。
エポキシ系ボンドと言って、2液を混合して練り混ぜて使います。
屋内用と屋外用とがあり、屋外用のエポキシ系ボンドの価格は、かなり高額です。
お墓の工事では、最近の工事では、どこの石材店も利用していると思いますが、石塀に利用するのには、かなりのコスト増になります。
でも、それでも利用した方が、耐震性を考慮すると絶対にいいです。
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日本の石材加工精度は高い!
まずは、石塀にも施しているビシャン叩きの様子をご覧ください。
ビシャン叩きとは、簡単に言うと、石の表面に細かい穴をあけて面を荒らすことです。
動画では、板石にビシャン叩きを施していますが、石塀でも同じことです。
簡単そうに見えますが、高等技術です。
石の面を、均一に平らにきれいに叩くのは、至難の業です。
こちらの動画では、石の表面をコヤスケという道具をセットウで叩いて石の表面を払っています。(1:30秒ぐらいから)
ちょっと加工の種類は違うのですが、石塀の下の方のボコボコした加工は、こういった道具を利用して手で加工しています。
こちらも、経験とスキルがないとできない石材加工で、できる石工職人は限られています。
石材加工の多くは、価格の安い中国に頼ることが多くなりましたが、御影石の表面を磨いて仕上げるのは、上手くなったのですが、こういった、道具を利用しての石材加工は、極端に加工精度が悪くなります。
日本で加工した石塀は、細部まできっちりしていて良い仕事がしてあるのがはっきりとわかります。
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まとめ
日本の優れた石材加工技術による茨城県産稲田石の石塀加工及び、耐震性を考慮した工事について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
この石塀を加工してくれた石工職人は、高校を卒業してからずっと一筋でやってきて現在還暦を越えました。
技術の冴えは、今でも健在ですが、体のアチコチにガタがきているとは言います。
そして、ビシャン叩きやコブ出し加工のできるような弟子は育っていません。
冒頭でも触れたように、昔のような石材建築物は減り、石工職人の腕を振るう機会が少なくなりました。
今回のような国産の石塀は、とてもありがたい話ですが、滅多にあるものではないのです。
こういった、日本の石材加工の素晴らしい技術が途絶えていってしまうのは、とても残念なことです。
コメント
コメント一覧 (2件)
こんばんは。
最近のブログの「題」はロケットニュース並みに興味を持たされます。
(#^.^#)
俺もそうしようかなあ。
宮崎さん、ありがとうございます。
タイトルには、けっこう神経を使っています。
『日本の石材加工技術のたまもの、国産石塀の加工精度は感動レベル』
ですが、大きく2つのベクトルに向けて書いています。
1つめがグーグルです。
【石材加工 精度】のキーワードで狙っています。【石塀】は調べる人が少ないので、実はおまけみたいなもんです。
2つめはSNS向けです。
人の目で見て興味を惹くようなタイトル付けです。
ロケットニュースのようなタイトルのつけ方も参考にしています。