私は、現在東京に住んでいる30代の女性です。西日本にある〇〇県の田舎に先祖代々から続く墓地があるのですが、山の中腹にあり足腰の悪くなってきた母がお参りするのに大変なので墓じまいをして、近くのお寺の墓地に引っ越すことにしました。
ところが、その墓地専属の石材店からのお墓の見積りが高いように感じるのです。中野さんちょっと見てもらえますか?
少々お高くなるのは仕方がないです。
えーっ!?そんな!!
納得できない!!!
どうやら質問者のお母さまが寺院墓地の永代供養契約を結ばれたそうで、お母さまから相談はあったものの指定業者が定められていることについては全く知らなかったようです。
実際に私が見積りを見たところ、中国産の御影石を使用している割に高額でした。しかも見積りの内容からどうやら基礎コンクリートをまともに施工をしなさそうなのです。
そこそこ広い敷地で基礎工事代金が5万円。関東で基礎工事代金が5万円と聞いたら卒倒します。無理です。
どうしてもお墓の価格に納得されないようで質問者とかれこれ10回近くメールのやり取りをしました。知り合いの〇〇県の石材店さんに相談したらその土地ならではの事情を親切丁寧に教えてくださったので、その内容も反映して返信させていただいております。
なのでかなり充実した回答を差し上げたつもりです。だけど最後まで納得されませんでした。
確かに高い金額ではありますが、べらぼうに高いというほどではありません。指定業者なら墓地造成に投資をしている可能性も高いですし、しょうがないのかなぁという線ではあります。
消費者と石材店の参考になるように記録としてブログに記しておきます。
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目次
どうしても納得できない指定石材店制度
寺院墓地の中には、決まった石材店しか施工ができない指定石材店制度を取っているところがあります。理由としては、昔から付き合いがあるから安心して頼めるとか墓地の開発をしたからなどの理由があります。
寺院墓地の指定石材店の数は1社だけとは限らず、2社3社とあることもあります。質問者が悩まれているように競争相手がいない、もしくは少ないので価格が高くなりがちですが、デメリットばかりでもなく、お寺が近くにあるので安心できますし、お寺でも石材店でも責任をもって後々まで面倒を見てもらいやすいという側面もあります。
広範囲に安い価格で販売している石材店は、建立したお墓が各地に点在するのでアフターフォローに難がある傾向にあります。
質問者さまの状況でハッキリしていること
何度かメールのやり取りをする中でハッキリしたのが以下の点です。
- 東京在住で西日本にある田舎までは距離があり直接お寺や石材店と話すことができないこと。
- 価格に納得できなくて図面を5つぐらい描いてもらいその都度金額に納得できないこと。
- 1級お墓ディレクターという響きと一生懸命にブログを書いている様子から私に相談がきたこと。
- お墓は安くなくてもいい、適正価格なら納得する。
- だからといって、石の質や施工が悪くてはダメ。
1級お墓ディレクター&ブロガー中野に信頼を寄せて質問をしてくださっているのだから気合を入れないわけにいきません。
ご住職の意思の確認
最初に私がアドバイスしたのは、「お寺が指定業者以外にお墓を建てさせないのならそこに依頼するしかない。もしくは墓地を返還して違う墓地を求めるしかない。だけどもその場合には墓地代は戻ってきませんよ。」ということです。
地元茨城では、まれに「親戚に石材店がいるから特別に建てさせて!」という理屈がまかり通ることがあります。なのでご住職の意思をまず聞くことが先決だとお伝えしました。ご住職の回答は例え親戚に石材店がいたとしてもダメというものでした。
指定石材店でも値段交渉はできる?
