お墓に水をかけたらダメ?お墓のプロがお応えします【決定版】

TV番組が発端なのですが、「お墓に水をかけてはダメ!」という話題が広がりました。

だけど、全国には「お墓に水をかける」人が多くて、多くの方の不安を呼びました。

なかの
こんにちは、1級お墓ディレクターのなかのFacebook Twitter自己紹介)です。

あなたはお墓に水をかける派ですか?かけない派ですか?

今回は、SNSでも話題になった「お墓に水をかけてはダメ」という論理について考察していきます。

ただ、考察しただけでは面白みがないので、私なりに石屋さんとして「石の性質」を考慮した「ご先祖様」により優しい提案を付け加えてみました。YouTubeでも投稿してけっこう評判が良いので、皆様の参考にもなると思います。

一番最初に結論を申し上げますと、「お墓に水をかけてOK」です。

まずは、「お墓に水をかけてはダメ」派の論理から説明させていただきます。

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目次

お墓に水をかけてはダメ!

まずはお墓に水をかけてはダメ派の論理について紹介させていただきます。

  1. お墓に水をかけるのはご先祖様に頭から水を浴びせるのと同じだから失礼である。
  2. 石が割れたり、欠けたりする原因になる。

1つづつ説明していきます。

お墓に水をかけるのはご先祖様の頭から水を浴びせるようなもの

お墓をご先祖様そのものと見立てると、お墓の頭から水をかけることはご先祖様に水を浴びせるようなものになるという理屈です。確かに、お石塔は仏様を表すと言いますし、話としては辻褄があいます。そう考えるとご先祖様に対して失礼な行為に当たり、止めた方が良いことになります。

この理由については、もう少し深堀する必要があるので、のちほど更に検証していきます。

石が割れたり、欠けたりする原因になる。

夏の暑い日には、墓石の温度がかなり上がります。黒御影石ともなると熱を吸収するので、素手で触ることもできなくなります。そんな熱く火照った石に水をかけると割れたり、欠けたりするという論理です。また、逆に冬の寒い日には、水が凍ります。水は凍ると体積が増えますが、石は水を吸うので、石の内部に入った水が凍結すると内部で膨れます。そうなると石を内部から破壊します。

理屈は石屋としても良く分かります。でも毎年夏になれば熱い日が続きます。そしてカミナリと共に夕立がやってきます。いわば熱く火照る→冷やされるを日常的に繰り返しているわけであり、どれだけ柄杓一杯の水をかけることが石にダメージを与えるのかは甚だ疑問です。冬も同じで、確かに凍害と思われる現象で石にダメージを与えているケースはありますが、それは自然の中で、長年の経年劣化の中で少しづつ風化したものです。

昔の質の悪い墓石だと、キズが入っていたりして、そこから割れたり欠けたりすることも考えられましたが、最近の墓石は中国産であれ、露骨なキズはありません。なので、石が割れたり、欠けたりするからお墓に水をかけたらダメという論理はナンセンスな話になります。

実際にお墓に水をかけている方は多い

話題になった「お墓に水をかけてはダメ」という論理ですが、SNSで14万いいねが付くほど話題になったそうです。これだけ話題になったのは、それだけ「お墓に水をかける」方が多かったということの証明でもあります。私が以前見た映画のワンシーンの中で、お墓に水をかけている場面がありました。映画の中で使われるぐらいなので、一般的な行為であると言えます。

私自身、昔からお墓には水をかけていました。それは、物心ついた頃には当たり前の記憶として残っていて、両親や祖父母がそうしていたから自分の自然にお墓に水をかけるようになりました。実際に日本全国で同じように風習として行っている地域んも多いようです。

両親に「なぜ、お墓に水をかけるのか」を質問したことがあるのですが、ご先祖様が喜ばれるからと教えられました。同じようにお墓に水をかけられている皆さんもご先祖様の供養として行われていたことだと推測されます。

そもそもお坊さんがお墓に水をかけている

そもそも論として、お坊さんがお墓に水をかけていらっしゃいます。私は石屋として開眼供養など、お墓で行われる儀式に数多く携わっていますが、お墓に水をかけられるお坊さんもいらっしゃいます。本職の僧侶がそうされているのですから、それを否定する道理はないと考えます。

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水をかけてはダメ論はTVから広がった

TVでは当たり前の内容だと視聴率を稼げない

お墓に水をかけてはダメ論は、民法のゴールデンタイムの番組から広がりました。お墓に水をかけてはダメという話は、実は何度か同じTV番組で放送されていて、それは毎年お盆やお彼岸の前に定期的に流されていました。

これはその番組内で実際に「お墓の水掛け論」について説明をされていた親しいお坊さんから聞いた話なのですが、TV局側の意向でダメ論を収録されたそうです。

TV局側の立場になって考えてみると、視聴者の興味・関心を惹きつけて視聴率を稼がないことにはご飯を食べていけません。なので、当たり前の内容を当たり前に放送しても面白みがなく、ネタにならないのです。センセーショナルでインパクトのある内容の方がTV局側として都合が良く、そういった思考も働いてのダメ論だったのだと推測できます。これはあくまで私の主観です。

だけど、実際にこのTV番組の内容は反響を呼び、SNSでも「お墓に水をかけてもいいんだよ!」という意見がシェアされ大きく拡散されました。それはつまり「お墓に水をかける」人が多かったということであり、実際に番組を見て不安になった方が多かったという証拠です。さらに突き詰めるとそれは、TV局側の思惑通りに視聴者の興味・関心を惹きつけたということにもなります。

お墓に水をかけてはダメ論の大元はどこ?

