日本を代表する黒御影石である福島県産「浮金石」
黒御影石(斑レイ岩)で墓石材に利用される石自体が日本ではあまり採掘されなくて、同じ福島県産の中山石ぐらいになります。
採掘元である「㈱石の協栄」さんにお邪魔した際には、生憎の雨で、とっても行きたかった浮金石を採掘している石山にはお伺いすることができませんでした。
その代わり、たっぷりと社長とお話をすることもできましたので、浮金石の現状をお伝えできればと思います。
お隣の茨城県で石材加工業をやっていても、何気に浮金石って謎の石だったりするんですよね。
以前は、石の質が悪くなって採掘量が減ったという話もありましたし、下手すると採掘すらされていないという話もあり、使用をするのに若干のためらいもありました。
そんな、日本でも珍しい黒御影石である浮金石について説明して参ります。
[ad#co-1]
目次
福島県産浮金石の魅力って?
日本で一番有名な黒御影石である浮金石。
浮金という金を連想させる名前がついていることから、優美な姿を想像させる魅惑の石です。
黒御影石に金が浮いていたらそりゃ美しいですよね。
ただ、ここが浮金石の悩みどころでもあるのですが「金が浮きやすい浮金石ほど黒くて目立つけど、色抜けもしやすく品質が安定しない」そうです。
なので、この写真ぐらいの色味の浮金石が品質としてはベストだそう。
以前、展示会で見たことのある浮金石が本当に金が浮いたようでキレイで目を奪われたのを覚えていますが、なかなか難しい。
浮金石の物性データ
- 分類:斑れい岩
- 見掛け比重:2.997(t/m3)
- 吸水率:0.011(%)
- 圧縮強度:120.82(N/mm2)
斑レイ岩である浮金石は、花崗岩と比較して、重くて水を吸いにくいです。
浮金石はどんなところで採掘しているの?
浮金石は、福島県田村郡小野町浮金にて採掘されています。
ほんと残念なのは、かなり雨が降っていて石山を直接見ることができなかったこと。
なので、Googleマップから引っ張ってきた航空写真をとりあえずアップさせていただきます。
採掘されている黒っぽい浮金石がわかりますでしょうか?石山全体が黒みを帯びています。
この山の名前は”黒石山”といい、まあ名前そのままの山なのですが、標高は896mになり、冬になると極寒の地となり水が凍ってしまい採石ができなくなります。
採掘元である「石の協栄」さんでは、他に十万石青みかげを採掘していて、1年のうちで春から秋は”浮金石”、冬季は”十万石青みかげ”を採掘しているそうです。
ただ、私が訪れたのは9月だったのですが、浮金石の原石ストックができたので十万石青みかげの採掘をしている最中でした。その辺りは臨機応変なようです。
最新設備を投入して浮金石採掘を効率化した
日本でも数少ない黒御影石であり指名買いも多い浮金石。
そんなところもあってか、昔は5社ほど黒石山に入って採掘していたそうです。
実態は乱獲に近い状態で、それぞれの会社がダイナマイトによる発破を掛けて採掘していたために質が悪く、山全体でいうと非常に効率の悪い採掘をしていました。
そんな中で、採掘される浮金石は、発破によるマイクロクラック(微細なひび割れ)ができることも多く、また質の悪い浮金石を誤魔化して売ることもありました。
そんなこんなで”浮金石=あまり信用できない石”という側面があったようです。
私は、お隣の茨城県で石材加工をする会社に勤めていますが、何となくこの辺りの噂を聞いていて、浮金石を扱うのは難しそうだな~という印象を持っていました。
ところが、現在は、㈱石の協栄さんが一社で採掘しています。最新のワイヤーソーを導入して、効率的で安全な採石が行われています。
最初は、石山が食い散らかしてあったので、あらためての開発は大変だったそうですが、今では、安定して採掘できる状態にまでなりました。
大材も比較的とれるようになり、貴重な浮金石を無駄に扱わずに済むようになりました。
墓石に使用できる割合が5%の浮金石
そうは言っても浮金石は扱いが難しい石で、岩盤に縦横無尽にキズが入っているので、原石の段階で吟味する必要があります。
何だかんだで、実際に墓石として利用できる割合は5%程度に落ち着くそうです。
先にも述べましたが、浮金石の特徴である金箔が浮き出たような模様が多く出ている石は、品質としては思わしくないそうです。
金箔が多い浮金石ほど、黒い傾向にありますが、のちのち色が抜けて白くなりやすい。
浮金石として品質が安定しているのは、最初から色が薄いものになるそうです。
またあまり金箔が多いようだと、そこから割れが起こる可能性も高くなります。
工場での厳しい品質管理
そんな扱いの難しい浮金石。
一時期評判が思わしくなかったのは、品質が安定していなかったことが大きな理由としてあげられます。
現在は、原石での販売は行っていなくて、全て㈱石の共栄さんで、切削して磨いて石目を確認した上で、良好な品質を有しているもののみお届けしています。
なので、現在流通している浮金石は安心できるものになります。
以前は、原石売りをしていたこともあるそうですが、クレームが多過ぎて止めたそうです。山元で特徴を理解しているからこそ扱える石ということなのでしょうね。
見た目じゃ中々わからないと思いますが、石種ごとの特徴の違いってかなりあるんですよ。特に斑レイ岩である浮金石は慣れないと難しいです。
採掘が安定してきたとは言え、この辺りが浮金石が高級石種であるゆえんなのでしょうね。
流石に設備がしっかりしていて、高品質なものづくりをされている様子が伺えます。
十万石青みかげとの組み合わせが最高!
ちょっと、完全に㈱石の協栄さんの宣伝みたいになってしまいますが、浮金石と十万石青みかげの組み合わせってぐうの音も出ないぐらい素晴らしいんです。
上の富士山をもしたお墓は、5年ほど前のいばらきストーンフェスティバルに出展されていたものですが、いいですよね。
雪の部分はたまたま白い中目の結晶が混じったので再現性は難しいですが、こんなお墓も素敵です。
十万石青みかげについては、こちらからどうぞ。
福島県産浮金石と十万石青みかげの組み合わせ。最高だと思うのですがいかがでしょう?
ここに白さが美しい茨城県産の稲田石を混ぜると対比が美しそうです。
(さりげなく自然に自社製品も宣伝)
[ad#co-3]
まとめ
雨のために浮金石の石山を見学できなかったことが、とっても残念だけど、再度リベンジすることを㈱石の協栄の宗像社長とお約束しました。
石山を目の前で見て肌で感じることってけっこう大切です。
謎の石”浮金石”が、おススメできる安心な石になったのが大きな収穫でした。
特に日本でも数少ない黒御影石(斑レイ岩)になります。Japanese 黒御影!!
インド産のクンナムやスウェーデン産のファインもいいかもしれませんが、日本産の浮金石は格別なものがあると思います。
とうことで、黒御影石を検討されている方は、ぜひ浮金石も視野に入れてみてはいかがでしょうか?
コメント