稲田石のたたきは、まるで雪のように美しくキレイです。
そして優しくて温かみを感じる。
そんな稲田石のたたきの特徴を活かした五輪塔をつくってみました。
この五輪塔の大きなコンセプトは2つあります
- 稲田石の魅力を最大限に引き出したお墓であること
- モノとコトとが高次元で融合したお墓であること
私はいつも思ってるのですが、お墓ってこれ以上ないくらい「コト」商品だと感じています。お墓には家族のストーリーが詰め込まれているからです。
商品の所有に価値を見出す消費傾向を「モノ消費」、商品やサービスを購入したことで得られる体験に価値を見出す消費傾向を「コト消費」
だけども多くの場合、お墓を「モノ」として扱っているような気がします。お墓はこころを表したものです。こころの部分に踏み込んでこそ新しい価値を提案していけると考えています。
そして完成したのが淡雪五輪塔です。構想3年。令和初の全優石墓石デザインコンテスト大賞の榊原亮さんと、デザイナー兼マーケターの望月悟さんとの3人のチームでプロジェクトを推進しています。
目次
淡雪の名前の由来
「淡雪」とは、 春先のふわふわした消えやすい雪のことをいいます。空高くから舞い降りてくる淡く儚い雪。手のひらに触れるとそっと溶けてしまいます。
それはまるで亡くなったあの方との大切な思い出のよう。
そんな切ない想いに白くて美しい稲田石を重ねたのが淡雪という名前の由来になります。
稲田石のたたきは、日に当たると白く輝きます。それはそれはとても綺麗なんです。
大切な方々とのありし日々に想いを馳せる。
淡雪五輪塔という名前は、そんな大切な思い出をじんわりと感じながら、こころからのお墓参りをしていただけることを願って付けられています。
触れる供養の提案
触れることで大切な人と想いがつながるお墓。「淡雪」は、そんなコンセプトの元に生まれました。まるで体温を感じるような優しい石肌に、あなたの想いが深く染みこんでいきます。
ぬくもりを通した大切な人との会話。新しい供養の形の提案です。
石肌を通してのぬくもりのある会話
故人への想いが溢れて思わず触れたくなる。そんなお墓を目指してつくりました。
たたき加工のお墓は、一般的に磨いたお墓と比較すると人工的ではなく、石らしい素朴な表情がうかがえます。
そんなたたきのお墓には、想いが染み込むと言われています。
そこから私たちは、もう一段階進めました。大切な方との淡い思い出を連想させる五輪塔に、手を当ててその方を感じながらお墓参りをしたらどうだろうか?
写真だと今一質感が伝わりませんが、いばらきストーンフェスティバルに出展したところ、皆さん揃ったように五輪塔の笠の部分を撫でられていました。
ビシャンたたきの質感が素敵で、思わず手で触ってしまいたくなるようです。その後に、「このお墓のコンセプトは『触れる供養』なんですよ?」
と言うと一様に驚いていました。「あーその通りですね。確かに撫でたくなってしまいます。」
皆さんが口をそろえておっしゃっていたのが、「優しい」という言葉。会場中に色んなお墓があるけど、このお墓が一番ホッとするとおっしゃってくれた方が多くいらっしゃいました。
中には抱き着かれる方も。
子供たちにも大人気です。
触れる供養というのは、淡雪五輪塔をデザインされた榊原さんの提案です。まさにピッタリで、稲田のびしゃんの五輪塔と丸みを帯びた優しい淡雪五輪塔のデザインがこれ以上ない組み合わせになっています。
これは、私がカジポンさんから伝授していただいたソウルトークにも通じるところがあります。
故人との石肌を通してのぬくもりのある会話。これが私たちの提案する供養の形です。それを稲田のびしゃんの淡雪五輪塔が演出します。
淡雪の想い
開発への想い
私は、稲田石の採掘元である羽黒石材工業㈱に就職をして、日常的に稲田石と触れる中で、なんとかこの御影石の魅力を引き出した素晴らしいお墓を提案できないかとずっと考えていました。
それはこのブログでもそうですが、稲田石の魅力についてアホみたいに色んな方向からずっとずっと考え探ってきました。
そんな中で、稲田石の白さを雪に見立てたお墓を開発したいというのは、3年ぐらい前から考えていました。淡雪という情緒ある名前もその時に既に決めています。
そしてある時、この構想に五輪塔がバッチリはまりました。五輪塔というありがたい供養塔に稲田のびしゃんがピッタリ合うと思ったからです。
それからはひたすら五輪塔について学びました。茨城から京都まで何度も通って学んだぐらいです。私は1級お墓ディレクターという資格を持っていてそこで仏塔としての五輪塔については少し学んでいたのですが、そうではなくて庶民感覚に近い供養塔としての五輪塔を極めたいと感じました。
私は、いのちの積み木という活動もしていて、その中で先祖供養について深く深く自らの体験として学んでいます。その経験を活かして思い出は淡い雪のようにという淡雪五輪塔が出てくるマンガも作らせていただいています。
