花崗岩は、流紋岩質のマグマが、
地中深くでゆっくりと冷えて固まったものです。
その花崗岩を構成する鉱物の一つに、
長石があります。
今回は、長石について説明していきます。
実は、この長石、花崗岩の劣化に、
大きく関わっているんです。
それでは、
花崗岩に含まれる鉱物「長石」が石の風化を左右する理由とは!
をお送りします。
目次
花崗岩を構成する長石の種類は大きく3つ
風化に弱いカルシウムを含んだ斜長石
花崗岩は、石英・長石・黒雲母から、
構成されていますが、
長石には大きくわけて3種類あります。
二酸化ケイ素が主にカリウムと結合してできた正長石と、
二酸化ケイ素が主にカルシウムと結合してできた斜長石。
そして、二酸化ケイ素が主にナトリウムと結合してできた曹長石です。
石灰岩が溶けてできた鍾乳洞。
石灰は炭酸カルシウムが主成分です。
酸性に弱く、溶けてしまいます。
ph5、25℃条件下における鉱物粒1mmを
溶解速度で比較すると、
石英が完全に溶解するまでに34,000,000年
正(カリ)長石2,600,000年
斜長石112年
になります。
カルシウムが主成分の斜長石は、
融解するまでに112年と、
極端に低い年数になっています。
茨城県笠間市は焼き物の産地
因みに稲田石が産出される、
茨城県笠間市では、焼き物が有名です。
お隣の栃木県益子市も同様です。
これは、稲田石が風化してできた、
良質な粘土を焼き物に利用しているからです。
下の写真は茨城県笠間市で、
作られている笠間焼の成り立ちの紹介の写真です。
風化に強い石英が粒となってのこります。
10tダンプから降ろしているのは、
大規模土砂災害を引き起こすこともある『真砂土』です。
この『真砂土』が水を含むと、
花崗岩の岩盤との間で滑りやすくなり、
土石流を引き起こすのです。
ちょっと欲張って説明をしていますが、
斜長石が風化しやすいことをわかっていただければと思います。
花崗岩の風化のメカニズム
花崗岩の中でも長石、
特に斜長石が、
風化に弱いことを説明しました。
しかし、実際には、それよりも早く、
黒雲母から風化が始まることが多いです。
黒雲母は金属を含んでいて、
サビると、ポップアウトという、
石の表面を弾き飛ばす現象が起き、
そこから長石にもダメージを及ぼすようになります。
茨城県石材組合が国や県と合同で行った風化の加速実験では、
比較的ゆっくりと風化が進む日本の花崗岩に対し、
中国の花崗岩は、ある一定の時期を越えると、
急に風化が加速していく傾向にあるという結果が出ています。
昔から、『日本の石は日本の気候風土に合っている。』
と言いますが、石にとって過酷な日本の環境・・・
湿潤で四季があり寒暖差の激しい気候には、
やはり地元の日本の石が向いているようです。
まとめ
花崗岩を構成する長石について、
説明しましたがいかがでしたでしょうか?
長石は、二酸化ケイ素が、
カリウムやカルシウム、
ナトリウムと結びついてでき、
それぞれに性質が異なります。
花崗岩が産出できる石山で、
石を触るとポロポロと表面が、
崩れることがあるかと思います。
それが風化です。
風化の速度も、それぞれの花崗岩で、
構成する鉱物の割合も違い、
劣化するメカニズムも異なるのです。
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