【墓じまい】「お墓で子供に迷惑をかけたくない!」が親世代の心に突き刺さるキラーワードな理由

墓じまい 子供に迷惑をかけたくない

皆さん、終活という言葉はご存知でしょうか?

終活とは「人生の終わりのための活動」の略で、自らの死を意識して、人生の最期を迎えるための様々な準備や、そこに向けた人生の総括を意味する言葉です。

なかの
こんにちは、1級お墓ディレクターのなかのFacebook Twitter自己紹介)です。

最近の終活の流れに少し疑問を持っています。

終活という言葉が生まれた背景には、少子高齢化が進み、多死社会になってきているという現状があります。バブルが弾けて以降、経済的にも先行き不透明感が生まれました。さらに医療の発達により老後の人生が飛躍的に伸びたので、考える時間が増えたというのもあります。

そして、ここからが本日のテーマなのですが、終活ビジネスと呼ばれるように、それを扇動する形でビジネスに繋げようとする動きがあります。具体的に言うと墓じまいを促進して、そこから生まれるビジネスで収益をあげようという動きです。俗に言う『行き過ぎた終活』です。

その中で良く使われるのが「お墓で子供に迷惑をかけたくない」というキーワードです。親世代の心に突き刺さるキラーワードと言っても過言ではないかもしれません。

世の中が資本主義経済で回っている以上、ある意味当然の流れではあるのですが、それを供養に当てはめるのが本当に良いことであるのかどうかはまた話が違います。なので、このブログをご覧いただいている皆さまにも一端立ち止まって考えていただきたいのです。その為の問題提起の内容になります。

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目次

【墓じまい】「お墓で子供に迷惑をかけたくない!」という言葉に隠された意味とは?

「あなたは子供にお墓のことで迷惑をかけたくないですか?」

例えば、このような質問をあなたが受けた時にどのように考えるでしょうか?この問いに対してNOと答える人は少ないでしょう。大抵の人はYESとおっしゃると思います。なぜならば質問自体がYESを引き出す言葉だからです。

特に日本人は美徳として遠慮しがちな国民性があります。コロナ禍の中での日本人の対応は素晴らしいものがあります。マスクをし、手洗いうがいを徹底し、誠実に守る態度は、世界中を見ても稀です。

それに通じるところもあるのですが、日本人は不安を感じるDNAが強いそうで、ワイドショーなどの情報に強く不安を感じる傾向にあります。不安遺伝子が強いということはある意味【不安が好き】だということでもあり、不安な情報に吸い寄せられていく傾向があります。なのでワイドショーを始めとしたマスコミやメディアは、こぞって不安を煽ることに躍起になります。

これはメディアが視聴率や購読率を高めなければ存続していけないからで、なので受け手となる私たちは、少し冷静に考える必要があります。

マスコミやメディアは不安を煽って飯のタネにしているので、安易に不安に煽られない。

ここは常に注意して意識していくべきところになります。

「子供に迷惑をかけたくない」という言葉が不安を呼び起こす

そこで終活における「子供に迷惑をかけたくない」という言葉について深堀して考えていきます。この言葉は大いに不安を煽る言葉になります。

繰り返しますが、大抵の親は子供に迷惑をかけたいはずなんかありません。お墓が迷惑であると言われれば普段意識していない人でも不安の種を植え付けられてしまうことになります。それが狙いであり罪な部分になります。親世代で需要を刈り取るための戦略でもあります。

ためしに永代供養墓・樹木葬・散骨などのHPや情報サイトをご覧ください。多くのサイトに「子供に迷惑をかけたくない」というワードが載っています。なので冷静になって一端立ち止まって考える必要があります。

ハッキリと申し上げておきたいのは、「子供に迷惑をかけたくない」という言葉は、親の子を想う気持ちを逆手にとって需要を掘り起こすためのキラーワードだということです。

墓じまいをしなければ、そこに需要は生まれず、ただただ引き継がれていくだけです。なので私たち石材店も実は、そこから利益を得ることはできません。だけどもどうなんだろう?という話なんです。

しなくても良い墓じまいを促進して利益を得てもマイナスの意味しかありません。

社会的な見地に立って、明日の日本を見据え、目先の利益じゃないところで考える必要があるのです。

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親の代で墓じまいをする必要はない

親やご先祖様のお墓が迷惑なのかどうかを判断するのは、親ではなくて子供です。迷惑どころかお墓があることで子孫の心の支えとなり、繁栄につながることも十分に考えられますし、実際にお墓が糧となり心の豊かな生活をされている方は沢山いらっしゃいます。

ここで重要なポイントになってくるのは、【未来は誰にもわからない】ということです。これは世の中の原理原則ですね。誰にもわかるはずがありません。

「そんなことを言ってもうちの息子は私のお墓参りなんかしないよ。今だってまともにお墓参りしていないんだから。」とおっしゃる方がいるかもしれません。

だけど、それは自分が亡くなった後の世界でありわかるはずもありません。自分で判断する必要はなく、子供に任せればいいんです。

これは、実際にあった話ですが、ある墓じまいをされた家族の話です。親の判断で墓じまいをすることになりました。受け入れ先の合祀タイプの永代供養墓もある程度決め、息子に相談をしたら「親父がそうしたいなら墓じまいすればいいよ」とのこと。

ということで親が生前のうちにキレイにお墓を整理して、先祖代々の遺骨は合祀されました。ところがその後、息子さんにばったり会った時に「お墓が無くて悲しい」という話をされました。