なんで、お墓を新しく開発するのにこんな勉強をしているのかと申しますと。淡雪五輪塔の2大コンセプトの一つであるモノとコトとが高次元で融合したお墓を実現するためです。デザインだけの薄っぺらいお墓は作りたくないのです。
ある意味、お墓は過渡期にきていて、必要なのか必要じゃないのかという根源的な問いに晒される時期にきています。その中で、しっかりとお墓の意味と必要性を考えていただける。この考えていただけるというのが大切なのですが、お客様が淡雪五輪塔を知る中で、自ら深く内省していただけるようなそんなお墓を提供できたら最高だと考えています。
私は石屋として100年後のちいさな幸せをつくりたいという使命をもって仕事に望んでいます。
淡雪五輪塔はそんな自分にとっての集大成であり、お墓を通して供養をしっかりと感じていただき『幸せの芽』を育てたいという願いを込めてつくりました。
人は一人では生きていけません。社会的な生き物であり、ご先祖様からの命のつながりがあって生きています。お墓はそんな大切な方々に感謝の心を伝える場所であり、その感謝の心は伝播していきます。
淡雪五輪塔が家族の礎として、家族の核として、そしてご先祖様がもたらしてくれるご利益として、幸せをもたらし続けてくれます。
商品の特徴
白くて神聖な稲田石で作られた「淡雪」。その比類なき美しさは、石工の技「たたき」加工を施すことでさらに輝きを増します。
皆さんの心のよりどころとなる五輪塔を、日本の「素材」と「伝統技術」と「想い」が支えます。
白くて美しく神聖な稲田石
稲田石は、白くて神聖な石とされています。どれぐらい神聖かと申しますと、法の最高機関である最高裁判所の外壁に利用されているぐらいです。
なぜ最高裁判所に利用されているかと申しますと、外壁がグレーだったり黒などの他の色だと法の最高機関に合わないからです。
クリーンで純潔な色である白が一番相応しく、その点で言うと、稲田石以上に相応しい石は他にありません。
その他にも東京駅丸の内口を出て皇居に向かう石畳はずらっと稲田石です。また明治神宮や成田山新勝寺を始めとして名だたる神社仏閣にも利用されています。これは神聖な白である稲田石がご神域にピッタリだからですね。また墓相でも白い石ほど良いとされています。
もちろん墓石材として用いても非の打ち所がなく、意味合いとしてもご先祖様を祀るのに相応しいのです。
びしゃん仕上げって何?
びしゃん仕上げというのは、びしゃんという道具を使って石の表面を叩いた仕上げ方になります。
石工さんが、びしゃんで一生懸命に叩いている様子です。
昔は手でたたいいていたびしゃん加工ですが、現在は、ニーマと呼ばれるエアーでたたく装置で仕上げることが多くなっています。
ニーマに付けるびしゃんのアタッチメントです。
びしゃんの稲田石の五輪塔の魅力とは?
淡雪五輪塔は、稲田石にびしゃん加工を施したものになります。上の写真を参考にして表面加工の違いを説明させていただきますと、一番左の角柱型の和形墓石が、ピカピカに磨いた本磨き加工
真ん中の一般的な五輪塔が小たたき加工。この小たたき加工とは、びしゃんでたたいた後に両刃という道具で、細かく線を刻んだものになります。
そして、一番右が淡雪五輪塔で、びしゃん加工。中目である稲田石のびしゃんは、石らしい何とも言えない風情を醸し出し、優しさや温かささえ感じてきます。
淡雪五輪塔の丸みを帯びたフォルムにピッタリで、相乗効果をもたらしています。
いばらきストーンフェスティバルで消費者の生の声を聴いて感じたのは、淡雪五輪塔を見てしまうと、一般的なお墓が人工的に見えてしまうということ。
ピカピカに磨いたお墓は、光が反射して綺麗に見えるけど、何か味気ない。びしゃんのお墓は優しく迎え入れてくれる感じがしてお墓参りをしたくなるとおっしゃってくださった方もいらっしゃいました。
今までのお墓だと、びしゃんや小たたきを施すのは、どちらかというと伝統的なキチッとした五輪塔や宝篋印塔のようなお墓でした。だけどそれはお墓の可能性を狭めていたのかもしれません。
優しく丸いフォルムに、優しいびしゃん。そして稲田石の白。淡雪五輪塔はびしゃんという技術を最大限に活かしたお墓でもあります。
日本の石工の伝統技術
淡い雪のような思い出を連想させる淡雪五輪塔ですが、作り手の想いも込められています。淡雪五輪塔のコンセプトは加工に携わる石工さんにも伝えてあります。
大切なお客様の大切な家族の礎となる淡雪五輪塔。日本の石工さんが、皆さまに愛情をもって迎え入れていただけるように、丹精込めてつくっております。
淡雪五輪塔は日本の石工さんの卓越した技術により作られています。ピカピカに磨いた本磨き加工と比較すると、たたき加工は難易度が難しくなり加工できる職人も少なくなります。
コメント