皆さんお墓と聞くと、どんな形を思い浮かべるでしょうか?
お墓の形は、普段お参りしている方なら、見慣れた形。これからお墓を建てる方だったら、華やかさを求めてデザイン性のある形を求めるかもしれません。
日本全国でも地方により形が違い、思い浮かぶお墓の形も微妙に違うでしょう。
今回説明するのは、どちらかというと昔ながらの一般的な和型墓石についてです。
和型墓石と一口に言っても、細かく見ていくと違いのあるポイントがあるんですね。
実際の写真を用いて、なるべくわかりやすいように説明していきますので、和型墓石を選択される方は、参考にしてください。
目次
和型墓石を各部位ごとに開設
和型墓石の部位の名称
和型墓石は、写真のように各部位に名称がついています。
石塔一式
- 竿石:石塔の一番上の『先祖代々之墓」と文字が刻んである部位。
和型墓石は竿石の横幅の違いにより8寸角、9寸角、尺角と呼ばれる。 - スリン:竿石の下の座布団のようになっている部位。スリンがない場合も多い。
あると石塔の背が高くなり高級感も増すが、反面、耐震性は悪くなる。 - 上台:写真では『江尻家』と家名が刻んである部分。
この例のように家名を刻むことがあれば、家紋を刻むこともあるし、何も彫らない場合も多い。 - 中台:上台の下にくるどっしりと大きな部位。
- 水鉢:水鉢には水を貯められるように石を彫り込んである。
仏様ののどの渇きを癒すためにあります。地域によってはない場合も。家紋やイラストを刻む場合もある。 - 花立:花を立てる場所です。ここに花のイラストや家紋の彫刻を施す場合もある。
- 香炉:お線香を置くための高炉皿が入るように穴が開いている。
地方によっては、上向きに穴が開いていてお線香を差すタイプもある。
納骨堂(カロート)の蓋に当たる部分
- 芝台:石塔の下にある台。お骨を納める納骨堂(カロート)の大きな蓋にもなります。
- 拝石:納骨をする際に持ち上げる石。上に香炉が載る。
和型墓石では、石塔一式と芝台&拝石は区別されています。
なので、石塔一式と芝台&拝石は石種が違っても問題ありません。
石塔一式の中で、例えば竿石が真壁小目石で上台が稲田石なんてのは、見たことがありません。
たぶん、チンドン屋みたいになって見た目も悪いでしょう。
和型墓石の各部位ごとの種類と説明
和型墓石の各部位の名前はわかりましたが、その各部位ごとに様々な形があります。
更に細かく見ていきます。
竿石に施す加工の種類
和型墓石における頭の部分は、いくつかの特徴のある違いがあります。
- 香箱:竿石の頭に角の丸まった四角い箱が載った形になっている。
仏教で香炉でお香をたくための道具である香箱に似ているところから名前がついた。
手間が掛かるため加工賃が高くなる。 - なで型:竿石の頭の角を丸めた形。
- トキン型:竿石の頭が四角錐の形になっている。
スリンの種類
和型墓石におけるスリン、無くても良いものですが、あるとグッと高級感が増します。
- 丸スリン:丸みを帯びたスリン。
- 角スリン:角ばった形のスリン。
- 蓮華型スリン:蓮がひらいたような装飾が施された豪華なスリン。
- 猫足スリン:猫の足のような形をしたスリン。
猫足の先の部分でしか支えることができなので、震災時にはほとんど倒れてしまいまいした。
上台・中台に施す加工の種類
- 加工なし:加工を何も施さない。
- 水切り(水垂れ):平らな面だと水が留まるが、勾配をつけた加工を施すと水が流れる。
これを水切り(水垂れ)加工を呼ぶ。 - 切り出し亀腹:正式には”須弥壇亀腹”と呼ぶ。
須弥壇とは、仏教寺院において本尊を安置する場所で、帝釈天の住むという”須弥山”(シュミセン)を形どったものである。
手間が掛かるので加工賃が高くなる。
水鉢・花立の種類
- 切り出し水鉢:水鉢と花立てが一体型になったタイプ。
石塔にピタッと付けることができるので、地震に強い。 - 独立型:水鉢と花立てをそれぞれ独立させたタイプ。
デザイン性があり高級感がある。その分価格は高くなる。
香炉の種類
- 角香呂:四角の形のシンプルな香呂。
- 経机香呂:経典を置くスペースを設けた香炉。お坊さんがお経をあげやすい。
- 宮型香呂:香炉に屋根の付いた豪華な形の香呂。
香呂に関しては、ここに挙げた例以外にもいくつかの形があり地域によっても特徴があります。
まとめ
和型墓石の部材ごとにどのような加工があるのか、詳細に見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
この中でも、石材店により多少違いがありますが、
- 高級型和型墓石:竿石香箱、上台亀腹、中台水切り、独立型水鉢・花立て、宮型香炉
- 標準墓石:竿石なで型、上台・中台加工なし、切り出し水鉢、角香呂
など、組み合わせを前もって考えておいてセット墓石として販売しているところが多いです。
予算にちょっと合わない時に、墓石の加工を簡易にして調整することもできますので、石材店にご相談されるといいでしょう。
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