このお墓に水をかけてはダメ論ですが、火元がないところに火はつきません。これは噂ですが、ある有名占い師のTV番組内での発言が元になっているという話があります。

その方は墓相にも精通しているのですが、墓相とは、手相があるようにお墓にも相があると見る考え方です。墓相の見地から言うと、お墓に水をかけると良くないようです。

番組内で「お墓に水をかけちゃダメよ!」「バチが当たるわよ!」とやったとの話です。インパクトありますよね。

TV局側としては、キャッチーでわかりやすく視聴者ウケする内容です。ということでおそらく元ネタはこの辺りからきているんじゃないかと思われます。

お墓に水をかけちゃダメ論には大きな弱点が!!

だけどもこのお墓に水をかけちゃダメ論には大きな問題があるのです。それはお墓を掃除する時にどうするのか?お墓に水をかけないで掃除をするのはけっこう大変なような気がします。

そのTV番組内で言っていたのは、新品の雑巾を水で濡らして硬く絞って、それでご先祖様の背中を洗うように、大切な故人を思い出して語り合うように拭かれると良いとのことでした。雑巾は雑に布と書きますが、この場合の雑巾は浄に布と書いて浄布(じょうきん)と呼ぶそうです。これはめっちゃいい話ですよね。これには大賛成です。

だけどもここで石屋さんとして、さらにご先祖様に親切な心のこもった提案をしたいと思います。

水をかけた方がよりご先祖様に優しい掃除ができる!!

石は人肌と同じで乾燥していると洗いづらい。

水をかけちゃダメ論では、硬く絞った浄布でお墓を拭いて掃除をするとのことでしたが、実は、この方法だと残念ながらご先祖様に優しくありません。お墓=ご先祖様ととらえるから頭から水を浴びせるとダメとのことですが、ご先祖様の体を洗うという視点でよくよく考えてみると、水をかけてあげた方がより親切なのです。

自分が体を洗う時のことを考えてみてください。いきなりスポンジやタオルに石鹸をつけて洗い出さないと思います。まずシャワーなりかけ湯で体に水をかけて湿らせてから洗い出すはずです。なぜならば、肌が乾燥している状態だと洗いずらいからです。同じく、頭をシャンプーで洗う時にも頭を水で湿らせると思います。いきなりシャンプーをつけても泡立ちませんし、効率的に洗うことができません。

石も人間の肌と同じなんです。とても硬いし、一見水なんか吸わないように感じるかもしれませんが、石はいわば硬いスポンジのようなもので吸水します。なので、水で湿らせてから洗うと効率良く洗えるのです。

水をかけた方が、石に対して優しい洗い方であり、お墓は石でできており、お墓をご先祖様そのものと捉えるのなら水をかけて洗ってあげるのが最良だと思うのです。それはまるで自分が昔、故人と一緒にお風呂に入っていたような感覚なのです。

細かいゴミでお墓にキズがつかないように

皆さん、車を洗車している様子をイメージしてみてください。汚れている車をいきなり雑巾で拭いたらどうなるでしょうか?細かいゴミがついていると引っかきキズをつくってしまい。せっかく鏡面状でピカピカな車が台無しになってしまいます。

お墓も同じです。鏡面状に磨いてあるお墓は、ゴミがついたまま拭くとキズをつける恐れがあります。なので、前もって水でゴミを洗い流す必要があるのです。

なので頭から浴びせかけるように勢い良く水をかけるのは止めた方がいいですが、ゴミを洗い流しながらゆっくりとかけてあげることは、お墓にもご先祖様にも優しい行為になります。

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お墓参りをエンジョイしましょう!

お墓に水をかけてはダメ論に対して、石屋さんの立場から考察をして、さらに良い提案をさせていただきました。TV局側も食べていかなければならないので、視聴者を惹きつける仕掛けを用意しなければならないのはわかります。だけどもそれによって不安を煽り、今までご先祖様を想って行っていた水かけを否定するような内容はあまりよろしくないと思います。

これはTVを始めマスコミの罪であり、いかがなものかと思います。その反面、良い面もあって、この番組があったことであらためてお墓やご先祖様について考えるキッカケになったという方もいらっしゃいます。今まで無意識に行っていた行為をいったん立ち止まって考える。これって、とても大切なことであり、その意味でこの番組は有意義であったと感じます。

いずれにしてもお盆やお彼岸の前に仏事やお墓について放送してくれているこの番組は支持しています。SNSで広がる話題を提供してくださっているのですから。

最終的には、お墓参りをエンジョイしましょう!ということです。それが一番伝えたかったことです。

1級お墓ディレクターの「なかの」はこんな人ですよ。
自己紹介・プロフィール

こんな会社に勤めていますよ。
羽黒石材工業株式会社

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この記事を書いた人

中野良一のアバター 中野良一 羽黒石材工業㈱営業部長

1級お墓ディレクター・1級土木施工管理技士
見に見えない存在であるご先祖を「見える化」した【いのちの積み木】→http://senzo.inotinotsumiki.com 雪のように白くてキレイな【淡雪五輪塔】のプロデュース。

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