時を経るごとに味わいを増す石って何ですか?と質問されると真っ先に思い浮かぶのがわびさびの石である本小松石。
深く緑がかった色合いは、何とも言えない風情があり、見る者を魅了します。
江戸城の石垣に用いられ御用石(ごよういし)として呼ばれるようになりブランド化していった本小松石。天皇家にもゆかりのある石で、天皇陵にも利用されています。
本小松石は安山岩に分類され、日本に多くある花崗岩の石山とは風景が異なります。玉石状で採掘され、場所によってはゴツゴツとささくれたような岩肌が露わになっているところもありインパクトが大きいです。
今回の案内人は本小松石の採石元である亀川石材店の亀川さん。石山を歩いて昇る道にクイズを用意してくれていたりと、ホスピタリティに優れた案内をしてくださいました。
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目次
本小松石について
本小松石は神奈川県真鶴で採石されている安山岩の銘石です。西の庵治・東の本小松と呼ばれ東を代表する高級石種として知られています。
本小松石は何と言ってもわびさびのある石です。日本全国を探してもこれほどわびさびという言葉がしっくりくる石もないと思います。
亀川さんのところにあった本小松石の自然石風墓石。皮と呼ばれる石肌を活かしたお墓になっています。
こちらは、亀川さんが作られたたたきの五輪塔。時を経るごとに味わいを増すと言った意味がおわかりになるかと思います。正面に仏像が彫ってあるのがワンポイントですね。ありがたみを増します。
一般的な磨いたお墓は、建てた時が一番良い状態であり、その後に風化していくのですが、本小松に限っては磨いてもたたいても時を経るにつてれ味わい深くなっていきます。
以前、私が勤めている羽黒石材工業で作成した本小松石の五輪塔の動画です。小叩き加工という石の表面を細かく叩く技法を取り入れています。
できたても緑がかったグレーが素敵ですが、この五輪塔もだんだんと味わいを増していきます。
本小松石の石目の特徴
本小松石を本磨き加工、鏡面状にピカピカに磨いた状態だとこんな感じになります。深い緑がかったグレーが渋いです。
実は本小松石は磨き加工が難しい石でもあります。職人さんに言わせると粘りがあって磨きにくいとのこと。
本小松石特有の他の石にはない風合いがあります。
実際にお墓として建てるとこんか感じになります。渋いです。(正面文字は写真を加工して消してあります)
本磨きの本小松石の宝篋印塔。25年前に建立されたものですが、風化が進むとこんな感じです。
正にわびさびの石といった感じですよね。この風合いは本小松石ならではで他の石には出せません。
本小松石の石材物質データ
本小松石の物性データを紹介させていただきます。(データ参照元:日本石材産業協会 国産銘石カタログ)
- 見掛け比重:2.627t/㎡
- 吸水率:1.073%
- 圧縮強度:195.68N/m㎡
- 岩石分類:安山岩
本小松石が使用されている著名人のお墓
本小松石は、多くの著名人のお墓に利用されています。
- 源頼朝
- 徳川家代々のお墓
- 大正天皇・昭和天皇の御陵
- 福沢諭吉
- 芥川龍之介
- 勝新太郎
- 美空ひばり
凄い面々ですよね。それだけ本小松石が昔から愛されてきたことの証明でもあります。
それでは、いよいよ亀川さん案内の本小松石の採石場について紹介していきます。
[ad#co-2]本小松石の採石場の様子
遠くからタンタンタンタンと響いてくる音、これはブレーカーバックホウで石を叩いている音です。本小松石は玉石状で採掘され、ブレーカーで叩くとゴロッと取れます。
採れる瞬間が気持ち良さそうですよね。
また場所によってはこんなにゴツゴツとした岩肌を見ることができます。インスタ映えしますね。
本小松石の採石場にはところどころに下の写真のようなクイズが記されていました。亀川さんお茶目。
本小松石クイズ 本小松石は15万年前の安山岩である〇か✖か。皆さんも少し考えてみてください。
答えは〇です。本小松石は15万年前にマグマが冷えてできたものなんですね。このようなクイズを7つも用意してくれていました。
今回案内していただいた亀川さんの本小松石の採石場はけっこう歩く距離も長く坂道も多かったのですが、ところどころにクイズがあったので、飽きないで楽しみながら進むことができました。疲れも忘れます。亀川さんの楽しませようとするホスピタリティに脱帽です。
いくつかクイズを紹介させていただきます。本小松石は大きい塊が採れない〇か✖か。
答えは〇 かわいいお地蔵様の絵付きで説明をしてくれています。
流れた溶岩が急激に冷やされ収縮したため大きい塊が採れにくいのです。
本小松石は天皇陵に使われている〇か✖か。
答えは〇
大正天皇陵、昭和天皇陵に使われているそうです。亀川石材店さんで手水鉢を武蔵野陵に納められているんですね。凄い。
最後の問題。
本小松石は良い石が採れなくなってきている〇か✖か。
答えは〇
最近は絶滅危惧石なんて言われているそうです。亀川さんの話だと、本小松石が採石できる良い層を取りつくしてしまったそうで、現在は、山を開発中だそうです。
石山って良い石が採れている間はいいのですが、採れなくなると大変なんですよね。
とまあこんな感じで、本小松石の採石場を楽しませていただきました。楽しみながら学べるって素晴らしい!
本小松石で作られた小物がかわいい❤
最後になりますが、本小松石で作られた彫刻の数々が亀川石材店さんの工場に置いてありました。
寝そべった猫の後ろ足に、本小松石の皮を活かしたぶち模様があります。天然素材の特徴を上手に利用していて、また猫の表情も良くて素晴らしい作品です。
後ろのお地蔵様も癒されます。
[ad#co-3]まとめ
あらためて本小松石の魅力に触れて、わびさびのある良い石だと感じました。この味わいは本小松石にしか出せません。その一方で、墓石材として利用できるような良質な原石がなかなか出なくて絶滅危惧石なんて呼ばれていることに悲しみを覚えています。
確かに以前、本小松石で大きめの発注をしたら半年以上待たされたことがあります。表面を荒らすたたき加工だからそれでもまだ良かったものの本磨き加工となると、石目がハッキリわかるので、本当に採掘が難しくなると思います。
そんな中で、亀川さんは海外での本小松石の小物の販売など新たな挑戦をされているのが印象的でした。試行錯誤とチャレンジによって乗り越えていくしかないということなのでしょうね。姿勢から学ばせていただけるものがあります。いろんな意味で有意義な本小松石の採石場の見学でした。
毎回思うのですが、石山にはそれぞれのドラマがあります。そんな石山から切り出された石にもドラマがあります。
1級お墓ディレクターの「なかの」はこんな人ですよ。
自己紹介・プロフィール
こんな会社に勤めていますよ。
羽黒石材工業株式会社
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