質問者は、できるだけ適正価格に近付けることに拘っていらっしゃいました。そのために相場を知って価格交渉をされようとしていました。かなり粘り強い方で何度も見積りをしてもらっていたので、指定石材店側が根負けして適正価格に少しは近づいている様子でした。
私としては、今後の石材店とのお付き合いもあるので程々にしておいた方がいいともお伝えさせていただいております。
基礎工事と耐震施工
基礎工事代金5万円という価格に驚きました。石の価格が相場より高めなのに対し、関東ではあり得ない金額だったからです。だけど西日本ではモルタルを敷いた上に石を乗せていく地域もあると聞いていたので、知り合いの石屋さんに相談したら、やはりその地域では簡素な基礎工事でお墓を建てられているようでした。
一般的な建築物は建築基準法が定められていて建物の重量に対して基礎コンクリートの厚みや強度、鉄筋量が決まってきます。だけどもお墓にはそういった基準がありません。いわば自由なわけで地域性があり各石材店の経験と知識にも左右されます。
また、耐震についても質問者が気にされていましたが、見積りから判断できるものはありませんでした。ここは直接石材店に聴くしかないとお答えしました。
指定石材店側の石材店の気持ち
ここで実は、、、と話しをしだしますが、指定石材店側の気持ちもわからないでもないところがあります。私が勤めている羽黒石材工業も指定石材店になっている寺院墓地があります。
お寺と石材店って結びつきやすいところもあり、【癒着】と言われればそうかもしれませんが、だけどお寺さんからしたらいつも出入りしている信頼のできる石材店にお墓の工事を任せたいというのはあるし、石材店側でもお寺から任されれば責任を持って自信の持てる施工をしたいという気持ちも沸きます。
追加の戒名字彫りや納骨など、細かな対応ができますし、震災などの災害時でも優先して復旧活動をさせていただきます。アフターフォローとう意味では寺院墓地は安心できるところが多分にあります。
お寺と指定石材店との癒着は嫌!!
ただ傍から見れば【癒着】ともとれるわけで、今回の質問者のようにそれが嫌な人も多いはずです。羽黒石材工業で指定石材店となっている墓地はそんなに多くなく、独占しているところとなると少ないですが、その墓地を勧める際には、住職が指定石材店の有無をお知らせしてくださっています。
それで納得された方が、羽黒石材工業でお墓を建てることを理解しながら墓地を購入してくださっています。大抵は古くからその地域にいらっしゃる分家で、お寺とも羽黒石材工業とも良好な関係を結んでいるので納得して建ててくださいます。
今回の質問者のケースは、そもそも指定石材店制度について知りませんでした。根耳に水で、「田舎だから癒着が酷いのね!」というリアクションでした。これに関しては田舎も都会もないと思いますが、お母さまが寺院墓地の契約をされたので、知らなかったようです。
もし質問者が田舎にいれば、墓地の相談をしている段階で指定石材制度に気づいて何らかの対応ができたかもしれませんが、東京にいては西日本とは距離がありすぎて難しいですよね。お墓に関わることは、その時になってみないと知らないことが多くて、一般消費者を悩ませるところでもあります。
気分を切り替えよう!!
ここで私が言えることは、、、「もう気分を入れ替えてお墓を建ててきちんとお参りをしましよう!」ということです。というかそれぐらいしか言えません。
過ぎ去ったことは仕方ないですし、前向きに捉えて、気持ちを入れ替えていった方が健全です。損だと思っても長い目で見ると損かどうかなんてわかりませんし、お墓参りをしやすかったり、環境が良かったり、案外良い選択だったのかもしれません。
[ad#co-3]まとめ
最後の最後で精神論でまとめてしまいましたが、実際に指定石材店制度が設けられている寺院墓地の区画を知らずに永代使用契約された場合には、気持ちを入れ替えるしかないと思います。ほんともうしょうがない。
もしくは墓地を返還するかですね。基本的に永代使用契約を結んだ墓地は納めたお金は返ってきません。場所によってはいくらか戻ってくるところもあるので、どうしても指定石材店が嫌ならば一度ご住職に相談するのもありだと思います。
指定石材店制度のトラブルについては、ネットでもよく目にしますし、実際に石材店を通じて聞いたこともあります。お墓は必要になって購入するものであり、その時にならないとわからないことばかりです。
お寺もそうですが、私たち石材店もしっかりと説明責任を果たしていくしかないんだろうなと感じています。
1級お墓ディレクターの「なかの」はこんな人ですよ。
自己紹介・プロフィール
こんな会社に勤めていますよ。
羽黒石材工業株式会社
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