「墓じまいなんてしなければよかった。」

息子さんは、親から墓じまいの話をされた時に、深く考えずに安易に同意をしてしまいました。だって身に染みてわかるはずもないのです。親はまだ生きているのだから。だけど実際に親が亡くなって初めて、悲しみの中でお墓の大切さに気が付いたとのことなのです。

「親孝行したい時には親は無し」

という言葉がありますが、ほんとうにその通りなのだと思います。亡くなって初めて気が付くありがたさ。感謝をしたくなった時に親と改めて向かい合える場所がお墓なのです。

生前の親と亡くなった後の親。オギャーと赤ちゃんとして生まれてから、育って成人し、社会に巣立っていく。そんな中で、親との関係性は変わり感情も想いも変化していきます。

それと同じように、亡くなった後も親への想いは変化していくのです。亡くなった直後は悲しみが強いでしょうし、次第に落ち着いていくと受けた愛情を強く感じ、感謝をしたいと思うかもしれません。いいことばかりではないし、悪い想い出もあるでしょう。恨みもあるかもしれません。だけど月日と共に想いも変わっていくのです。

そしてそれをしっかりと受け止めてくれて、さらに受け継がれていくのが、お墓なんです。親がお墓参りをしている姿ををお子さんが見ていたらどう思うでしょう?

子は親の背中を見て育つと言いますが、親がご先祖様を大切にしている様子は、子供に無言の教育として伝わります。

再度言う、無理に墓じまいをする必要はない

本当に子どもたちの未来を考えるのなら、私は不安を抱え、要らぬ心配をする必要はないと感じています。そんなことよりも今ある残された時間を家族との有意義な時間に変えた方がどれだけ精神的に良くて建設的なことか。

それこそお子さんがお墓を大切に守ってくれることに繋がるかもしれません。変な不安なんかとっぱらっちゃえばいいんです。そもそも不安を感じる必要はないんです。

とは言え、「子供に迷惑をかけたくない」と言われればそれも頭をよぎってしまうかもしれません。ほんとうに恐ろしい罪づくりなキラーワードだと思います。

だけど多くの日本人が普通にお墓参りをしています。コロナ禍の今年は、少し違うと思いますが、様々なデータを調べてみると日本人の7割近くが1年に1度はお墓参りに行っているという統計があります。

メディアやマスコミの情報を見ると、まるで「墓じまいが当たり前だよ!」みたいな記事が多く見られますが、そもそも論として、普通にお墓参りをしている人たちがあらためて情報を発することは少ないのです。あくまで黙って普通に粛々と、習慣としてのお墓参りを続けるだけです。

こういった方々を英語でサイレントマジョリティ(物言わぬ多数派)と言います。乃木坂46の歌にもありますね(笑)

なので、どうしてもお墓を否定する物言うマイノリティ(少数派)の意見が大きく聴こえてしまいます。さらに墓じまいがビジネスチャンスを広げることに繋がるので企業が広告宣伝に資本を投入し目にする機会が増えます。ある終活関連企業の広告のキャッチコピーは「墓じまいから始めよう」です。

その墓じまいを促進するためのキラーワードが「子供に迷惑をかけたくない」なのであり、だから様々な媒体で良く見られるのです。何度も何度も目に触れると、人はそれを正しいと信じてしまいがちです。墓じまいを促進することがまるで正しいことのように錯覚を起こす原因となってしまいます。

あらためて言いますが、今でも石のお墓が普通に建てられていますし、お墓参りをされている人の方がずっと多いです。そしてお墓がつなぐ家族の輪はほんとうに尊いものであります。

お墓でもないと、お盆に家族が集まる理由も薄くなってしまいます。それが子供に対して、本当に良いことであるのかどうかもう一度、真剣に考える必要があります。

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最後にもう一度言う、無理に墓じまいをする必要はない

最後にもう一度繰り返しますが、墓じまいをするもしないも子供が判断することです。何も親世代で墓じまいをする必要はありませんし、それは子孫にとって大切な機会を失わせることにもつながりかねません。

墓じまいをする費用は、そのまま子供に預ければいいんです。お墓の行く末も任せる。子供を信用してください。そして子供の幸福を願ってください。

だいぶ熱の入った文章になったかと思いますが、以上が私が言いたかったことです。ここまで読んでくださった方々、ありがとうございます。

 

あっ!もうちょっとだけ続きます。

このような文章を書いたのは、葬儀業界№1YouTuberである1級葬祭ディクレクター佐藤葬祭の佐藤信顕さんの存在が大きいです。佐藤さんは、葬儀に関するデマとずっと戦われている方なのですが、先日、2時間ほどオンラインで話をさせていただき、その姿勢を深く知りました。

私たち供養に携わる者が何を大切にするべきなのか?

世の中は、資本主義経済が中心で回っていますが、それを供養業界にそのまま当てはめても健全には作用しないんです。「子供に迷惑をかけたくない」といったようなキラーワードで不安を煽り消費を促すうようなやり方は、おかしいと声を大にして言っていく必要があると感じました。

そうしないと、世の中の多くの方が誤解を招いたまま誤った判断をする可能性が増えます。一旦立ち止まって考える。その判断材料を提供していこうと、佐藤さんと話をして強く思った次第です。

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この記事を書いた人

中野良一のアバター 中野良一 羽黒石材工業㈱営業部長

1級お墓ディレクター・1級土木施工管理技士
見に見えない存在であるご先祖を「見える化」した【いのちの積み木】→http://senzo.inotinotsumiki.com 雪のように白くてキレイな【淡雪五輪塔】のプロデュース。

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